回避、させるわけないよね。
僕とサリアナが出会ったのは、7歳の時。
可愛らしい顔をしているのに、隠すなんてもったいない。それが、彼女と出会って思ったこと。
王宮でひらいたパーティーを抜け出して、僕は中庭でひっそりと隠れていた。大人も子ども、女子は僕を獲物を見るような瞳でみてくるから辟易していた。
かといって、王位を継ぐ人間は魔力が高い女を娶るから弟の方がちょっと可哀想だったけど。
でも、僕はあの時弟が羨ましいと思った。
「……ふぅ、」
溜め息をはく、少女。一見、暗い雰囲気を漂わせているが髪の間から見える素顔は愛らしい。
「君、何してるの?」
「…?」
きょろきょろあたりを見回す少女がなんだか可愛い。
「こっちこっち」
そう言えば、こちらを見つけたようで、わずかに微笑んだ。その笑みに僕は恋に落ちた。
「……そちらこそ、何をしているの?私は、ちょっと疲れちゃったの。慣れない場所だから…」
「僕も、かな」
「そうなの、ごめんなさい。邪魔をしちゃったかな?」
「ううん、君もゆっくりしなよ」
どっちかというと、ゆっくりしていってほしい。君をもっと知りたいから。
「……ごめんなさい、もう帰るの」
「え、どうして?」
「屋敷まで、遠いの。だから」
「そっか、なら最後に君の名前おしえてよ」
きょとんと、するて少女はまた微笑み
「サリアナ・レーフェル」
………サリアナ・レーフェル。僕は、君が初恋。
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恨みに恨んだ、僕の地位。いずれは、国王となるから魔力の高い年齢の近しいものを娶ることになる。
初めは、高飛車で僕に媚びてくる令嬢が婚約者となった。
しかし、その令嬢よりも高い令嬢が現れ、それの繰り返しだ。19になったとき、結婚する。それまで、何人婚約者が変わるのだろう?そう思いながらも、彼女のことがずっと好きだった。
魔法学院に入学して、彼女と再会した。しかし、彼女は今も素顔を隠し、そして僕を覚えていない様子。
サリアナが、好きだ。なのに、地方から来た魔力ダダ漏れの女子が僕の婚約者となった。
どうにかこうにか、弟に王位がいかないか工作していたある日のこと。最近日課であった、サリアナの動向探索中のこと。例の転校生が呼んだ魔物がサリアナの隣にいた友人(羨ましい)を襲った時、サリアナから発せられた魔力の量。
「サリアナ、やっぱり君は僕の嫁だよ!」
叫びつつ、飛んだ。使用人たちは、目を見開いて僕を見ていたが無視した。
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「ラファエル…」
あぁ、もう!可愛いすぎるよ、サリアナ。
もっともっと、愛したい!愛し足りないくらいだよ。
どんなに逃げようとしても、僕はどこまでも見つけてみせる。追いかけて、僕から離れられないようにする。
「ねぇ、サリアナ。子どもは、何人ほしいかい?」
眠っている、サリアナのおでこにキスをおとす。
「ちょっと、無理させちゃったかな?」
頬を紅潮させた、サリアナの頬をゆるりと触る。
「でも、ずっと我慢してたんだから。これくらい、いいよね?」
本当に欲しかったものが、手にはいった。
今までいらないと思ってた王太子の座も悪くない。あのまま、弟に引き渡してたら……と思うとちょっと怖い。
だからさ、回避、させるわけないよね。
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