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異世界転生には、夢も希望もございませんでした  作者: Taさん
第八章 想定外の夏休み
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240話目 飛んで行ったグングニルが・・・

いつも読んでいただきありがとうございます。

今日もよろしくお願いしますねー!

「シンダー枢機卿様、エラ様、ラプンツェル様の魔法が完成するまで

 なんとしてもあいつを通すな!!」



騎士達が声を上げて、シンダー枢機卿様やエラ様、ラプンツェル様を囲み始めた。

そんな姿を見ていたリッチは、また大笑いをして、




「フハハハハハ! おろかな! 先ほども痛感しただろうに!

 その者達の魔法は私の魔法壁の前には無意味だ!

 一切効かないというのに!

 ククク、弱気者たちが縋るその糸を断ち切ってやるのはまた一興か……」



そう言うや否や手をかざすと禍々しい黒い影が騎士達を襲い始めるのだ!!


私のところにも忍び寄ってきた影に対しては、大剣を振るうのだが、



ブオン!!




「やはりこの影に剣は効かないか……」



そう言いながら一歩、二歩と下がりながらシンダー枢機卿様達の方へと視線を向けると

影に包まれた騎士達がもがき苦しみ、次々と倒れていくのである。

そしてそんな光景をニタニタと笑いながら見ていたリッチは、




「どうした? ほら? 詠唱が完成するまで守り通さねば……

 貴様たちの希望がポキリと折れてしまうぞ」



イヤらしい笑いと共に増悪に駆られる言葉を掛けてきたのであった。

その言葉を聞いた騎士達が何とか立ち上がろうとするのだが、

その影に抗うことが出来ずにまた次に次にと倒れてしまう。




「いよいよ、本命だな」



そんな言葉と共にエラ様とラプンツェル様に黒い影が襲い掛かった!!




「ふぐぁああ!!」



「ぐうぅううあ!!」



二人の口から洩れる苦痛に満ちた声!


すぐに二人の傍に駆け寄り黒い影を振るい払おうとするのだが、

振り払うことなどできずに逆に私にも黒い影が襲ってくるのである!

それでも歩を進めて二人を救おうと手を伸ばしたところで、




「私たちはいいわ! まだ動けるのなら、マコトの所に行って、このことを伝えて!

 そうすればあいつなら倒せるわよ!

 あいつなら! 倒せなかったらただじゃおかないからね!!」



「マコト様にお願いしますとお伝えください」



そういうと二人は放つべき魔法を私にまとわりついていた黒い影に放つのだ!

手や足、身体にまとわりついていた影が離れていく。




「さあ早く!」



エラ様の言葉とラプンツェル様がほほ笑みながらにこちらを見て来た。

その言葉を聞きながら私は覚悟を決めた!


一気に走り出したのだが……




「え!?」



「な!?」



「ホフマン殿!?」



エラ様、ラプンツェル様、シンダー枢機卿様が驚くのだが、自分の行動は一択だ。

3人の傍へと駆け寄ると同時に3人を掴み黒い靄から外れた位置へと投げる!!




「未来のアズーリ子爵様の奥様とお義父様をこんなところで死なせるわけにはいきません!

 何より……私はアズーリ騎士団の者です!

 守るべき方々を見捨てるなど出来るわけがございません!

 アズーリ子爵様はノースベルトで魔族を相手にも

 住民を守るためなら命を懸けて挑んでおりました!

 きっとたとえ魔王が相手でも守るべき人々がいたのなら、

 アズーリ子爵様はお一人で挑むでしょう。

 その背中を私は見ているのです!

 そんな私が……お三方を残して逃げられるはずがありません!

 お三方! お逃げください! 私ではこの化け物を倒すことは出来ません!

 ですが時間は稼げます! ですから! アズーリ子爵様にお伝えください!!」



そう言って3人に背中を向けて、リッチに向かって剣を構える。

そんな私を見てリッチは大笑いをしながら、




「くだらん! そんなくだらんまねを! 私の手から3人を逃がす?

 そんなことがお前ごときにできるのか?」



そんなリッチからの言葉を一蹴する!




「出来る出来ないではない! やるのだ!

 覚えておけ! これがアズーリ騎士団の騎士だということをな!

 うおおおおおおぉお!!」



叫びながらリッチへと駆け寄っていく! 


それに続く様に今回同伴しているアズーリ騎士団の騎士達も

リッチに斬りかかっていくのだ!!




「フハハハハハ! 私に、この私に……

 きさまら程度が勝てると思っているのか!!」



勝ち誇った様な高笑いをするリッチ。そして笑い終わると同時に、




「ならば……死ね! いや、殺してやるが、その意識は活かしてやろう。

 身体は私が操ってやろう。

 ククク、まずはそこの3人を襲わせて、

 その後は貴様らが名前を出しているアズーリとかいう奴を殺しに行かしてやろう、

 私は優しいからな!! では……これでおわ……」



言葉がそれ以上続けて出ることはなかった。


なぜならば……




「……神の奇跡が……」



そんな言葉が口から洩れるのはシンダー枢機卿様だが……


私はこの光を知っている……




「聖剣技……グングニル……あ、アズーリ様……」



今、目の前を通過していった光は間違いなくグングニルだ。

違うのかもしれないが、口から一番先に出た言葉はグングニルである。

呆然とつぶやいた私の言葉を聞いていたエラ様は、




「……ふぅ~ん……グングニルねぇ……聖剣技って神の御業ってやつだと思う?」



そんなエラ様の言葉を聞いたラプンツェル様が首を横に振る。

首を振るラプンツェル様を見てため息をつきながらエラ様は、




「だよね。ならマコト・フォン・アズーリの業ってことになるのよね……

 これで私たちは何度マコトに救われたことか。

 そろそろ返しきれないくらいの恩が溜まってしまっているんじゃない……お父様?」



やれやれと言いながらシンダー枢機卿様の方へと話を振ると

シンダー枢機卿様は大きな息を吐いたかと思ったら、




「そうだな……これほどの大恩を本当にいつ返せるかは分からないが、

 私達のすべてをもって返すように心がけなければならないな」



そんなシンダー枢機卿様の神妙な言葉をエラ様は掌をヒラヒラとさせて、




「あいつなら、そんなのいらいないって言いそうだけどね」



その言葉を聞いたシンダー枢機卿様はくすっと笑いながら、




「彼なら言いそうだな……」



そんな言葉を言いながら、視線を徐々に霧散していくリッチへと向ける。

そして、




「我々が破ることが出来なかった魔法壁をいとも容易く貫き、

 リッチの唯一の弱点である額の魔石をえぐっていく一撃を放つアズーリ様……

 彼は神がもたらした神の使いなのか、

 それとも悪魔がもたらした破壊の使いのなのか……」



そんな言葉に反応したのはエラ様であり、




「もし……悪魔がもたらした破壊の使いならどうするつもり? 殺すの?」



少し怒り気味で尋ねてきたエラ様にフッと笑ったかと思ったら、




「破壊の使いだとしても、我々は何度も命を救われた。

 その恩は必ず返すつもりだよ」



「そう……まあ、私も受けた恩はしっかりと返すつもりよ。

 フフフ、あいつの嫌がる顔が目に浮かぶわね」



悪い笑みを浮かべるエラ様を見て、困った様な笑い顔になりながらラプンツェル様が、




「ダメですよ。嫌がるようなことをするのは……」



「はいはい、分かっているわよ。

 まあ、この夏休みもあいつはいろんなことをやり遂げているんでしょうね……

 夏休み明けも忙しくなりそうじゃない。

 うぅ~ん、あいつのおかげで刺激に事欠かない学園生活が遅れそうね」



そんなエラ様の言葉を苦笑しながら頷くラプンツェル様であった。


いつも読んでいただきありがとうございます。

是非ともブックマークおよび評価をお願いします。

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