like a fairy tail
君は、例えるならーーー猫のような人だ。
君の毛はくせっ毛だけど、ふわふわしていた。
その頭にそっと触れると、大きくて丸い目をきゅっと細めて、猫がするみたいにすり寄ってくる。
その姿を見るのがすごく好きだった。
春は陽気が良いからなんて適当なことを言って、一日の半分を布団の中で過ごすこともあったり。
でも、あんまり気持ちよさそうに寝るもんだから、そんな日があっても良いかもしれないなんて思ってしまう。
冬になると、普段から少し猫背気味な身体をさらに丸めて、じっと寒さに耐えている姿を見ると、本当に君は猫の生まれ変わりなんじゃないかという気がしてくる。
君はどうやら、猫の生まれ変わりで間違いなかったようだ。
猫は、自分の死期を悟ると、飼い主のもとを去ることがあるらしい。
君はある日、突然、僕の前から姿を消した。
そして、その日から君のくせっ毛も、大きくて丸い目も、見ることができなくなった。
ある日、君は猫みたいだ、そう伝えたとき、じゃあ私はあと何回生まれ変われるんだろう?
そう言って笑った。
猫は、どうやら9回も生まれ変わるらしい。
そんな話、まるでおとぎ話のようだけど、
もしそれが本当だとしたら。
早く生まれ変わって、もう一度僕の前に現れてくれないか。
君がどんな姿であろうと、必ず見つけ出して見せるから。
だからもう一度。
どうか君の命が、
9回目の命ではありませんように。
そんなことを願いながら、今日も僕は、
君のいない街で、君の面影を探しながら生きている。