117話目 魔族1
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「……くくく、面白いな」
そう言いながら一体の魔族が煙の中から歩み出てくる。
その姿は人間と全く変わらない姿をしており、違いあるとすれば、
その両目共に禍々しいまで赤い光を帯びているくらいだ。
「……なるほどね……人型の魔族ってところか」
モグラの容姿の魔族もいたのだから、当然人型の魔族だっていてもおかしくはない。
その人型の魔族は、悠々とこちらへと歩み寄ってくる。
グランドクロスという大技を受けたというにも関わらず傷一つ帯びた様子はない。
そんな姿を見てオリヴィアが口にしたのは、
「貴様が……魔王とか言う存在か?」
そんなオリヴィアの問いにうん?っといった表情をして、
「魔王…とは何だ?」
「魔王を……知らない……のか?」
「その質問には、イエスだな。そんなモノは知らない。
魔王……それは魔族と呼ばれる我々を束ねる存在とかいうことを言っているのか?」
「ああ、そうだ……その言い方だとどうやら違うようだな……
なら、我々でも十分に勝てるということだ」
オリヴィアの言葉に思わず首を傾げてしまう。
当然魔族の方も意味が分からないと言ったようで、
「なぜ、その魔王と言うのでなければ勝てるという道理になるのかが
意味が分からないが……」
「ふん! 知れたこと! 魔王は聖剣がなければ倒せない。
だが、ただの魔族であれば話は別だ!
聖剣なんぞなくても葬ることが出来るのだからな!!」
「聖剣? 何だそれは?
ここ……何年か忘れたが、人族のエリアに来ていない間に、
そんな武器が出来たというのか? 初耳だな……」
「はぁ!? 聖剣は我々人類が生まれた時から、魔族や魔物を葬るためにある剣だぞ!
知らないとでも言うのか!!」
「知らないな……少なくとも私が生きている2000年ほどの間には
一度もそんな話は聞いていない」
なかなか衝撃の事実が告げられているんだけど……
聖剣の存在を知らない魔族なんているのか?
2000年は生きていると言っている魔族が知らないってどういうこと?
そんなゲーム設定ではなかったけど?
そもそも魔王はいたし!! それを主人公が倒すんだし!!
なのにいないってどういうこと??
「だいたい、魔の領域には我々を統べるような者はいない。
どいつもこいつも曲者ぞろいだからな。
そんな我らをわざわざ苦労してまでも統べるなんて、
時間の無駄でしかないだろう?」
ここでようやく俺も気になることが多すぎて、会話に参加する。
「なら、あんたも曲者ってところだね。
あんたのような奴がほかにもいるのかよ!」
そんな俺の質問に答えるよりもこちらに視線を向けてからニヤリと笑う魔族。
「そうだな……貴様の質問に答えてやってもいいが……
この世の中では、等価交換は必須だと思う……が」
最後の言葉を発したと思った瞬間に動き出す魔族!
一気に俺との距離を詰めてきた!
ただ、その動きに遅れることなく、俺の方はカウンターの要領で
剣を魔族の動きに合わせて、突き出された右の拳を避けながら、伸びた腕を両断……
「できない!?」
ただ鈍い音が辺りに響いただけで、切り落とすことなど出来ていない。
本来は斬るべきことに使われるはずのエネルギーが衝撃となって手に返ってくる!
痛みに一瞬怯みそうになるのだが、それよりも早く俺は剣を翻して、
今度は喉へと突きを放つ!
先ほどの斬撃でも服は一切切れていない。なら、この服が……
「この……くそ化け物が」
思わず言葉を吐き捨てながら、一歩、二歩とすぐに下がって距離を取る。
喉に入れた突きは一切皮膚を通ることなく、表面で止まったのだ。
「ふむ……なかなか鋭い一撃で将来性があるな……
ただ、その将来が来ないのが残念だがな」
ニヤリと笑い、そんなセリフを吐いた瞬間に今度は魔族からの攻撃が始まった!
右の手刀で俺の顔を狙ってくるが、それを躱しながら、
躱したことでさらされた魔族の顔に対して、今度は魔族の目に鋭い突きを入れる。
「だろうと思ったよ」
そのセリフと共にわずかに顔の位置をずらして、俺の突きを額で受けきる魔族。
「愚かだな。武器に頼るとは……な!」
そう言うや否や左手で俺の伸びきった両腕を掴もうとしてくる!!
が!!
「俺も…そう思うよ!!」
俺はその瞬間に剣から手を離して、両手共に引っ込める。
すると俺が伸ばしていた先に魔族の伸びてきた左手が現れる。
その伸びきった瞬間を俺は見逃すことなく、今度は俺が掴み上げて、
同時に自分の背を相手に向けてに左腕を俺の身体の正面に巻き込むよう抱え込んで、
肘を極めながら一本背負いをかます!!
「な!?」
驚愕の声を上げる魔族は、そのまま俺に投げられて地面に背中かから叩きつけられた!
更に追撃に、俺の膝が魔族の喉元へと落とされた!!
ドゴ!!
鈍い音が響くと同時に俺は飛び跳ねて魔族から距離を取りつつも、落ちた剣を拾い身構えた。
しばしの沈黙が流れた後、
「……ふ……ははははは! 面白い! 私が地面に叩きつけれたなど、何百年ぶりだ!!」
魔族は全く俺の一撃が効いていない様子で笑い、立ち上がる。
そして、嬉しそうにこちらを見てきて、
「興が乗って気たな。これから楽しませてくれよ」
「俺はまったく乗ってないね。とっとと帰ってくれ」
「そう言うな、せっかく来たのだから少しは楽しませてもらわないと……な!」
魔族がそう言いかけたところで、
「なら……私も楽しませてもらおうかな!!」
そう言うや否やオリヴィアが振りかぶった斧を
高速で振るい魔族の身体にぶち当てた!
「……ふは!! 面白いな!」
当てられた魔族は傷一つ負っていないが、オリヴィアの一撃によって数歩動かされていた。
それを喜んでいた魔族に更なる一撃が襲い掛かる。
「くたばれ! この化け物が!!」
そう叫ぶと同時に斧が魔族に襲い掛かる!!
ドスン!
と鈍い音が響くが、これを右腕一本で受けきる魔族。
「私の魔力壁を突破は出来ないようだが、まずますの一撃だよ」
完全に楽しんでいる様子の魔族。
ここで気になるのは魔力壁ってなに? っという疑問だが、
そんなことを聞いている余裕なんてない。
俺が剣を構えて、オリヴィアに加勢をしようとした時、
オリヴィアがいきなり叫びだしたのだ!!
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