147話目 ルビー・フォン・サウスベルト1
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「おほほほほほ! 売ってやったわ!
これであの土地で何が起こったとしても私たちサウスベルト家は関係ないわ!!
おほほほほほ! 絶対にあの土地で問題が起きるけど、
それでも私たちには関係ないって言いきってあげるわ!!」
先日、腹ただしいガキのマコト・フォン・アズーリに売りつけた土地は、
散々な土地であることを思い出しただけで笑いがこみあげてくる!
そんな土地を売って、莫大な金銭を得ることが出来たのだ!
これで苦しい暮らしを敷いてきてしまったサウスベルト侯爵家に
仕えてくれていた貴族たちに一つ報いることが出来るというものである。
「爺……苦労を掛けたわね。これで美味しものを食べなさい」
そう言って、幼い頃からサウスベルト侯爵家に仕えていて、
いつも私の護衛をしていた爺にお金を渡すと感謝の言葉を震えながら述べてきて……
「ありがとう……ございます……、お嬢様。
爺は……これほど嬉しいことはございません」
そんな震える爺を見ると思わず抱きしめて二人で泣いてしまった……
爺には本当に苦労を掛けたし……
爺は騎士であるにも関わらず、あの土地の税金を払うために副業を強いられていた……
サウスベルト家の食器洗い、お風呂掃除、トイレ掃除等々……
本来騎士がするべき仕事ではないと言うのに、笑顔で
「これで王国の税金が払えます。ありがとうございます」
っと言ってくれていたけど、それがどれだけ申し訳なかったことか……
ただサウスベルト家から土地を譲渡されたためか、
最後まで土地を売ることを渋っていたのは……
本当にサウスベルト家に対して誇りを持っていてくれることだったのね……
ちょっと心苦しかったけど、
それでも爺に負担となることを緩和できれば私は嬉しいわ。
先日手に入れたお金を渡した時に泣いて二人で喜びあった時……
私も14歳で、来年から王都の学園に通うご令嬢であるのだから、
これからは人前で泣くのは止めよう……爺がボソッと言った言葉を思い出す。
「これで妻とちょっと外食をします……
今まで外食などしたことがなかったですから……
妻も喜ぶことでしょう」
じいぃぃぃぃいぃいいい!!!
……オホン! 大丈夫よ! 落ち着いたわ!
……それよりもあのガキよね。
見た目は私と同じか年下っぽいガキにお父様ときたら、敬語で話すなんて!!
しかももしもお父様に尻尾がついていたら、
全力で尻尾を振って媚を売るような態度をして!!
まったくお父様は侯爵なのです!
それも偉大なるサウスベルト侯爵なのですよ!!
それを……それを……あんなガキんちょに媚びへつらうなんて情けない!!
当然そんなお父様だから、あの商談を終えた後でもずっと私に対して、
「な、なあルビー……
あ、あの不毛な土地を売りつけたと言って文句を言ってこないかな?」
「大丈夫ですわ。そんな土地を見抜けなかったのですか?
と逆に言ってやればいいのですわ。」
「ほ、本当に大丈夫かな?
それにあの港の建設予定地は……
水に住む魔物たちが襲ってくる場所だろう?
そんな土地に港なんかを建設をして、魔物達に襲われでもしたら……
ど、どうしよう! ルビー! どうしよう!!」
「それでこちらに何を言ってくるというのですか?
アズーリは王国きっての武闘派貴族なのでしょう?
そんな武闘派貴族がこちらに救援を求めてくるなんて
鼻で笑ってしまいますわ。
そんな誇りもプライドもないのですか?
と逆に言ってやれば、アズーリなんて怒りに肩を震わせるだけで
何も言えなくなるに決まっていますから大丈夫ですわ、お父様!」
「そ、そうか……そうだよな……
ほ、本当に大丈夫……大丈夫だよな?」
「大丈夫です。それよりも少しお疲れのようですし、
今日は早めに休まれてはいかがですか?」
「う、うん……ああ……そ、そうするか。
そうだね。ちょっと疲れているんだよ……じゃあ、お休みルビー」
「ええ、お休みなさいませお父様」
一旦落ち着いたかに見えたけど、それからも私の部屋に何度も戻ってきては
私に確認してくるお父様……本当にもっとちゃんとして欲しい!
私はちゃんとしたお父様になって欲しいのに!!!
まあ、それでもちょっと私を頼ってくるのは嬉しいですわ……
私無しでは生きていけないなんて考えると、
私がしっかりとしなくてはいけない!!
支えてあげないといけない!!
そう強く思えてきますもの!!
早くに亡くなってしまったお母様の分まで私がお父様を支えて見せます!!
ですので、天国から私とお父様を見守ってくださいお母様!!
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