居心地の良い場所
田無浩司という生が終わってから、どれぐらいたったのだろうか?
立ちくらみの様な感覚と共に、俺の意識が戻り始めた。
まだ、視界もぼやけている為回復するまで何も考えない事にした。
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それから、暫くして
意識も軽くフワフワしている状態になった。
視界も定まり、周りは無音だが恐らく感覚的に聴覚も機能し始めただろう。
ただ、肉体がある時の感覚とは若干違く
何かに力を入れる様な感覚や息をしている事
自分の身体に触れている実感などはない。
「声も、、いつも通り出ると、、」
そして、どういう原理が分からないけど、思った事は毎回声に変換する事ができる。
身体も肉体がないので、地上で手足を使って歩く感じとは違えど、行きたい方向に強めに意識を向ければ、浮いてる感じで進んでくれる。
「さて、、、早速行動するとしようか」
俺はまず、周りを見渡した。
周りは無機質で俺も含めて真っ暗闇である。
俺の目の前にある存在事態が異様な程、大きく尚かつ輝いている扉を除いては、、
間違いなく何回も見たことの風景、、
死んだ時に必ず最初に目覚める場所で間違いなかった。
(初めての時は戸惑ったが、今では1番落ち着く場所かもしれないなー、ここが)
慣れといものは、怖いものだ。
本来ならば落ち着いていていい場所ではないのに、何回も訪れているうちに、この無機質の空間に安堵感さえ覚えてしまっている。
「何時間でもここにいたいが、、、さっさと目的叶える為に行ってくるかー」
そう、俺は独り言を言いドアの前に進んだ。
物を動かす事や掴んだりするのも、歩く時同様
強めに意識を向けると自由自在に動かすことができる。
俗に言う、これがポルターガイストなのだろう、、
「次来る時は、もしかしたらゆっくりできるかもな、、できるといいなー、、」
と言い放ち俺は扉を開けて進んだ。