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はじまり
人間は、弱く儚い生き物だ。
嘘と欲望に塗れ、己の為なら他者を蹴落とす。
感情に支配され、他者を傷つける。
私は、この門の前で多くの哀れな人間を見てきた。
この門へ来る人間の大半は、はっきり言って"クズ"だ。
己の欲望の為に他者を殺めた者、快楽の為だけに他者を虐げる者
自己顕示の為に他者を傷つける者、名声の為に嘘を重ねる者
富と権力に溺れる者。
そして、その者達全てに共通するのは
他者から憎まれ、恨まれているということ。
己のためだけに生き、他者を犠牲にすることでしか
生きられない哀れな人間たちだ。
そんな哀れな人間たちの行き着く先がこの門なのだ。
【審判の門】と、多くの者はこの門をそう呼んでいる。
そして、今日もまた哀れな人間がこの門の前へと
導かれやってくる。