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異世界転生には、夢も希望もございませんでした  作者: Taさん
第六章 城塞都市サウスベルト
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152話目 ルビー・フォン・サウスベルト6 ご乱心

いつも読んでいただきありがとうございます。

今日もよろしくお願いしますねー!

必死に私を止めるプルメリアや爺、

それに騎士たちの中で、アズーリときたら……




「はん! ちょっと反論したら剣を抜くなんて……怖い怖い……」



「今すぐその首切ってやるわよ!

 離しなさい! 離しなさいってば!!

 あのクソガキの首を切り落として、私も責任とって死ぬわよ!!」



「お前ごときにできるかよぉ~」



「よおぉし! その首叩き切ってあげるわよ!!

 今すぐ! 絶対に切り落として上げるわよ!!」



必死に抑えてくるプルメリアと爺、騎士たちを振りほどこうとするも

振りほどくことが出来ずにいると、




「ルビー・フォン・サウスベルトお嬢様、ご乱心~!」



そんなことを叫ぶアズーリ。




「マジでぶっ殺してあげるわよ!!

 そこにいなさい! 絶対に逃げるんじゃないわよ!!

 いい! あんたが“許してぇ~”って、泣き叫んでも許してあげなからね!!」



「はん! 殺されたら泣き叫ぶこともできないけど?

 そんなことも分からないわけ?」



「このぉ~クソガキぃぃ!!」



「止めてください! アズーリ様!

 もう! ルビー様も落ち着いて!

 アズーリ様と口喧嘩しても勝てないですよ!

 性根が曲がっていますから!

 冷静に! 冷静になってください!!」



「……何を普通にプルメリアは俺をディスってきてんだよ……」



そんな声を聞きながら、この場でアズーリを殺すまでにはいかずに

落ち着かせられることになってしまったのであった。


それから数日後、プルメリアからの提案で

サウスベルトでアズーリが謝罪をすることになったのだが……




「わざわざ遠方よりお越しいただきありがとうございます。

 さあさあ、こちらに少々早いでしょうが、お食事の準備が出来ておりますので……」



父上が両手を擦りながらアズーリに下手下手に出る……




「お父様! しっかりしてください!

 アズーリ子爵は爵位が下なんですよ!

 サウスベルト侯爵としてしっかりと胸を張って、

 威厳を持って対応してください!!」



そんな私の言葉に慌ててお父様は、必死にアズーリに謝罪と媚を売ろうとする。




「る、ルビー!? お前なんてことをアズーリ様の前で言っているんだ……

 あ!? け、決してアズーリ様に対して怒りを持っているとかではないのです!

 少々、言葉が悪いところがありまして……

 何分、妻に先立たれてから男で一つで育てておりまして……」



「お父様!!」



「は、はい!」



私の言葉に丸まっていた背筋がシャキーンと伸びて、返事をするお父様。

そんなお父様にニヤリと笑ったアズーリが、




「そう言えば……この間、『ぶっ殺す!!』って言われました……

 ルビー様に」



その言葉を聞いたお父様は顔面蒼白になって、震えながら私の方へと向き直る。




「そ、そんなことを、い、言ったのか?」



思わずアズーリの方を睨むのだが、

そんな私の睨みなんてどこ吹く風で受け流すアズーリ。


ちなみに横ではプルメリアが頭を抱えていた……




「先にあんたがいったんじゃないの!!」



「俺は言っていませんけどね。怖い怖い。

 歴史のある本物の貴族様は本当に怖いですねぇ~」



「はぁ~!? あんたの態度がそうさせているんですけどね!?

 何? 今日来たのは謝罪じゃないの!?

 私に謝罪するために来たんでしょう!?

 それなのに、何私に腹をたてさせているのよ!!」



「“短気は損気”って言葉知っている?」



「私は、“今すぐ殺す!”って、言葉を知っているわよ!!」



「ちょ、ちょっとお二人とも!!」



慌てて私たちの間に入って止めようとするプルメリア。

ちなみにお父様の方は、泡を吹いて崩れ落ちていたのである。


どうやらお父様の蚤の心臓では

私たちの言い合いに耐えることが出来なかったようだわ……




「だいたい、謝りに来たのなら誠意を見せなさいよ!」



「誠意ってなんだよ?」



「あんた、水の湧く魔剣を持っているのでしょう?

 それを渡せば許してあげてもいいわよ」



「そんなモノ持ってないよ。

そんな夢みたいなモノがあったら、疾うの昔に使って、

 今頃は左うちわで隠居生活してるっての!」



「はぁ~!?」



思わず目を見開いて驚いてしまう。




「じゃあ、あの川の水は!? 何!?

 実は川はあそこにあったですっとかいうバカな言い訳するわけじゃないでしょうね!?」



「そんなバカな言い訳なんかするわけないだろう?

 あの水の水源はどこかの人達が死の水って呼んでいる水を持ってきてるんだよ」



「はぁ~~~!? そんなわけないじゃない!

 死の水は飲めば人が死んでしまうし、植物だって育たないのよ!?

 私見たんだからね! 畑が出来ていて、芽がでているのを!!」



「だから、それにあの死の水を使っているんだって。

 というか、正確に言えば、死の水ではないちゃんとした水がある水域を選んで

 そこから灌漑工事をして分水しているんだよ」



「そんなのあり得るわけないじゃん!

 ありえないから、こうしてサウスベルト領は貧しいし、

 サウスベルト侯爵家は田舎の貧民って嫌味をずっと言われているのよ!!」



「そりゃぁ~残念だったね。

 というか、サウスベルト侯爵家は護衛業を生業にしているって聞いていたけど、

 現状の物流の変化によってますます苦しい立場になったんじゃないの?」



「うぐ!?」



アズーリの言葉が胸に刺さる。

アズーリの指摘の通りで護衛業は全くと言っていいほど稼げなくなっていた。


アズーリ商会がそれまでサウスベルトの物価からは考えられないほどの低価格で

王都やアズーリ領から食料品などを販売するようになったからだ。


それに対抗するためには、今までのように護衛に守られて

陸路で商品を持ってきていたのでは商売が成り立たない。


だから急速に護衛依頼が無くなっていき、

今ではサウスベルトにある商会はアズーリ商会を介して商品を手に入れているのである。


そのアズーリ商会がサウスベルト侯爵家のサウスベルト商会に依頼を出さないのだから、

当然仕事が無くなっていくのであった。


確かに街に活気が戻ってきたし、サウスベルトでは入手が困難であった王都品の数々が

巷に溢れるようになってきて、消費もあがり、

雇用も生まれてで税収がどんどん上がっているのは分かっている。


だからと言って、本業を上回るほど稼げてはいなくって苦しい状態になってしまって……ハ!?


私はあることを思い出してアズーリを睨む、

その睨みに対してニヤリと笑うアズーリ。

どうやら思い当たる節があるようで……


いつも読んでいただきありがとうございます。

是非ともブックマークおよび評価をお願いします。

そのワンポチが…明日への活力ですので!

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