表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生には、夢も希望もございませんでした  作者: Taさん
第五章 ノースベルト襲撃
157/960

124話目 魔族8

いつも読んでいただきありがとうございます。

今日もよろしくお願いしますねー!

「いや、先にエールに止めを刺した方がいいんじゃない?」



俺へと視線を向けてきた魔族にそんな言葉をかけたのだが、

俺の言葉に応えるように首を横に振り、




「そうしたいのがな、この魔力封印は20秒ほどしか使えなくてな。

 だから、先に……貴様を退治することにするよ!!」



そう言うや否や俺との距離を詰める魔族。

俺の方は無意識に近い状態で詠唱を唱えて、剣を構えるのだが……




「マジか!? あいつの言う通りってことか!?」



聖剣技が発動しない!


本当に聖剣技って魔法だったのかよ!!


っと衝撃を受けている暇を魔族が与えてくれない!


目の前に迫った魔族から繰り出された一撃を紙一重でかわした!


ってか、よく躱せたな!!


どうやって躱したんだよ!?


自分で自分にビックリだよ!!


自分でも躱せたことに思わず驚いてしまうのだが、

魔族の方も当然のように驚いていて、




「どこまでも……楽しい奴だな!!」



いや、驚いていたのではなく、楽しんでいるようだ。


だが、このまま躱し続けるのは不可能だ。


こいつの一撃をどうやって躱したのかも分からないし、

次の一撃を躱せる気なんてまるでない。

ならば俺がとるべき行動は一つだ!!


俺への連続攻撃をしてこずに、距離を取っていた魔族。

その隙に俺は剣を両手で持って、上段に構える。




「……覚悟が決まったか?」



俺が上段に構えることで、一撃を加えようとしていることが分かった魔族はニンマリと笑う。

こいつ本当に戦闘狂だな……




「ああ、お前を殺す覚悟がな」



そう言うとますます嬉しそうな顔をする魔族。


ただ、そんな中でも魔族が手に持つ黒い球体に更にヒビが入り、

魔族の方も嬉しそうにするのを止めて、魔族もゆっくりと構えて、




「名を聞いておきたかったが、その時間もないようだ」



俺と魔族との間の空気がどんどんピリついていく。


俺の喉が一瞬で乾いていき、水分を欲するが、

唾を飲み込もうとする動作の一瞬でも意識を別に持っていくことは出来ない。


魔力も込められない素の俺が出来るなんてことは、

一番得意で、もっとも威力があるだろう一撃にすべてをかける。


緊迫した空気の中、この喧騒とした状況下にまったくふさわしくない沈黙が続き、

その沈黙が永遠に続くかと思ったのだが、黒い球体がパキ!っと、

いよいよ割れるという深い傷を負ったところで事態は動き出した。


俺との距離を一足で詰めてきた魔族に、俺は合わせるように剣を振り下ろした!!




ストン!



その一撃にはまったくふさわしくないような音と共に俺は剣を振りぬいたのである!!




「……見事だ」



魔族から短い称賛の声をかけられたと同時に俺は、

身体に強い衝撃が走ると同時に後ろに激しく吹き飛んだのであった。




「ふ……ハハハ! 魔力もなしで、その技量だけで私の魔力壁を突き破ったというのか!

 面白い!!」



魔族が大笑いしているのが聞こえてくる。

どうやら、魔族の一撃を受けても命をなくすことはなかったようだ。


ただし、身体が全く動かずに、さらには一瞬気を失っていたようで

魔族の笑い声で意識が戻って来た状態だ。


そんな俺の目の前には満足げな顔を浮かべた魔族が立っているのだが……




「見事だな!」



そう言うと俺の前にドサリと何かが落とされた。

身体は動かせないため視線だけでそれを見ると……




「私の右腕だよ。

 あの素晴らしい一撃を受けて見事に切り落とされた!

 素晴らしい技術を持った一撃は音もなく斬るというが、

 まさかそんな一撃をこの身で受けることになるとはな!

 ハハハ! 気分がいい!

 こんなに素晴らしい武器の使い手に会えるなど、生涯で何度あることか!

 フハハハハハ!」



本当に楽しそうに笑う魔族を見ながら、腕を斬り落としたとはいえ、

まだまだ余力のある魔族がこのままノースベルトで暴れると間違いなく街が亡ぶ。


十分な実感がある。


ゲームでは撃退したと言っていたけど、こんな化け物が撃退できるなんて微塵も思わない。

何とか、この油断している状態の魔族に手傷を負わせないと……


そんなことを思いながら、自分の愛剣を目で探し始める。

そんな俺の仕草に気づいたのか、大笑いしていた魔族が、また一段と大笑いし始めた。




「そんな身体になろうとも、まだ私を倒す策を探そうとするのか!?

 いい男だな! 気に入った!」



そんな言葉を言うとゆっくりと歩いて俺の視界から消えたのだが、

すぐにまた視界に戻ってくるとゆっくりと近づいてくる魔族。


そして、スウゥっと何かを俺の視界に入る位置に置いてくれる。

視界に入ったその何かに視線を向けると……




「……十束剣……」



俺の剣である十束剣が、刃の部分が折れていたのである。




「お前の技量に剣が追いついてなかったから、起きたのだろうな」



そんなことを言ってくる魔族に俺は剣なしで、

この化け物に手傷を負わせる方法を考えなければならない。


聖剣技も使えないが、それでも何か……なにかを……




「この期に及んでまだ勝利への道筋を探す……か!!

 いいな! 気に入った名をなんという?

 私の名前は“ドロシー”だ。

 これでも魔族で私の名前を知らない者はいないくらいに有名なんだぞ!」



俺に興味津々といった様子で俺を覗いてくるドロシーに俺は、振り絞った声で返事をする。




「マコト…マコト、フォン……アズーリ」



「なるほど、マコト……マコトか! 覚えた!!」



名前を何度もつぶやきながら自分の脳に刻むように左手で頭をなぞり、

そしてパッと顔を上げるドロシー。


ただ、それも一瞬で俺を見ていた視線を他の方へと向けて、

また禍々しい気配を漂わせるのであった。

いつも読んでいただきありがとうございます。

是非ともブックマークおよび評価をお願いします

そのワンポチが…私の応援になります!頑張るぞー!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ