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異世界転生には、夢も希望もございませんでした  作者: Taさん
第六章 城塞都市サウスベルト
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143話目 サウスベルト到着

いつも読んでいただきありがとうございます。

今日もよろしくお願いしまーす!

「お待ちしておりました」



帆船を陸から少し離れた場所に停泊させ、そこからは小舟に乗り換えて陸へと向かった。

その陸地ではプルメリアと数人の騎士たちが俺を迎えに来ていたのである。




「……プルメリアに売られたから遅くなった」



オリヴィアに売られた嫌味を言うとプルメリアの方はニッコリとほほ笑み、




「私には無理でしたから、さすがはアズーリ子爵様です! では、行きましょう」



「全然、褒められた感がないけどな……」



さらりと触れて、すぐに違う話題に変えてなかったようにするプルメリア。

まあ、この件は大して気にしているわけでもないから別にいいけど、




「で、港の建設場所はこの辺りにするのでいいの?」



今、上陸した辺りを整備して港にすると手紙には書いてあったのだが……




「はい、その通りですが……なにか問題でもございますか?」



「いや、そんなことは全くないけど……

 逆に気になるのは、良くこんな場所が手つかずであったなってことだよ……」



上陸した場所は、眼前にサウスベルトを囲う城壁があり、

すぐに海から町に入れるような好立地なのだ。


ここなら荷揚げ後も楽に街の中へと運ぶのに適している。

だから余計に不思議に思ってしまう……



何でこんな土地が更地のままで放置されているんだ?


俺がサウスベルトの民なら、目の前の海に船を出して漁業をする。

海との行き来はここなら簡単だし、釣り上げた魚を運ぶには

たいそう利便性の高い場所だろう。


それなのに、手つかずなのは……?


まあ、土地が手つかずな理由は横に置いといても

この辺りに漁船がまったく見当たらないのはどうしてだ?


たしかに船という発想が乏しい世界だけど……

それなら陸から竿を出して、魚を釣るのだっていいだろうに?


これは王都ではチラホラ見られたし、

他の地域でも川で釣りをする住人はいた。


だから、釣りをするという文化はあるはずだ。

それにも関わらず見渡す限り釣り人なんて一人もいない。




「……ここって呪われた場所とか地元で噂されている場所ではないの?」



そんな俺の言葉に首を横に振るプルメリア。




「いえ、そんな噂は全くございません。

 ちなみに、この土地については、サウスベルト侯爵側から

 購入することが条件で港の建設許可が下りております」



「??? ちょっと何を言っているか分からないんだけど……

 港だよ? 手数料を取れる場所を建設にするのに

 そんな場所を俺に売るっていうの?

 何? これ美人局?

 後から恐いお兄ちゃんがどこからか出てきて恐喝されるパターン??」



サウスベルト侯爵の提案が理解できない俺は困惑する中、

さらなる困惑をプルメリアから言われる。


地図を取り出したプルメリアは、




「それとこの辺りからもっと北の方まで土地の購入の打診が来ております。

 こちらはサウスベルト侯爵はもちろん、

 サウスベルト領内の貴族達からも打診されております」



「……何? みんなこの土地から逃げ出したいの?

 それともそんなに困窮しているの?

 土地を売らないと生活できないほど追い詰められているってことなの??」



どういうこと? 何で土地を売ろうとしているのかね?

貴族で土地持ちってことは勝ち組じゃない?


搾取してガッポガッポと稼ぐことが出来るのに、

その権利を捨てるとかどうなってるんだ……あ!?




「もしかして、その土地って不毛の土地?」



俺の言葉にプルメリアの顔が曇る。どうやらビンゴだな。




「はい、おっしゃる通りです。

 そもそもサウスベルトでは水の確保が難しく、

 農業が出来る環境ではございません。

 それでも土地に対する税金はかかりますので、

 どの貴族も土地を手放したいと思っているのです」



「……そうなるよね。

 不毛の土地で、さらにはお金を生むどころか、

 お金を消費していく土地なんて普通はいらないよね」



「はい、私もそう思います。

 ちなみにですが、今お伝えした場所だけではなく、

 さらに追加で購入して欲しいと言ってきた場所もあります」


そう言って、プルメリアが指でその辺り一帯を指し示してくれるのだが、




「……これ、サウスベルト領の三分の一くらいあるんじゃない?」



そりゃ~金だけとられるとなれば、誰もが売りたいと思う気持ちは分かる!


分かるけど!!


ただ、その規模がデカすぎる。想定していた大きさとは全然違うし!


ホテルを建てると噂が流れれば、ホテル分くらいの土地を売ります!っと

手を上げる貴族たちはいるけど、ここに記されている土地はそんな規模の土地じゃない。




「……ここまで土地を購入して欲しいと言われてもこんなに金はないなぁ~」



土地はあるに越したことはないけど、

これだけの土地を買うとなると費用も膨大になるだろう。

そんな費用何て……




「トータルでこの金額になります」



「……買えるな……こっちの出せる金額がバレているんじゃないかってくらい、

 いい線いってる金額じゃんかよ……

 というか、この金額でこれだけの土地が買えるって……もしや……」



提示された金額は、プルメリアホテルを今回3年間運営して得られる利益金額と

港建設で水増しして王国に請求した金額の水増し部分を足したよりも

もうちょっと多いくらいの金額である。



となると……



俺がある結論に至るところで、

プルメリアも何とも言えない表情を浮かべてこちらを見てきて、




「オリヴィア様がリークしているのではないかと思われます……」



「だろうね……多分サウスベルト側もその金額を聞いて、

 選定してきて、これらの土地を売りに来てるんだと思うのが、妥当だろうね……」



オリヴィアめ……あいつは……どこまでも己のために謀ってくるな……


いつも読んでいただきありがとうございます。

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