142話目 命名! ~リヴァイアサン視点~
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「お前を生かしておく代わりに要望が2つある」
そう言いながら人種が指を二本立てて我に見せてくる。
「……要望? ……何が望みだ?」
これほどの力を持って我を制したのだ、
きっとろくでもないことを要望してくるに違いない……
「1つは俺の船を魔物達が襲わないこと」
「……船というのは貴様……名を教えて…ほしい…」
貴様と言った瞬間、エルフ種が殺気を込めた目で睨んできたので、
慌てて人種の名を尋ねると、
「俺はマコト・フォン・アズーリだ」
人種が言い終わるや否やエルフ種の方が、我に向かって言い放つ。
「アズーリ様と呼びなさい。それ以外の呼び名を呼ぼうものなら……」
ニッコリとほほ笑むエルフ種が怖い……
あと、その続きを一応を聞きたいのだが……触れない方がいい気がするので触れないでおこう……
「……アズーリ様、船というのは今、アズーリ様が乗っている物のことだな?」
「そうそう。これを襲わないようにして欲しいんだけど、
ほかにも俺の所有じゃない船が今後来ると思うんだよね。
だから識別して欲しいんだけど……方法は何かある?」
「……ある」
そう答えて、我の身体の傷を負った部分で、
剥がれかけていた鱗を身体を震わせて数枚飛ばし渡す。
「我の魔力を帯びた鱗だ。それを持っていれば決して我を慕う者達は襲わぬ」
「なるほどね~……もうちょっと欲しいんだけど、くれる?」
ねだってくるアズーリ……様にさらに数枚鱗を飛ばし渡す。
それを受け取ったアズーリ様は満足気な表情をするのだが、
アズーリ様の横にいたエルフ種は、
「我々の分は足りますが、他の商人に渡すには足りませんが?」
そんな言葉をかけるとアズーリ様は普通の顔をして、
「何で商売敵に渡さないといけないんだよ?
欲しければ、自分の手で手に入れろっての。
なので、俺達の分だけあればいいだろう?」
そんなアズーリ様に呆れたような視線を向けるエルフ種。
「……竜と戦える人間なんてマコト様とあのメスゴリラしかおりませんよ?
無理に決まってるじゃないですか……」
「なら仕方がないよね! だから……お前名前は? 名前を聞いてなかったわ」
「我は偉大なる水の竜であるリヴァイアサンである!」
「じゃあ、チャッピーで」
「プフゥ!? チャッピーって!」
笑うエルフ種を思わず睨もうとするのだが、すぐに止める。
エルフ種も我より強いことを理解しておるため逆らえない。
そして、当然我が止めないのだから、エルフ種は大ウケして腹を抱えて笑っていた……
それはまあ許そう……
いや、許すしかないんだけど……
だが……
だけど……
偉大なる我にチャッピーって!!
満足気な表情をしたアズーリ様に違う名前に変えて貰おうと思ったのだが、
そんな我の行動を察したエルフ種の方が、
「良かったわね、マコト様に名を付けて貰って。
だから……まさか……嫌とは……言わないわよね?」
……嫌です……
とは心の中でしか言えず、あきらめてチャッピーを受け入れるしかなかった……ひどい……
そんな心を打ちひしがれているとは露知らず明るい声で
アズーリ様が我に話しかけてきた。
「チャッピー! だから、俺の船以外はしっかり襲えよ!」
「……良いのか? 同胞ではないのか?」
「商売敵は潰す!!」
……我も逆らわないようにしよう……
そう心に決めるには十分であった。
きっとろくでもないことを要望してくるに違いないとは思っていたが、
それが別の方向でろくでもない要望をしてきたし……
「あともう1つの要望は、汽水域を教えてほしいんだけど」
「……汽水域? とは、どういうものだ? そんな言葉を初めて聞くのだが……」
「そっか、汽水域とかって言葉はこの世界にはないよな……
そうだな……ここの水とは違って、チャピーの仲間が
苦しむような水が存在する場所はないか?」
そう言われるとアズーリ様の言葉にピンときた。
「我を慕う者達の中で、もう少しアズーリ様が来た方へと戻ったところに行くと
苦しみ出す水域がある。そこのことを言っているのではないかと思うのだが……」
「そこだな。じゃあ、そこの領域まで船を引っ張って連れていってくれ」
……逆らうことが出来ずに、アズーリ様に言われるがまま連れていき、
その後人種どもが住む地域まで、また船を引っ張っていくことになった……
我は……
チャッピー……
しがない水龍の王である……
……グスン……
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