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死してなお、愛しい君の創造者  作者: 草の者
第1章 "念願の死"
1/5

ようやく、辿りついた死


ーーードンッ! 、、、 グシャ、


夏の日差しと暑さがきつい、7月半ばの昼頃

雲が散りばめられた青空

熱されて熱くなっているアスファルト

ジュースを片手に、カバンを肩にぶら下げて歩いている、半袖の女子高生達

公園で水遊びしている、子供達。

ごくごく普通の誰もが想像するのが容易い、夏の風景だ。


俺と俺の周りをのぞいては、、、


(あぁー死ぬ間際の時間はいつまでたっても

慣れないな、、)


どうやら、俺は轢かれたようだ。

身体全体の衝撃

宙を舞った記憶

アスファルトに横たわりながら、遠のいていく意識の中に見える荷台がある大きな車体

間違いなく、トラックに轢かれたのだろう。


(身体に力が入らない、、声ももうでないや、、)


抗う気ももともとないが、試しに立ち上がろう思い試みたが、やはり無理だった。


(こんな状態じゃ数分で逝けるだろう、喜ばしい限りだ。)


(、、、ようやく迎えられる"30回目の死"だ、、、)


そんな事を思い、こんな状態だがうっすらと胸の奥で喜びを感じた。

そして間も無くして、意識が遠のく感じと共に人間が死ぬ間際に必ず見る習慣、映像のフィードバック、走馬灯が始まった。


走馬灯にも規則性がある。

いつだってそうだ

一回の生と死の間の記憶しか再生してくれない。


普通の人は走馬灯をみて、人生の振り返り

後悔や懐かしさを感じたりするのだが、、、

30回以上死を繰り返してる俺には、そういう感情がとうの昔に消えてしまったのだ。

強いていうなら、次はこうしてみようぐらいだ。


それに、俺にとっての今回の死は

RPGゲームでいう、レベルアップのようなものだ。


(いや、、"今回も"って言った方が正しいか...)


そんな事を、虚ろな意識の中再確認しながら

走馬灯が始まった。


今から10年前の2月、田無浩司(たなしこうじ)として生を受け母親の顔を見上げてる映像。


(いつもそうだが、言語は理解しているのに

声が発達してないから、話せないんだよなー)


保育園に入園して、すぐ友達が出来た時の映像


(今回生まれたところが、シングルマザーで保育園だったんだよなー)

(そして、いつも思うんだが、、、幼児の知能に合わせて周りと喋るのが1番疲れる、、)


小学校に入り、運動会での映像

(どの身体になっても、やはり根本的に苦手なものはかわらないな)


そして、事故直前、、、

公園で友達と遊んでいて、ボールが外に出てしまい取りに飛び出した時に跳ねられてしまった時の映像

(これで、終わりか、、)


ーー何にしても、今回は命10年と短くて助かったよ。



そして、走馬灯が終わり、、

弱々しく意識が現実に戻った。



走馬灯を見る前とは違い

俺は人に囲まれている様だった。

流石に周りを見渡せる程の力も、考える力もほとんど残ってないが、そんな状態でも分かる程、老若男女の声で充満していた。


その中には、泣き声もあった。

もしかしたら、一緒に遊んでた奴らかもしれない。


それ以外は理解できず

何かを言われてるようだが、その音も聞こえなくなり

身体の感覚が完全になくなってしまった。


(や、、っと、、本来、の、、俺に、、、、)


ーーそして俺の意識が完璧にシャットダウンした。





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