出会い頭の喧嘩はよくあることです
まだまだ駄文ですが、ご指導ご鞭撻、よろしくお願いいたします。
どこからか私を呼ぶ声が聞こえる。 だれ?
ー来い、こっちへ、、、
誰なの?
ーお前の伴侶である私のところへ来るのだ
はんりょ、、、? もう、結婚はこりごりだよ
あんなのは、もう、、、
ーどれだけ抗おうと、お前は私の物となる運命。 せいぜい今だけ、、、
だんだんとテレビのノイズの様な音に声は消され、声が聞こえなくなると、睡眠から覚醒するような感覚に意識を委ねた。
目を開けると、木漏れ日が程よく脳を活性化させてくれ、それでもまだまどろんでいたい気持ちに、体をもぞっと動かした。
「起きたのか?」
そう声をかけられ、ゆっくりと体を起こそうとするが、全身の怠さに少し身じろぎをした程度で終わってしまった。
「無理しなくていい。 声は出せるか?」
意識を飛ばす前に私に覆い被さるように倒れて呻いていた人物が、私の顔の横まで移動してきて、いわゆる膝枕をしてもらう形で落ち着いた。
私は慣れない状況に慌てて、動かない体を最大限に動かしつつ、抗議の声をあげた。
「ちょっ、まっ、、、恥ずかしいっ」
「とりあえず話せるようだな。 なら、問題ないな」
「なにが?、、、ってか、イケメンさんは大丈夫なん?」
「何がだ?」
「さっき、倒れたでしょ?」
「あぁ、もう問題ない。 そのことも含めて、話してやるから、とりあえずこちらの質問に答えろ」
相変わらずな上から目線な発言に少しイラッとするも、怠さの方が勝って怒る気になれなかった。
「それで?名前も分からない人に何を話せば?」
「遅くなったな、私の名はアルマース。元素精霊の1人であり、この森に住む精霊達の長を勤めさせてもらっている」
「ふぅん、、、アルマースさんね」
私のあまり驚かない様子に、逆に驚いたのか、
「人間なのに、畏れないのか?」
「ん~、、、というより、あまりピンときてないかな? 正直、アルマースさんがどれだけ偉くて強いのか、何がスゴくて、何が大したことないのか、その基準が私の中にないから」
困ったように笑う私の顔を軽く目を見張りながらしばし眺め、私がイケメン顔に耐えられなくなってきた頃に、やはり私の話を聞くところから始めると言ってきた。
どんな情報が必要なのかも分からなかったため、少し長くなったが、私の生い立ちから、ここに至るまでをとりとめもなく話した。
その話を聞いて、アルマースは綺麗な顔をしかめたり、少し悲しそうにしたりしていたが、口は挟まず、最後まで黙って聞いていた。
「だいたいの状況は分かった。、、、偉かったな」
アルマースの言った「偉かったな」が何を指すのか分からなかったが、私はあまり、他人の悪意が得意ではないため、とりあえず悪い評価ではないことに少し胸を撫で下ろした。
「今の話から、私の仮説を交えながら、お前、、、悠利の中の疑問を解消していくとしよう」
照れたように名前を呼び直され、そう前置きされ、私は膝枕のまま大人しくこくりと頷いた。
「まず、、、」
アルマースの話は、要点が纏まっており、理解しやすく、また仮説もある程度の裏付けがあるため信じられるものであった。
1つ目は、私はやはり異世界から召喚されたらしいこと。 遥か昔に人間が編み出した闇の魔術にそのようなものがあったらしい。 詳しいことは人間の術なので分からないし、帰れるかも不明。
2つ目は、私の体にある黒い石と黒い肌。 黒い肌は魔障といって、、、何百年も昔に人間や精霊、獣人やドワーフ達が世界を破滅しようとしていた魔王を打ち倒したとき、その魔王の力が世界中に飛び散ったそう。しかし、その力を直接浴びたり、それを浴びた魔獣に傷つけられたりすると、その部分を力に浸食されあのような姿になるという。 そして、そのまま浸食が続けば、全身が黒い石のようになり死ぬという。 ただし、石については今まで見たことも聞いたこともなく、分からないそう。 禍禍しいものを感じるから、魔障に関係していると思われる。
「そして、私が倒れた時、悠利の左手が触れた所から、私の魔障が吸いとられた」
「私の魔障?、、、吸いとられた??」
「私は魔王を打ち倒したときその場にいたが、飛び散ったうちの1つが私の体の脇腹辺りにぶつかり、そのまま浸食され続けていた」
「えっ!?アルマースは大丈夫なの?」
「私達精霊は、老いることも死ぬこともない。 さすがに、ここ百年くらいは私の魔力を吸い続け力を増した魔障に苦しめられたが、それも先ほど言ったがもう問題ない」
「そんな呑気な、、、」
私が呆れながら言うと、アルマースは悪びれた様子もなく、
「死の概念のない種族に、それを理解するのは難しいことだ。 私などの心配している場合か?」
今度はアルマースに呆れたような声音で言われた。
「いや、なんか知ってる人が苦しいとか、心配するでしょ、、、」
私がそう返事をすると、イケメンが目を見開いてから、気まずそうに目をそらした。
「、、、それより、悠利が魔障を吸い取り私の体から無くなると、悠利の石から感じられる禍禍しい気が増した。 おそらく私の中の魔障が、悠利のそれと融合したのだろう」
「でも、なんで、、、」
私の疑問に頭を振りながら申し訳なさそうに答えた。
「そこについては分からない。 体の魔障を見る限り、吸い取る前と比べてその範囲が広がっていることから、吸い取ることはできても、治癒している訳ではないので、吸い取れば吸い取るほど、悠利の魔障は進んでいくんだろう」
アルマースの仮説に私は言葉が出なくなった。 自分がおかしなところに飛ばされ、訳分かんない展開に、いつどうなるかも分からない命の危機、、、ホントだったら目の前にいる精霊やらイケメンやらに驚かないといけないんやろうけど、それを上回る事実が突きつけられると、人間って、ズレた思考しかできなくなるものなんだね~、、、などと意識を飛ばしかけてると、アルマースは気遣うような顔で見下ろしてきた。
「とりあえず整理する時間も必要だろう。 今日はここに留まり、ゆっくりと考えるといい」
先ほどまでの辛口と違った優しい声音でに、少しドキドキしながら「ありがとうございます」と答えた。