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運命の出逢い

化け物が2発目のレーザービームを放ち、私に当たると思ったその時だった。

突然、横からの力に押され、私に当たるハズだったビームは後ろにあった大木に穴を開けただけで終わった。

九死に一生の事態に頭が追いつかず、少し呆けていると、上から声をかけられた。

「大丈夫か?」

気遣うような低い優しい声音に、声のした方を見上げると、黒い瞳に赤茶の髪の精悍そうな顔立ちのイケメン顔がすぐそばにあった。

気がつけば、イケメンさんにお姫様抱っこをされ、優しく声をかけられていた。


「、、、えっ? だれ?」


私の問いかけにニコリと微笑むと、イケメンさんはそっとその場に私を下ろし、化け物と私の間に立ち塞がった。


「君がこの森の迷い人かな? 間に合ったようで良かったよ。 、、、もう逃がさんぞ」


そう声をかけ、剣を構えたイケメンさんに化け物が雄たけびで返す。

そして、必殺技(?)を邪魔された腹いせか物凄い勢いで突進してきた。

私を背に庇っているイケメンさんは正面からその攻撃を受け止める。


「ふんっ!」


そう言って剣を払いながら力を流し、さらに一歩踏み込んで、懐から出した短剣を化け物の左目に突き立てた。

化け物が苦しそうな叫び声をあげながら数歩下がると、突然、地面から氷の柱が出現し、化け物の足を串刺しにした。


ゲギャァガァッ!


予想外の事態に、化け物は揉んどりうって地面に倒れた。

そこへ、そばの木の上から黒い塊が落ちてきて、ザンッという重い音を響かせた。


「呆気ない」


そう言いながら、黒い塊がむくりと起き上がった。

よく見れば、それは身の丈ほどもある大剣を持ち佇む、これまた銀色の美しい髪に紫の瞳を獰猛に煌めかせ、魔獣の血を浴びて一層、妖艶さを漂わせていた。


「今回は容赦してられなかったから、仕方ないね」


また違う声に、化け物を挟んで反対隣を見やると、木々の間から降り注ぐ陽光にきらめく金髪、森の緑にも負けてない美しい翠の瞳をもつ美人さんが現れた。

一瞬、女の人かと間違うほどのイケメンさんだった。

そんな突然現れ、白馬の王子様よろしく助けてくれたイケメンさん達が私の方へ集まり、リーダーなのであろう最初のイケメンさんが話しかけてきた。


「改めて、大丈夫か? どこか怪我は、、、愚問だな」


私の上から下まで見て、顔や腕の打撲や裂傷、右足の火傷のような痕を見て顔をしかめる。


「とりあえず、私たちの陣へ連れていき手当てをするべきかと」


金髪イケメンさんが進言すると、リーダーさんも頷き、また私を抱き抱えようとした、その時、、、


【逃がさんぞ、、、】


突如聞こえた地を這うようなおぞましい声に、イケメンさん達が私を庇うように周囲へ鋭く視線をやった。

しかし、そこには首と胴を切り離された化け物の死体の他には何もなかった。

すると、その死体の首がこちらをギョロリと睨み付けながら口を開いた。


【何も知らぬ、弱き人間ども、、、その女をこちらへ寄越せ】


化け物が首だけで喋ったことにさすがに驚いたようだったが、3人ともすぐに臨戦態勢に入った。

ただでさえ満身創痍な上に、気持ちの悪い声が求めているのが何故か自分だという恐怖から体が震え出す。

そんな私をそっと抱き上げ、『大丈夫』というようにニコリと笑いかけてからリーダーさんが応えた。


「ただの魔獣ではなさそうだが、こちらも彼女を守ると誓ったものでね。 残念ながらその要求には応えられない」


「、、、え?」


(守ると誓ったって、誰に?)


私の疑問には気付いてないのか、そのまま化け物とリーダーさんの会話が進む。


【"それ"はお前達人間ごときが手に負えるものではないと分かっていても、か?】


「無論だ」


堂々と答える姿にだんだん恐怖心が無くなってくる。


【まぁ、今回はこれで退こう。 だが次は守りきれるかな?】


クククッとくぐもった笑いをし、その濁った目を私に向けた。

目があって思わずビクッとすると、私を抱く手に力が入る。


【次こそは迎えに来るぞ、我が伴侶よ、、、】


訳の分からない捨て台詞を吐き、化け物の首と体は溶けるように消えていった。

後には、化け物の血痕がその存在を刻むように残っていた。


「消えた、、、」


金髪イケメンさんが呟きながら剣を仕舞い、銀髪イケメンさんが大剣を背中に背負う。


「貴様は何者だ?」


「っ」


銀髪イケメンさんの凄みのある声に、無意識に体が震える。

上手く言葉が出ず焦るが、焦るせいで更に言葉が出てこない。


(、、、悪循環だ)


リーダーさんに抱き抱えられていることも忘れ、手足を動かすが痛みから上手くいかず、呻き声が漏れた。


「くっ、、、」


「とりあえず、そろそろ日も暮れる。 部隊に戻る方が先決だろう。 君には我々と一緒に来てもらう。 いいね?」


リーダーさんの声に、金髪さんも同意、銀髪さんも了承し、私も小さく頷いた。


それから私はリーダーさんに抱き抱えられたまま、みんな無言で暗くなる森を抜け、皆さんの陣が張られている場所までやってきた。

見張りをしていた同じ服装をしていた人達が、私達を見つけると、何人かがそばまで駆け寄ってきた。

3人の無事な姿に、


「おかえりなさい、ご無事で何よりです」


「あぁ、ただいま。 怪我人がいるので、衛生兵を呼んでくれ。 場所は、、、」


駆け寄ってきた人に答える金髪さんがこちらをちらりと見る。


「私の天幕まで」


リーダーさんがそう言うと、一人が走っていく。


「では団長、あとはこちらで済ませておきます」


金髪さんがそう言い、残りの者を従えて去っていく。

残されたのは、団長と呼ばれたリーダーさんと、抱き抱えられている私、そして厳しい眼差しを向けてきている銀髪さん、、、


「シュヴァルツ、後で呼ぶ。 それまで休んでいろ」


団長からそう指示され、一礼して無言で去っていった。

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