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精霊と魔法

昨日は結局、アルマースさんが採ってきてくれた果物をありがたくもらい、精霊達が起こしてくれた火にあたりながら、精霊たちに私の住んでた世界について語り、そのまま寝てしまった。

朝起きると、アルマースの着ていた上着がかけられており、それのお陰で、寒さに震えることなく寝ることが出来たようだ。

顔を洗うために岸辺まで来て、湖の水を掬うと、ひんやりとしておりとても気持ち良かった。


「起きたか」


後ろから声をかけられ、濡れた顔を拭いながらアルマースさんに挨拶した。


「おはようございます、アルマースさん」


「、、、」


朝の挨拶に無言で返され、何か悪いことをしたかと考えるが、思い付かない。


「どうか、しましたか?」


私の不安げな質問に、少し動揺したように答えた。


「いや、誰かと朝を共にするのは久しぶりで、おはようと言われたのも、何百年ぶりかで、、、」


返ってきた答えのあまりの意外さとたどたどしい言い方に、思わず笑ってしまった。


「ぷっ、ははは、、、可愛いですね」


私がそう言うと、


「なっ、、、早く来い。 朝御飯だぞ。 、、、それと『アルマース』でいい」


顔を赤らめ怒ったような態度でそれだけいい、歩いて行ってしまった。

朝御飯、、、といっても果物と水だけだが、を食べたあと、この世界についても教えてもらうことにした。

なぜなら、自分の魔障の力がどういうものなのか分からないし、ここにずっといても何の手がかりも得られず、帰る方法も分からないから、この森から出て自分1人で歩いて行かないといけないのだと思い至ったから。

せっかく少し仲良くなれた(と思う)アルマースや精霊たちとお別れするのは寂しいけど、いつまでも甘えている訳にはいかない。


「ではまず、この世界には、昨日聞いた悠利の世界にはない魔法というものがある。 精霊(われわれ)の力を借りて、精霊(われわれ)に代価を払い行使する力のことだ。主に魔力を代価とする者が多いが、魔力のない者は食べ物や財貨などを代価とする場合もある。それらで力が行使できるかは、代価の価値よりその者の資質に依るところが大きいな」


「資質?」


「私達だって、意志がある。 気に入らない奴がどれだけの魔力を差し出したとしても、どれだけ素晴らしい供物を捧げられたとしても、力を貸すことはない」


「なるほど、、、じゃあ、精霊達と仲良くならないとどんなスゴい人でも何もできないってことだ」


私の解釈にアルマースは頷いて応えた。


「しかし、人間は傲慢ゆえに魔術というものも編み出した。 魔術は魔力と引き換えに、発現者の思い描く魔法に似たものを生み出すことができる」


アルマースの言葉に、驚きと納得とが混ざりあった複雑な顔になった。


「どの世界でも、権力と戦力はひたすら高みを目指し、他の人に出来ることが自分に出来ないことを嫌うものだからね、、、」


現実ではあまり実感は湧かなかったが、テレビの向こうでは、どこかの国が核兵器も持ち出せば、他の国も色んな屁理屈こねくりまわして自分たちも持とうとしてた。

規模や兵器の種類は違えどやってることは同じだ。


「魔法と魔術は、やり方は違うけど、もたらす結果は同じってこと?」


「いや、魔法は精霊の力を借りる分、攻撃なら威力が、治癒なら回復の程度や規模がけた違いだ。 精霊に愛されし愛し(いとしご)と呼ばれる者ならば、人間の国を潰すことくらい造作もないだろうな。 ゆえに魔法の方が重用されるが、使える人間が限られてる上に、我々の気持ち1つで効果にムラがあるため、あまり使われてはいないようだ」


「へぇ、、、まぁ、確かに初めて会ったときのアルマースはいかにも『人間嫌いです~』って感じだったもんね~」


私がニヤニヤしながら言うと、苦虫を噛み潰したような顔をした。

それからしばらくこの世界の常識(数百年前までの)を教えてもらい、ある程度知識を深めたところで、少し休憩に入った。


「う~っ」


私が岸辺で大きな伸びをすると、光の粒たちが集まってきた。


ーおわった?ー


ーあそぼ~ー


「まだだけど、ちょうど休憩だし、遊ぼう!」


そう言って精霊達の力で湖の上に駆け出す。




××××××××××




その後ろ姿を見送ったアルマースは、悠利の姿を眺めながら1人思案に耽った。


(独り異世界から喚ばれ、魔障というこの世界には根付く闇の鍵をその身に宿す人間、、、己が満身創痍でも私のことを気遣い、たまに見せる容姿に似合わぬ大人びた顔は、私ですら心を揺さぶられる。 人間としては若くないらしい(本人談)が、それでもこれだけの運命を背負うにはあまりに若すぎる。 我が同族(精霊達)には愛されているようだな。 ならば、私がすることは、、、)


「おーい!アルマース!!」


呼ばれたことに気付き、彼女を見やると、


「アルマースも一緒に遊ぼうっ」


そう言って笑顔でこちらに手を振る姿は、少女そのものだった。

その愛らしい姿に苦笑しつつ、自分も立ち上り彼女達の方へ歩いていった。

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