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観測されて初めて百合となる  作者: 野村夜長
3/3

愛を求めて三千里

車の運転は嫌いだ。

理由は単純、腰が痛い。


車で移動するのは好きだ。

移動範囲が広がりどこまででも行けるようになった気がした。



私は流通の仕事をしている。

人へ荷物を運んだり、店へ商品を届けたり、国を跨いで貿易をしたり。

ほとんどの人は国から出ないから外国の話はどこでも盛り上がる。

この世界は6つの国に別れていて、それらが円形に並び橋がかかっている。

今は私の母国、和国から右隣の桜国にトラックを走らせている。

和国から右回りに桜国、護国、衆国、先国、遊国という。

国によってまったく文化や文明がことなることが多く、まるで…

「時代を切り貼りしたみたいなんだよな~」


それと、もう1つきっとほとんどの人が聞いたことのあるおとぎ話。

世界の中心、すなわち円形に並ぶ6つの国に中心に神が住む家がある。


いわくそれは

天国、地獄、高天原、エデンの園いろんの呼び名がある。


まあ実際にはそんなものはなく、あるのは国と国を繋ぐ国橋と呼ばれる橋が交わっているだけだが。




車を走らせて一週間経った頃、ようやく隣国の桜国に着いた。

桜国の特徴は名前に関するように花が綺麗な国である。

そして、花街である。



「いらっしゃい…ん?あんた、久しぶりだね~」

「婆さん、久しぶり。サクラを頼むよ。」

「はいよ」

受付の婆さんと軽く言葉を交わして部屋に案内される。


「よ~サクラ。瑞樹お姉さまがきたぞ~」

「ミズキさん!お久しぶりです。桜はミズキさんに会えない日は一日千秋の思いでした。」

桜は数年前に同じように桜国に仕事で訪れて際に桜の初めての客として出会ってからはずっと贔屓にしている。


桜国は他の国とは花街の捉え方が大きく異なっている。

この国では『出会いを求めるなら花街へ!』と政策を掲げている。

利用は年齢により異なってくるが15~20歳になるまでは出会いの場として提供されており、様々な町などから同年代の女子が集まり関係を作る。

20歳になってからはもちろん性的なことも解禁されるがそれだけではなく、単純にデートをしたり遊んだりするだけでなく、出会いの場が発展して花街合コンという名の出会いの場は他の国にも届いていたりする。



そして私が来ているのはいわゆる風俗の方である。

「あ~膝枕と耳掻きのセットは最高じゃ~」

「ふふ、年寄りくさいてすよ。」

サクラが耳にふーと息を吹きかけ身震いする。



「へー先国って機械化進んでいるんですね~」

耳掻きをしながら流しているテレビのニュースを見てサクラは感心している。

「先国か~先国な~。何回か仕事で行ったけどあそこは気味が悪いんだよな~」

「そうなのですか?」

「なんかあそこの住んでる人間も機械なんじゃないかってぐらい笑顔が作り物っぽいし、街は気持ち悪いぐらい綺麗だし」

「街が綺麗なのはいいことじゃないんですか?」

「いや、その辺にチリも落ちてなくて葉っぱが落ちようものなら一目散に片付けに行くんだ。」

「潔癖症なのですね~」

「そうならいいな~」



朝、隣で裸で眠るサクラを見て幸せな気持ちとわずかな罪悪感を覚える。


「んーーーーあ、おはようございます。」

サクラは大きく伸びをしてまだ完全に起きてないのか半目で挨拶をする。

「おはよう。ふふ、寝癖すごいね」

サクラの薄いピンクの髪が四方八方に跳ねているのが愛らしく髪を撫でる。

「ミズキさんはクセっ毛で寝癖が目立たないのが羨ましいですわ。」


身だしなみを整え桜国を立つ準備をする。


「ミズキさん、また来てくれますか…?」

「もちろんだよ。桜国に仕事がある時は必ず来るよ。」

「他の女性に現を抜かして忘れないでくださいね。」

「そうだな~。善処するよ。」


もうー!と言いながら頬を膨らませているサクラを背にトラックに乗り込む。

窓から手を振りサクラは頭を下げる。

サクラはトラックが見えなくなるまで頭を下げていた。



「さてと…仕事も済ませたし和国に帰るか~」

あいつ元気にしているかな。



長い長い旅路も和国の門が見えると疲れがドット出てくる。

入国審査を受けて家に帰るがてら知り合いが働いているコンビニに顔を出す。


「いらっしゃいま…ミズキさん!!!帰ってきたんですね!」

「おう、ショーコ戻って来たよ。こんな外でサボり?」

「接客は後輩に任せとけばいいんですよ~」

ショーコは私の胸に飛び込んでくる。

「くんくん、ミズキさん女の匂いがします…!!」

「いい女っていうのは女から好かれちまうんだ」

「もーう。」

「仕事終わったら家に来いよ。お土産渡すよ。」

「本当ですか!じゃあ仕事頑張ってきます。」

ショーコは店内に戻っていく。


「あーさすがに眠いな。」


さあ、早く帰って寝よう。




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