157話目 ルビー・フォン・サウスベルト11
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アズーリがため息交じりではあるが……理由は使用人によるものだけど……
笑顔で気にするなと言ってくれる。ただ……
「だけど……」
戸惑う私に使用人の方が笑顔で、
「鴨がネギ背負ってやってきただけですので、気にする必要はありませんよ」
「……サウスベルト存亡の危機を
『鴨がネギ背負ってやってきた』って言わないでくれる……」
ジト目で使用人の方を見るのだが、暖簾に腕押し状態で
まったく気にした素振りは見せない。
まあ、本当にこの2人は気にしてないんでしょうね……
「これでどのくらい借金返せたかな?」
「まだ3分の1くらいですよ。
数は多くても、ドラゴンとかの大物は一切いなかったからですね。
それに例のアレに一部お金は回りましたから」
「ああ、なるほどね。ただ……
まだあと3分の2も残ってんのかよぉ~。
……あと二回サウスベルト襲われないかな?」
その発言をしたアズーリに対して、鋭く睨み付けて、
「人の領地の不幸を願わないでくれる!!」
「なら……」
途中で言葉を切って、マジマジと私の全身を見て、
最後に私の顔に視線を戻し、
「もう一回、王様誘惑してくれる?」
「するわけないでしょうに!!
何であんたの借金を私の身体で返さなきゃいけないのよ!!」
「サウスベルトのピンチを救ったから?」
「あんた……いいえ、マコト!!
私のことはルビーと呼びなさい!
で・・・さっきまでの話に戻してしまうけど、
マコトはサウスベルトにとって、間違いなく英雄よ。
だから、私は大変感謝をしています」
そう言って頭を下げる。
そんな私に対して、マコトは、
「だから、気にする必要はないって」
笑いながらそんな風に返事をしてくれるのだ。
そんな中、使用人が空気をまったく読まずに、
「……王様からマコト様狙いに変えたのですか?」
その言葉を聞いて私は慌てて否定する。
「そんなわけないわよ!
っというか、そもそも王様なんかも狙っていないわよ!!」
「ああ、そうでしたね。
身体で金をゲットしたんでしたね!」
使用人を睨み付けるがどこ吹く風の使用人にはまったく届くことはなく、
そもそもそんな風に言われたターゲットであるマコトは……
「……何をマジマジと見てるのかしら?」
先ほどまでの笑顔から一転して、真剣な表情でこちらを見てくるマコト。
「な、なによ!?」
その真剣な表情にちょ、ちょっと意識しちゃうじゃない!!
慌てながらマコトの視線を受けて顔を熱くしながら……うん?
マコトの視線が顔から下へと下りていく。
それなら足の先まで見回したかと思ったら、今度はまた視線が上へと戻ってくる……
こいつ……
もしかして……
「ちょっと貧相な、いてぇ!?」
マコトが言いかけたところで、思いっきり踵でマコトの足の甲を踏みつけてやった!!
「何を見てんのよ!! 誰の身体が貧相ですって!!」
詰め寄る私の横から、
「プフ! 確かに貧相ですね……プフ!」
「あんたも失礼なこと言ってくるんじゃないわよ!!
だいたい私はまだまだ成長途中なのよ!!
これからよ! だいたいアンタ! 人のことが言えるような身体なの!?」
「お子ちゃまには理解出来ないと思いますが、
この身体はスレンダーと言うんですよ?
わかりますか?
いや……お子ちゃまには無理ですね……プフ!
あ、失礼!……プフ!」
「まったく失礼だと思ってないでしょうに!!
だいたい私の魅力は身体じゃないのよ!!」
「……侯爵?」
横からボソッと言うマコトの……顔を掴む!!
「私の魅力は……爵位ですって?」
ニッコリとマコトに微笑みながら、指の力を込めていく!
「あ!?ち、力入れてきやがったな!!いた!? 痛いって!?」
「……じゃあ、他に私の魅力を挙げなさいよ!」
しばしの沈黙が流れた後、マコトがボソリと、
「ぼ、牧歌的なところ?」
それを聞いた使用人がプフ!っと、笑いを漏らす。
私の方は笑顔のまま、
「そうね……そうよね……
私の魅力と言えば穏やかに育ってきたことで、
おおらかな性格ってことかしらねぇ~」
「え? いや、田舎者って、いたぁ!?」
込める力をより強くして、
「ふざけるんじゃないわよ!! 誰が田舎者よ!!
こっちが良いように解釈してあげようとしてあげたのに、
普通に否定してくるんじゃないわよ!!」
「……全然穏やかじゃないし……」
そんなことを言ってくるんマコトに対して、
「はあぁあ~!?
こうなったのもマコトのせいでよ!!
これでも蝶よ花よと育てられたご令嬢なのよ!!
それをこんなに怒らせているのは誰のせいよ!!」
「「「え? 自分じゃないの?」」」
3人のハモり声が聞こえてきたことでますます怒り浸透する!!
「あなたたちのせいだって言って……
うん? 何で3人のハモり声が聞こえてくるの?」
「……あ!?」
私の声に反応してきた声を便りに、入り口のドアへと近いて開けると……
「お、お父様!?」
そこには何とお父様が立っていたのであった!
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