勇者パーティの日常Ⅱ
日常Ⅱです!!
ちょっと長めにして次の話から物語が動き始めるかも?しれません!!
気になっちゃう方は三話いっきに読むことをお勧めします!
「今日はここらへんで野営にしよう。」
勇者カイトの号令で、野営の準備が始まった。
テントを張り、火をおこし、夕飯の準備をする。
魔物の進入を防ぐため、結界を張り、女性陣のための湯浴みの準備も行う。
そしてこれらはすべてレオの仕事であった。
「ちょっとご飯まだなの!!?疲れてるんですけど!!」
「は~い!ただいま~!」
「レオ殿。鎧の修繕をお願いできるだろうか。」
「は~い!ただいま~!」
「レオ、回復ポーションが足りなくなってきているから補充をたのむよ。」
「は~い!ただいま~!」
お風呂の準備は!!
は~い!ただいま~!
.......................
食事の準備をしながら、風呂の支度も忘れない。夜の時間は大繁盛の居酒屋よりもさらに忙しく、レオはすさまじ速さで仕事をこなしていく。
「いつもありがとう。レオ」
「いやいや仕事ですから。」
カイトはレオの作った料理を口にしながらそう話しかける。
「もうこの料理も飽きたわ。ほかにもっと作れないわけ??」
「すいません。魔境だと食べられるものがほとんど集めれないので。」
魔境は草木一つは得ない不毛の土地。あるのは岩くらいである。そんな中でもレオは何とか工夫して料理を作っていた。
「クレハ。わがままを言ってはいけないよ。でも確かに、おいしい食事は士気を高める。なんとかならないかなレオ。」
「そうは言われても、食材がもうそこをついてしまって。今もさっき倒した悪魔の肉を使ってるんですよ?」
「うげぇぇ!!悪魔の肉って!!あんた何てものたべさせるのよ!!!」
「うわぁぁぁ!!!」
クレハの魔法で吹っ飛ぶレオ。
悪魔の肉は、それこそかなりの手間をかけなければまともに食べることはできない。それゆえ、探索に向かう時は、一か月分の食料を馬にひかせて持っていくのが基本なのだが、カイトが探索の速度がおちることを嫌いレオのもっていくべきという提案を拒否したのである。
「まったく、戦力にもまともにならないうえに、雑用もこなせないわけぇ!!?」
「まぁまぁ、レオ殿は大きな戦力とは言えませんが、助けられたことも少なくありません。あまり多くをもとめてはいけませんよ。」
「へぇ、ずいぶんとレオにお優しいのね!!もしかしてレオに気があるのかしらぁ?」
「ちょっ!!カイト様の前でやめてください!!いくらクレハ殿でもおこりますよ!!」
レオは大きな戦力にはなっていないと思われていたし、レオ自身もそう思っていたが、回復薬のいないパーティにおいて、みんなが一定のダメージを受けたら回復に回り、攻撃が激しい場合は前衛で攻撃を受け、数が多ければヘイトをあつめる彼の働きは、その戦力以上に仲間を助けていた。
まぁ忙しすぎて、かれらの会話をレオは聞いていないので、訂正しようもないのであるが。
そうこうしているうちに夜は更けていった。
「それじゃあ僕たちはもう寝るよ。見張り辛くなったら言ってくれ。」
「ちゃんと見張るのよ!」
「おやすみなさい。レオ殿。」
「はい。おやすみなさい。」
勇者パーティのお世話が終わった後は夜中の見張りもまた彼の仕事であった。
しかし、彼は世話をするのは嫌いではなかったし、他のメンバーはもともとは王宮出身で、そば付きの人間に世話をされてきていたため、レオ以外にこの仕事を行える人間がいなかった。
「見張りが辛くなっても、あんなところに声かけられないしなぁ。」
レオはそういって苦笑いしながら、不自然に揺れるテントを見てそうつぶやいた。
英雄色を好むとはまさにこのことだろう。もう何度目かわからないその光景にやるせない気持ちになりながらも、せめて避妊だけはしてくれとレオは思うのだった。
「さてとじゃあ、仕事を終わらしちゃいますかぁ。」
レオはシャルの使う鈍く光る鎧を手にした。
「...鑑定!!」
ピコん♪
<<姫騎士の鎧(壊)>>
騎士 シャルロット・ヴァン・ラングリアの鎧
ミスリル製の鎧。王宮お抱えの魔術師、鍛冶師の総力を挙げて鍛え上げられた鎧。
羽のように軽く、アダマンタイト並みの固さを誇る。
魔力と金属の特性の両方で結合しているため、修繕には魔法と鍛冶の力が同時に必要となり、かなりの実力が必要となる。
前胸部が壊れている。
傷になっている部分に焚火で熱したミスリルのパテを塗り込み、アダマンタイトのやすりでならしていく。凹みをハンマーでなおしていく。
「ふふふーん♪ふふーん♪ふー♪」
次第に乗ってきたのか、自然と鼻歌が漏れる。
ピコん♪
スキル<<精霊の子守歌>>が発動しました。
一帯の精霊の活動性が30%上昇します。
一帯の魔物の凶暴性が30%低下します。
味方の疲労回復速度が50%上昇します。
味方の体力回復速度が50%上昇します。
味方の魔力回復速度が50%上昇します。
実は勇者一行、野営中に魔物に襲われたことがない。それにこのスキルの効果が関与していることは明らかなのだが、周囲の気配と目の前の仕事に集中するレオにこのシステムは聞こえていなかった。
「さて、次は回復ポーションだなぁ」
そういって、大きなリュックサックから大小さまざまな薬草とすり鉢を用意していく。
調合の分量を一歩間違えると劇薬に変わっていしまうため、ポーション合成は国の認可が必要なほど難しい作業なのだが、レオにとっては靴磨きと同じような日課の一つであった。
「よし!できた!」
ピコん♪
<<特級ポーション(祝福)>>
最上位ポーション。欠損を含むあらゆる傷を治す。毒、呪いには無効。
かつてはエリクサーと呼ばれたロストアイテムの一つであったが、伝説の薬師エルフーリによってレシピが再現された。しかし、その作成は容易ではなく、高値で取引される。
祝福 精霊の気まぐれで祝福された一品。毒、呪い状態を回復する。
「おぉ。今日は祝福もついてるしついてるなぁ。」
レオが作るポーションは三回に一回は精霊に祝福された。本来であれば、ポーション作製を生業とするものが一生に数度見ることができるかどうかといったものであるのだが、レオはたまにつく特典くらいに思っていた。
これらの働きだけでも、城がいくつも買えるような仕事であった。
そしてここからはかれの趣味の時間。アイテム収集である。
彼は大きなリュックサックから収集したアイテムと取り出し、ずらっと並べると一つ一つ丁寧に磨きだした。
「おおお!これは悪魔のピアスの破片!!こっちは天使のネックレスの金具!!うはぁぁぁぁぁ!!たまらん!!」
レオが集めるのは、ただのアイテムではなく。一見ガラクタに見えるものだった。もちろんそのほとんどはガラクタである。
「この中にもしかしたらすごいアイテムが混ざってるって考えるとたまらないよなぁぁ!!」
そういって次々とアイテムを磨いていく。
「ん?これは、、、エルフの遺跡で見つけた種か。。鑑定!!」
ピコん♪
<<謎の種(未鑑定)>>は鑑定できません。
「え?」
一瞬戸惑ったレオであったが、あまり気にしなかった。というのも、鑑定できるのは世界のだれかがその名称や効果をしっているものに限られ、今までにもよくあることだった。例えば、道端の石を拾って鑑定しても石としか表示されないことがおおいのである。
「ありゃりゃ。ほんとにガラクタだなぁ。」
そういって謎の種を無意識に右ポケットにしまう。
そうこうしているうちに夜は明けていった。テントの方で人が起きる気配がする。
「いけね!」
「レオ~~~~!!お腹が減ったわ!!」
「は~い!!ただいま!!」
そういって勇者パーティの慌ただしい一日がまた始まるのだった。
このときはまだ信じていた。辛くもにぎやかで楽しいこの日々が続くものだと。
このときはまだ夢見ていた。いつか魔王を倒し、故郷に凱旋する日を。
だれも予想していなかった。この日々が最悪の形で終わることに...
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