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それぞれの想い

更新がまばらになってますが、精一杯頑張りますので、末長くよろしくお願いします。

××××××××××


俺は昼過ぎに実家(ははおや)に呼び出され、慌てて家へ戻ると、そこにはルーファとシュヴァルツがいた。 ルーファはたびたび遊びに来ていたが、シュヴァルツは数度しか来たことがないはず、、、予想外の面子に何事かと話していると、呼び出した帳本人が優雅に部屋に入ってくるなり、

「貴方達、何を呑気にお喋りに興じていらっしゃるのかしら?」

怒気を孕んだ声は、何時ものおっとりした話し方の筈なのに、とてつもない威圧感を俺達に与え、3人とも直立不動で立ち尽くすしかなかった。

「ど、どうしました? 母上」

俺の言葉に眉をピクリと動かし、静かに話し始めた。

「午前中、ユーリがうちに来たわ」

ユーリ、という単語にみんなが反応するが、彼女のことは母もとても気に入っているようだったので、余計に問題点が分からなかった。

「その彼女が、"愛の告白"をされたと相談してきたの」

マリーの言葉に、全員が固まった。

(愛の告白? 誰が? いつ?)

グルグルと思考が迷走する。 纏まらない想像に、ユーリが他の男と見つめ合う姿が現れ、不快感に顔をしかめる。

「、、、誰だ?」

シュヴァルツの掠れた質問に、厳しい表情のままマリーが答える。

「ジェード王子ですわ」

「「「!」」」

3人して目を剥く。 まさかこんなに早く王位継承者が動き出すとは、、、しかし、その考えを否定するように、マリーが首を振る。

「王位継承の争いと関係なく、『愛している』と言われたそうよ」

まさか、、、しかし、騎士団以外での接点のあるのはジェード王子だけだ。 あれだけの魅力を持つ彼女ならば、あり得ない話でもない。

「もう一度、伺うわ。 貴方方は出会ってから今まで、一番近くでいくらでもチャンスはあったでしょうに、何をしていらしたの?」

何も言い返せなかった。 十分時間はあった。 彼女の鈍さには衝撃を覚えたが、、、ジェード王子ほど、ハッキリと想いを伝えたことはなかった。 己の慢心に気付き、自分が手を伸ばしても届かない(おうひ)になるユーリを想像して、胸が苦しくなった。 そうなれば、自分は耐えられなくて、騎士団を、この国を去るだろう。 それは他の二人も同様だったようで、今までと異なり、覚悟を決めた顔をしていた。 3人の顔が変わったのを見て、満足そうに微笑むと、

「3人とも、ユーリの事を愛しているのでしょう?」

マリーの言葉に迷いなく頷く。

「だったら、今からでもユーリを掴み取って来なさい。 そして、彼女がどんな男に言い寄られてもブレないくらい、良い男になりなさい」

優しく、力強く送り出してくれたマリーに感謝しつつ、俺達は実家を後にした。


××××××××××


私は午後から家庭教師に来ていたが、途中で王子に公務が入ったため、いつもの半分で切り上げ、詰所に戻ろうとしていた。 途中、渡り廊下に差し掛かった所で、昨日見かけた綺麗な人が、昨日と同じように東屋に寄り掛かりながら空を見上げていた。 何故かすごく気になった私は、護衛の騎士に少し待ってもらえるようお願いをして、一人で東屋に近付いた。

「あの、、、」

私の声に驚いた顔をする相手。 傍で見ると、とても美しい女性だと分かった。 金髪に金色の瞳、少し気の強そうな目元だが、纏う空気はどこか不安げであった。

「昨日もここにいましたよね? 何をなさっているんですか?」

「、、、お前、私が見えて?」

「?」

相手の疑問が分からず、首を傾げる。

「私は元来、誰にも見えないはずなのだけれど、お前には見えるのね」

「こんなにハッキリと見えているのに?」

驚いてそう尋ねると、苦笑して周囲を見回し、傍の木の下に座るよう勧められた。

「一人で立って空中に話しかけている姿を見られたら、気持ち悪がられるわよ」

その忠告に渡り廊下にいる騎士を見やると、こちらを不思議そうに見ていた。 死角にはならなさそうなのを確認し、木の下に腰を下ろす。

「今まで見たことなかったけど、貴女は誰?」

「私はユーリと申します。 、、、ジェード王子の家庭教師を務めさせていただいてます」

自分をなんと説明したら良いのか分からず、そう答える。

「ふぅん、、、同族(なかま)の匂いがしたけど、ただの人間みたいね」

何だか話し方のが誰かに似ているような、、、

「あっ! アルマースだ!」

「は?」

私は彼女が私の最強の保護者であるアルマースに話し方や雰囲気が似ていることに気付いた。

「もしかして、貴女は精霊ですか?」

私の問いに、相手は驚きに目を見開いていた。

「貴女は一体、、、」

警戒を露にする相手に、私は慌てた。

「ちょっ、、、私は怪しい者じゃないです! って言ってる人が怪しいのか? いやいや、私はただ、知り合いの精霊と似てたから聞いてみただけで、悪気は無かったんです!」

私は弁明するのに支離滅裂なことを言ってしまい、余計にアワアワしてしまう。

「知り合いの精霊って、、、貴女は精霊術士?」

「違います! 少しばかり精霊と話せて、仲良くなった精霊達(ともだち)が、親切で助けてくれるだけです」

どう説明したら最善なのか分からず、だんだん涙目になっていく。

(嫌われたら、悲しいな、、、)

そう思ってしょんぼりしていると、

「フフッ、、、落ち着きなさいよ。 ちゃんと話を聞いてあげるから。 言い忘れてたけど、私の名前はカルセドニーよ」

そう言われて、私は嬉しくなり、アルマースとの出会いの話を彼女にした。 すると、驚いた顔をして「水の精霊長が、、、」と言ってしばらく固まっていたが、終わる頃には苦笑して頷いていた。

「なるほどね、、、私がここに閉じ込められている間に、外では面白いことになっていたみたいね~」

しみじみ言う言葉に、驚いて聞き返した。

「閉じ込められてるって、どういうことですか?」

「この城を覆う結界、分かる? あれには、人間以外を通さないよう仕組まれているの」

空を指差す先を見るが、私の目には何も映らない。

「私はある"もの"に閉じ込められてここまで運ばれ、ここで目覚めた。 どうやら閉じ込められたこと自体、事故のようだったけれど、そこの地面に埋められている"もの"がどうにかならない限り、私はこの場から動くことも出来ないし、あの結界がある限り、他の精霊達に助けを求めることも出来なくて、毎日、空を見上げるしかなかったって訳」

だからあんなに悲しそうな雰囲気に見えたのか、、、

「どうにかならないんですか? その埋めてあるものを掘り起こして捨てるとか」

「私には力を吸いとられるばかりで、触ることすら出来ないわ。 それに、人間でも下手に触ると呪われるわよ。 あれに組まれた呪いが発動したら、わたしも解放されるんだけど、、、」

呪いという単語に、悪いことしか起きなさそうな気配にゾクッとする。

「呪いの発動条件は、なんなんですか? それに力を吸いとられ続けたら、死んじゃうんじゃ、、、」

さあ、と言うように肩を竦める。

「力を吸い取りきられたら、流石に存在してられないかもね~」

「そんな、呑気な!」

焦る私に、諦め半分といった雰囲気で話をする。

「私、これでもかなり高位の精霊なの。 それこそ、アルマースと肩を並べる程度にはね。 最初の頃は何とか抜け出そうと足掻いてみたけど、力を吸い取られる一方でびくともしない、、、今じゃ辛うじて残った魔力を吸いとられないようにするので精一杯で、人間の前に姿を表すこともままならないくらいよ? 貴女に気付かれたのが奇跡としか言いようがないわ」

思っている以上に深刻な状態に、私は悲しくなった。 アルマースの同胞が目の前で苦しんでいるのに、何もしてあげられないなんて、、、本当に私は無力だ。

「さぁ、そろそろ行きなさい。 ワンちゃんが、待ちきれないみたいよ?」

その声に渡り廊下を見ると護衛の騎士さんがこちらをチラチラと見ていた。

「、、、また、来るね」

「またね」

そう言って手を振るカルセドニーを置いて、私は後ろ髪を引かれつつも、その場を後にした。

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