252話目 ルック子爵の再登場!
いつも読んでいただきありがとうございます。
今日もよろしくお願いしますねー!
「さあ、ゆっくりと温まるといい。
疲れて帰れないようであれば、今日は泊っていって構わないよ。
明日の朝、馬車で送ってあげよう」
そう言って、優しく俺の前に食事を用意してくれた貴族は、
名前をルック子爵と名乗った。
子爵になるとこんなに金持ちになるんだぁ~……
思わず感嘆の声を出しそうになってしまった。
美女のメイドがずらりと並んでいて、それぞれが俺の一つ一つの動作を見て、
不足なモノがあればすぐに差し出してくれるし、
食べ終わればすぐに次の皿を出してくれる。
それも今まで食べたことがないような品々だ!!
「しかし、今聞くとひどい話だね、アズーリ伯爵様の所業は……」
「そうなんですよ! アズーリ伯爵様は本当にひどい!
私がこんな目に合っているというのに全然助けてくれないんですからね!
日頃私がどれだけアズーリ伯爵様に尽くしているのか分かっているのですから、
こんな時くらいは助けてくれてもいいじゃないですかね!!」
本当に思い出しただけで腹が立ってくる!
いつもダンジョンに潜った時には、応援してあげているというのに!
え? 荷物は重いから持ちませんけど?
え? 戦闘? アズーリ伯爵様がいるのに戦う必要なんてないでしょう?
それにこの間だって、そこそこカワイイ子女が
「アズーリ伯爵様と……お話をさせていただけませんか?」
っと言ってきたから、
「飛ぶ鳥を落とす勢いのアズーリ伯爵様とですか?
なかなか難しいですが……まあ、私にかかれば出来ないこともないですがね。
ただ……それに対して相応のお礼は必要だと思うのですよ……
少しあちらに行って休みましょうか。
フフフ、分かっていますよね? この意味がはぁ!?」
そのタイミング思いっきり頭を殴られた!
「誰だ! 私があのアズーリ伯爵様の……
そう! 下っ端でした! ……テヘ♪」
睨む視線を向けてきたアズーリ伯爵様がいた……
あとちょっとであの子と野外プレイができたというのに!!
それも学園で!!
さらに加えて制服プレイが!!
こんなスリーカードが揃うことなんてないのに!!
一度は男があこがれるシチュエーションがすべてそろっていたのに!!
どうして邪魔をしてくるのだよぉ!!
何であんなにひどいんだぁ~アズーリ伯爵は!!
もっと楽に金が稼げて、気がつけば出世できるんじゃないの?
うちのダメダメな兄ですら、アズーリ伯爵の手にかかれば、
貴族になったっていうのに!
それも土地持ちで!!
確かに辺境で何もない土地だったかもしれないけど、
今ではアズーリ伯爵のおかげでそこそこ大きな町になっているじゃないかよ!!
俺も土地持ちの貴族になりたいんだよぉ~!!
そんでもって領地に籠って、毎日領民の女性とウハウハして過ごしたいんだよ!!
なのにどうして俺を貴族にしれてくれないんだ!!
……思い出しただけで、不平不満が止まらない。
「大丈夫かね? だいぶ辛そうだが?」
ルック子爵の言葉を聞いて、ハッと我に返る俺。慌ててルック子爵に言葉を返す。
「色々と辛いことが多くて……
思い出すだけで本当に何であんな人に尽くしたのかと思っていたんです」
「……そうか……そんな状況になるなんてよっぽどのことだろうね……。
今日はゆっくりと休むといい。
また明日朝にでもゆっくりと話そうじゃないか」
そう言って、優しく俺を客室へと案内してくれるルック子爵の優しい言葉に甘えて、
今日はこの屋敷に泊まることにしたのであった。
「順調なほどの無能だな。
自分では何もせずに誰かに助けてもらうことしか考えていない……
あんなのを貴族? ハン! 貴族の恥さらしもいいところだ!
その点ではアズーリの奴は見る目があるな。
あんなのを貴族にせずに冷遇する。
当然だろう。私でも同じようにする。
あんなすり寄ってくるだけで、害しか与えないような男などいらないわ」
そんな私の言葉を聞いて、横に立っていた影がゆっくりと動き出したかと思ったら、
一人の人間が出てきた。そしてその影のような人間が口を開く、
「首尾は上々のようですね」
「ふん!あんな小僧一人を扱えないとでも思っているのか?貴様は!」
「いえいえ、滅相もございません。
これでルック子爵様は、主様の片腕としての立場が約束されたようなものです」
「こんなことで片腕になれるとはメフィスト伯爵陣営は、よっぽど人材不足なのだな。
そんな人材不足な連中に手を組むのは考えモノだが……」
「その懸念点はございます。
なかなかアズーリ伯爵を含めた陣営の手が厳しいのですよ。
先日も多くの者が捉えられてしまいました。
ですが、それは逆にチャンスではございませんか?」
「その程度の言葉に私がのせられるとでも?
私はそんな浅はかではないがな。
まあ、事実も一部含まれている。
私が加われば百人力になるだろう。
だから、今回のような簡単な実績を作る役割を私に頼んできたのだろう?
新参者である私が陣営に功績を上げれば、
今も小うるさく騒いでいる古参の実績のない連中がだまるだろうからな。
まあ、今回は貴様らの手のひらの上で踊ってやろう。
あとは明日の朝、あの小僧が望むような待遇をチラつかせれば
こちらが望むようなことを率先してやってくれるだろう」
あんな小僧を手のひらの上でで転がすなど
この私にとっては簡単なことだからな……
「……そう簡単にいくと?」
「まあ、いくだろう。
今もこちらが手配した者と甘いベッドの世界を堪能しているようだしな」
「……なるほど。すでにアメを与えてあると?」
「そんなの当然だろう? こちらの役に立ってもらうのだ。
それに対する報酬は与えてやるのは当然だ。
そこら辺をケチる下等貴族と一緒にされては困るな」
「頼もしいお言葉です……それでは今日の所はこれで。
適時連絡をお願いしますよう、お忘れなきように」
「ふん! 分かっている!」
ゆっくりと闇に溶け込むように消えていく者を見送りながら、
完全にその者の気配が消えたのを確認し、深い溜息をつく。
「あのような者に頼らざるえないとわな……
だが、それもメフィストから獲る物を獲るまでだ。
奪う物をすべて奪ったら、あいつらは用なしだ。
フフフ、あいつらも血相をかくことになるだろうな。
どんな気分になるだろう?
メフィストが築いてきた陣営の内部では
すでに私の手によって陥落されて、
今では私の陣営になっているという事実を知った時にはな!
ふ、ハハハ! 獅子身中の虫とはまさにこのことだな!
ただ、私は虫ではなくドラゴンだがな!!」
執務室内に大きな笑い声が響くのであった。
ちなみにとある客室のベッドの上では……
「え? もう終わり?」
っと、とある女性の声が漏れていたのであった……
いつも読んでいただきありがとうございます。
是非ともブックマークおよび評価をお願いします。
そのワンポチが…明日の活力に代わります!! いやまじで!




