91話目 襲撃9
いつも読んでいただきありがとうごさいます!
本日もよろしくお願いします!
誤字脱字のご指摘ありがとうごさいます!
まだまだ勉強不足な点があり、さらには誤字もありご迷惑をおかけします(-_-)
「それにアズーリ商会は、アズーリホテルを王都でも運用開始したわ。
安価なアズーリホテルは、今まで低賃金のせいで馬小屋にしか
寝ることが出来なかった冒険者に泊まれる部屋を提供できるわね」
その言葉に苦々しく同意の言葉を述べる。
「まさにその通りだよ。
それに低賃金で働いていて、馬小屋すら泊まれなかった連中が、
今度は空いた馬小屋に泊まれるようになった。
おかげで路上での犯罪が確実に減ってきやがったよ……」
「いい事じゃない。
あなたの仕事も減って、治安も守られて、
さらにはあなた自身の株も上がったんじゃないの?
衛兵隊長にあなたが就任してから、治安が改善されて行っているのだから」
「ああ、おかげでな!
まったく何もしてねえのに、治安が良くなってきて、
おかげで昇進が出来そうになってるよぉ!」
「良かったわ。じゃあ、昇進祝いをアズーリ様にお願いしておくわね」
「いらねえよ! 嫌味だよ! 嫌味! そんなのいるか!!」
「おとなしく受け入れておけばいいものを……。
何を遠慮しているのかわからないわ。
受けとるだけで、アズーリ様の覚えが良いのよ?」
「いるか! いいか! 俺に賄賂なんてきかねえよ!!」
そんな俺のセリフを鼻で笑うローズ。
笑うローズを一睨みするがまったく悪気もなく、気にする様子なんて微塵もない。
「……で、アズーリ準男爵様の狙いは……何だ?」
「狙い?」
「王都にある犯罪組織を片っ端から潰していくのが狙いじゃねえよな?」
「アズーリ様は、犯罪組織を許す気なんてないわ。
だから徹底的に交戦しているのよ」
「ぬかせ! アズーリ準男爵様は、貴族だ。
貴族の連中が考えもなしに、命を賭けて犯罪組織と対立するはずがねえ。
むしろそんな犯罪組織を利用しようとする連中ばっかりだ。
だから、きっとアズーリ準男爵様に今にも刺客が送られてくるぞ、
貴族の連中からな!!」
その俺の言葉に、何かを思い出したかのような顔をして、
「もう届いているわよ。今朝も3件ほど刺客たちの来襲があったわ」
その言葉に納得する。
「そりゃぁ~そうだ。当然そうなる。
で、そんなに落ち着いているってことは、
刺客の来襲は何とか切り抜けたんだな?」
「ええ、もちろん。
刺客を送ってきた各貴族の玄関先に刺客たちをお返しておいたわ。」
ローズの言葉に頬が思わず引きつってしまう。
比喩でもなんてもなく、本当にお返ししたんだと思えるからだ。
実際にここ数日の間にも犯罪組織に対して同じことをやってやがる……
貴族共から衛兵の所にそんな情報は届いてはいないが、
貴族たちの体面もあるし、絶対に報告などしてこないだろう。
それに自分たちが送り込んで暗殺しようとしたのだから、当然だ。
「そんな危険を承知で……一体何を企んでいるんだ?」
「だから、私は言っているじゃない。
悪を滅ぼすためにやっているのよ」
「王都の魔窟を清掃でもするつもりか?」
「必要とあらば」
さらりと断言するローズ。
確かにこいつらならやりかねない……が、
「当然、王家だって身を叩けば埃が出てくる身だ。
そんな王家をも敵に回すかもしれないんだぞ?」
「アズーリ様が、正義と信じていることは、必ず実行するわ」
……こいつらはどうやら本気でやる気みたいだな……
「今……巷でアズーリ準男爵様のことを何て呼ばれているか知っているか?」
「“正義の番犬”よね。」
「ああ、その通りだ。
アズーリ準男爵様が一鳴きすれば、犯罪者たちは瞬く間にいなくなる。
それを喜んでいる王都民たちが、そんな風に呼んでんだ」
「なら、その期待に応えるようにしなくてはいけないわね」
ニコリとも割らずに真顔で返してくるこいつの底がわからねえ……
だから、直球で尋ねることにした。
「アズーリ準男爵様は……何を企んでいる?」
「企んでいるとは? 王都民のために平和を導こうとしているだけじゃない」
その言葉に思わず鼻で笑ってしまう。
「ハン! そんな殊勝な貴族様がいたことなんぞ、今まで一度もねえな。
この王都に限って言えばな、
どいつもこいつも腹に何かを企んでいやがる連中ばっかりだ!!
そんな連中をいつも相手にしている俺が言うんだ。
間違いなくアズーリ準男爵様も何かを企んでいやがる。
それは一体なんだ?」
「それをあなたが知って何になると言うの?」
「それが王都民にとってメリットがあるならいい……だが、害になるのなら……」
俺がその言葉を述べたと同時に、ギラリとローズを睨むが、
ローズにはまったく届いていないようで気にした素振りもない。
なんなら、優雅に紅茶を楽しんでいるくらいだ。
手に持っていたカップをゆっくりとカップ皿に置いて、こちらへと向き直って、
「王都民には害はないわ。間違いなく。むしろ感謝されると思うわ」
「……本当なんだろうな?」
「ええ、それは断言してあげるわ」
断言してくるローズをジッと見るが、表情を変えることもなく
こちらを見返してくるだけのため、結局は何も読み取れない。
本心なのか……別の思惑があるのか……もう、俺の手からはこぼれるな……
そう思って、立ち上がりながら、ローズに一言だけ言っておく。
「お前さんの言葉を信じてやる。
だが、王都民に何かあったら、俺はいの一番にアズーリ準男爵様に噛みつくぜ」
「……何もないわ。それに噛みつく前に私があなたを殺してあげるわ。
今のうちに自分の死に方を私に教えておいて。
顔なじみのあなたのお願いだから、その通りに殺してあげる」
二人の間でしばしの沈黙が流れた後、
俺は無言でその場を立ち去ったのであった。
いつも読んでいただきありがとうございます。
是非ともブックマークと評価をよろしくお願いします。
そのワンポチが・・・僕を救います!




