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回避、◯◯。  作者: 薄雀
9/10

回避、諦めました。


ふわり、柔らかな風に包まれたかと思うとさぁーと、私にかかっていた魔法が解けてゆく。ああ、してやられた。この魔力の色は……王太子、ラファエル様だ。


いきなり、大きくなった私を見て驚く人々。魔法が行き交うこの国でも珍しい魔法だから特にか。サリアナは、諦めた顔をして空を見上げる。この、陣は…無効化の陣だ。



「気づくの、早いよ…」

もう少し、家出を味あわせてくれたっていいじゃない。ため息を一つ零す。「ありゃぁ、王太子妃殿下じゃねえか?」

誰かそう言うと、私の周りはさぁ大変。これは、あれだ。私、苦手…です。


「………はは、」

苦笑いを浮かべ、対応していると現れる煌びやかな人。

「やぁ、皆よ。僕の妻が少し訪問して、騒がしたようだね」

にっこり笑ってそう言うものだから、年頃の女性たちがぱたりと倒れる。「…やはり、妃殿下かいな」

「僕の妻は、このような綺麗な場所が好きだからね。たまに、訪れてもいいかい?もちろん、僕もだが」

「王太子様も妃殿下様も大歓迎ですぞ!このような地に赴いてくださるとは、こちらも嬉しい限りです」


そうして、言葉巧みに私の家出騒動は有耶無耶にされていた。なんと、悲しいことだろう。一世一代の、私の覚悟は…!



「ねぇ、サリアナ…僕のことが嫌いかい?」

無効化の陣まで使って、私を探すってことはそんなに私を愛しているのだとは思う。けれど、夜の夫婦の営みが…私には耐えられないのよ。きっと、却下されると思うけど。


「……嫌い、じゃないけど…」

「けど、なにかい?僕は、君がいないとどうにかなってしまう…世界だって壊してしまうよ、」

サリアナは、目を見開いた。やりかねない!こいつは確実に世界を滅ぼす!出来てしまいそうだから、余計にそう思う。

「……毎晩、辛い…」

「………そんな、僕はあれでも抑えてる方なのに…?」



まじかよ!!あれで、抑えてる?!オカシイ、オカシイよ!



*****


「サリアナちゃん、お疲れねぇ」

すっごい美人は、私に微笑む。「サリアナちゃん、私もそうだったわぁ。そのうち、慣れるのよ。諦めが、肝心よぉ」

そう、遠い目をしておっしゃられるは現王妃様だ。美しい彼女は、私を抱きしめ実体験を話してくれる。

「王族の血筋は恐ろしいとその時思ったわぁ」

ええ、はい。王妃様も、夜の営みに悩んだそうだ。が、彼女は諦め受け入れ今がある。


これは、私に諦めろと言っているのかなぁ。そうだよね、うん。

「ラファエルも、そうなのねぇ。サリアナちゃん、ラファエルに相談したのぉ?」

「い、一応…はい。でも、抑えてる…と」

「あら、私もそう言われたわぁ。親子は似るのね!」



で、終わらせられた私の心はやさぐれてる。あぁ、諦めろと。でも、でも、でも!少しずつ好きになっているけれど、その分ハードになってゆくような…。

「サリアナ様っ!お会いしたかったですぅ」

この声は、アリシア?あらまあ、顔がぐしゃぐしゃ。

「昨晩、お帰りになられたとお聞きしましたが、会わせてもらえず心配で心配でぇ!」

「……あ、うんごめんね」たぶんそのとき、私はラファエル様にきつくホールドされ夜の営みにまっしぐらでしたよ。

「でも、良かったです!」



ああ、アリシアの笑顔はいやされる。

少し、大変だけれど幸せに囲まれてるんだ私。ちょっとくらい、我慢すればあとは幸せしかないのね!

回避、諦めました。


****


「やっ」

夜、攻めに攻められてます。ああ、どうしてかなぁ、諦めたのにね。やっぱり、我慢できない!!

諦めたくないいいいい!



.

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