殲滅作戦②
更新が不定期になっていますが、細々と続けていこうと思っておりますので、温かく見守っていただけると幸いです。
風の精霊達の力を借りて、あっという間に街から20キロほど離れた平原にやってきた。
ふわふわ宙に浮くというより、風にふっ飛ばされてきた感覚に、みんなは少し気持ち悪くなったようだが、私は車で走っている時に似ていて、少し懐かしさを覚えた。
「ユーリは大丈夫ですか?」
「うん、全然! むしろ楽しかったよ?」
カイル達はしばらくは遠慮すると苦々しい顔で言っていた。
そんな話をしてる内にも、異様なオーラを纏った魔獣達がどんどん接近してくる。
(今なら大丈夫って思える。 頼もしい用心棒が四人もいる。 これでアルマースも攻撃に集中できるって言ってた。 やろう!)
私は腹に力を入れて、今まで歌ったものよりアップテンポな、元気が出るような曲を選ぶ。
歌いながら攻撃をイメージする。
まず前線に氷柱の雨を降らせ串刺しに、、、そのあとは氷の槍を突き立てていく。
まず一列目の魔獣が突如現れた氷柱に見事に一掃され、みんなが感嘆の声を上げる。
アルマースも次々と氷の槍を放ちながら、満足げに笑う。
「イメージが明確で、魔法にしやすい。 しかし、なかなかの量だぞ? どうする?」
「火と土の精霊の力を借りたい」
「魔法としての殺傷能力は低いぞ?」
「大丈夫。 硬い鉄のようなものを高温にしてほしいだけ」
私の説明に意外そうな顔をする。
「攻撃ではないのか?」
カイルも小者、、、と言っても、上級の魔獣を切り捨てながら会話に混ざる。
「直接の攻撃ではないけど、成功すれば、この辺り一体が吹き飛ぶよ」
物騒な言葉に驚きつつも、アルマースが他の精霊達に働きかけ、着実に準備をする。
その間に周りを見れば、ルーファは魔術と剣で、シュヴァルツとアゲートさんはそれぞれの得物で襲いかかる敵を蹴散らしていく。
それだけでも十分勝てそうな勢いだが、無限に湧き出てくる錯覚すら覚えるほどの数の敵に、戦意を喪失しないのは、彼らが特別なのだろう。
そんな彼らのためにも、また歌い始めながら次の作戦をイメージしていく。
魔獣達の中央辺りに熱く熱した鉄のようなものをイメージする。 それに水の塊を落とす。
水の塊が空中に浮かび上がったのを確認し、みんなに声をかける。
「私の周りに集まって! 、、、アルマース!」
周りに集まったみんなを確認し、呼び掛ける私に頷くと、アルマースの手が下がるのに合わせて、水の塊が十分熱せられた赤い石に落ちていく。
そして素早く氷のドームを生成し、その中から水と石が触れるのを見た。
次の瞬間、一面を覆う白い水蒸気と、凄まじい地響きが辺りを覆った。
あまりの揺れにふらつく私をルーファが支える。
しばらくして、水蒸気が消えると、辺り一帯は文字通り何も残さず消えていた。
氷のドームのお陰で、私達は爆音からも爆発からも守ってもらえたが、爆発の激しさはそのドームにすらヒビを入れており、アルマースは衝撃を感じていたようだった。
「終わった、のか?」
「風の精霊達もこの辺り一帯には何の気配も感じないそうなので、恐らく駆逐できたかと、、、」
カイルの呟きにアルマースが答える。
シュヴァルツ達も辺りをキョロキョロと見渡していた。
「大地をも抉りとる、恐るべき威力ですね」
「あれだけいた魔獣が一瞬で消し飛ぶとはな、、、」
みんなが茫然としているのを見て、少し不安になる。
私のしたことはこの世界ではあり得ない事だったから、嫌われたり、怖がられたり、みんなの態度が変わることを恐れた、、、が、それは杞憂に終わった。
「はははっ、、、すげぇな、お嬢!」
声を上げて笑いながら、私の肩を抱き褒めてくるアゲートさん。
「お疲れ様でした」
「怪我はないか?」
優しく笑いかけてくれるルーファに、いつもの無表情で気遣ってくるシュヴァルツ。
「よく頑張ったな」
いつもの優しい声音で、頭をそっと撫でるカイル。
みんなの笑顔に包まれて、私は安堵した。
「アルマース、ありがとう」
私が改めて、今回の立役者にお礼を言う。
「お前のイメージが良かったから上手くいった。 それに、あのような大規模な爆発、、、目の当たりにした今も信じられないほど、凄かった。 あれも、ユーリの策があったからこそ、為せた事だ」
「いくら知識や策があったところで、力がなければ成し得ないことだよ。 だから、アルマースにお礼を言うのは当然だよ」
ニコリと笑う私に、アルマースは眩しそうに目を細めながら笑い返してくれた。




