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尽きない心配

年末年始はバタバタしてるので、更新がいつになるか分かりません。 更新されてたらラッキーくらいに思っていてください☆ よろしくお願いいたします。

××××××××××




日が暮れてもなかなか帰ってこない彼女に、最悪の事態も視野に入れて部下も使って捜索を開始しようかと考え始めた矢先、釣り竿を肩に、のんびり歩いてくる姿を見たときには、無事な姿に力が抜けた。

なんで俺たちが心配してるのか分からない様子の彼女に、シュヴァルツとルーファがいつもより厳しい口調で怒っても、彼女はそれを聞き、自分の意見をしっかり述べた。


(暴漢くらいならば、倒せるというのは信じ難いが、、、)


到底、受け止めきれない現実を、たった一晩で受け入れ、その先の展開まで予想し、腹を括る、、、。

子供ではないにしろ、到底、我々のような必要とあれば人殺しを厭わない生活とは無縁の世界を生きてきたであろう彼女は、俺にすら容易に出来かねる覚悟をすでに持っていた。

その強さがどこから来るのか、全く想像できないが、そこまで考えていた彼女の意思を尊重しつつも、護衛をつけたい旨を伝えると、俺たちの心情も分かってくれ了承してくれた。

その後、四人で食堂で食事を取った後、ユーリを部屋まで送り、本陣までの道を三人並んで歩いていた。


「まさか、、、だったな」


俺が素直に驚きを口にすると、二人も同意見に首を縦に振った。


「まさに聡明という言葉が当てはまりますね」


ルーファの苦笑に、シュヴァルツは異を唱える。


「だが、暴漢に対する考えは甘過ぎる。 あんな細い体じゃあっという間に連れ込まれて終わりだ」


「確かに、、、聡いくせに、無用心。 厄介だな。 一度、男の力がどれ程のものか教えた方がいいのかもしれないな」


彼女の様なタイプは目にしたり体験しないと納得しないだろう。

二人も同意し、怪我の頃合いを見て教える機会を設けるということで話を纏めた。




××××××××××




(よほど、心配なんだろうな、、、)


彼女やその進退について熱心に語り合う上司と同僚を眺めながら、ルーファはその微笑ましい光景に目を細めた。

人格、武勇もさることながら、その精悍な顔立ちから引く手あまたのくせに、常に一線を引き続け、生涯の伴侶を持とうとしない上司(カイル)と、誰に対してもほとんど興味を見せず、深入りすることもなかった同僚(シュヴァルツ)のここ数日の変わりぶりには、長年、共に戦場を駆けてきた私も驚きを禁じ得なかった。


(昼間に一体、何があったのか、あの肝の座りようには驚いたな)


それなりに女性経験はあるが、あのタイプには出会ったことがなかった。

小柄で可愛らしいが、見た目に惹くものはない。

しかし、中身は違った。

動揺したり、怯えたりするが、それを表に出さないようにする気丈さを持ち、物事の裏側もある程度の理解があり、命のやり取りに関する覚悟もある。

最初の接触の時の反応から、危険な事とは無縁の生活を送ってきたのかと思っていたが、何か事情がありそうだな。


(しかし、ここまで私が思考を占領されるとは、、、私も大概、彼女に魅了されているということでしょうか)


誰かに振り回される、馴染みのない感覚に戸惑いを感じながらも、それを心地よく思い始めていた。




××××××××××




最初に会った時もそうだった。

魔獣の頭を切り落とした俺を見てヒビってたくせに、次の日にはヘラヘラ笑ってた。

剣タコも荒れてもいない手に、裕福な家の出だと直ぐに分かったが、騎士団の簡素な衣服や食事にも文句を言わず感謝を示した時にはかなり驚いた。

常に予想を裏切る言動に、苦手意識もあったが、それ以上に気になって、触れたり、話したりしたいと強く思うようになっていった。

ルーファはいまいち分からないが、団長が特別な想いを抱いているのは分かっている。

でもだからと言って、彼女に対する欲求が無くなるわけではなかった。

視界に入って、話をして、手を取り肌を重ねて独占したい、、、それはより一層強くなり、もはや退く気はない。


「団長、、、俺が貰いますから」


翌日の早朝訓練の前に、俺がそう言うと、驚いた顔をした後に、獰猛な獣の瞳で「俺だって譲る気はないよ」と返してきた。

それを見て、ルーファが苦笑していたのは言うまでもない。

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