回避、させてください。
「サリアナ様!見てください、どうですか?」
きらきらした瞳でこちらを見てくるのは、転校生。アリシア・ランクラ。彼女は、今までその多大な魔力を使えなさすぎて魔物をよんでいた。そんな彼女に魔法を教えてる私は、サリアナ・レーフェル。皆には、王太子妃殿下様とよばれてしまってる。誰か、助けて。
「うん、そんな感じ。良くできたね」
ふわふわの髪をさらりと撫でると、頬を少し染めるアリシア。あら、可愛い。
「サリアナ様、ここはどうしたら良いのですか?」
最近、アリシアは私にべったりになった。
まぁ、可愛い子は好きだしアリシアは妹属性で私の萌心を擽る。前世では、妹いなかったし今世でもいないからか憧れていたから。
それに、快く思ってない人がいる、王太子様である。
「前々から思ってたんだよね。君は絶対僕の邪魔をするってさ」
「…邪魔なんかしてませんよ、王太子殿下」
「いや、してるよね。してないなら、サリアナから離れてくれない?」
………なにこれ。
無言で私の腕に腕を絡めてくる、アリシア。あ、やば。王太子様の目が、笑ってないよ、アリシア。
「サリアナ、どう?」
とそこ何現れたのは私の大親友、レイン。
「あら、取り込み中みたいね。」
と、去ろうとするレインの手を咄嗟に掴む。あ、レインってば今嫌な顔したな!
「ちょっと、サリアナ巻き込まないでよ」
「いいから!助けてよ、大親友じゃない!」
「今日は、その大親友を返上したいわ」
レインってば、恩知らず!私、助けたよね?出したくもない本気を、思いっきり!
「でも、あの日助けてもらったから…今回しか助けられないかもよ?」
ちょっと申し訳なさげに言うレインに、そられでもいいと期待の目でみる。
「王太子殿下、サリアナは既にあなたのものですよ」
売った!レインってば、私を売った!
「あ、そうか。明後日には挙式だったね、サリアナ」
わ、忘れてたのにレイン…アナタって意外と残酷なのね。
「なので、殿下今日は、私にサリアナを貸してくださいませんか?」
私を物扱い?やっぱり、レイン…アナタって残酷!
「君だから、ゆるすよ。でも、君は絶対に許さない」
そう、アリシアにはいう王太子様。どれだけ、アリシア敵対してるの?!
「……くっ、悔しい!レイン様、私を弟子にしてください!」
え、なんの?と思ったがレインには伝わったらしい。
「いいよ、アリシア。」
だあれも、助けてくれないのね。
****
「ねぇ、そろそろ名前で呼んでよ…サリアナ」
その、囁きにうっとつまる。どうしよう、なんてことなの?
「……」
無言で顔を逸らせば、ガシリと顔を掴まれて逸らせなくなる。なので、視線を逸らせば「どこみてるの?僕を見なよ」
ひぇぇえ、助けて!
「ほら、ラファエルってよびなよ」
ラファエル・ルシード。彼の名前はもっと長いからよくは覚えてない。私もその長い名前の仲間入りするらしいけど、だめだむり、逃げてもいいですか?
「ほら、サリアナ…」
「ら、ラファエル…様?」
「…………うん、様はどけてくれると嬉しいな」
無理無理無理、恥ずかしい!
「………」ええい、こうなったら!
「ラル……じゃだめですか?」
一気に顔を真っ赤にして、王太子様は微笑む。
「君は、僕の想像の上をいくね」
良かった、気が済んだみたい。
「ねぇ、もう一回よんで?」
「ら、ラル?」
「もう一回」
………なんど、呼ばす気かい?!
それにしても、どんどんおしたおすのは、やめてー
「あ、もう…無理かも」
「……!」いやいや、抑えてー抑えてー!
「あー、サリアナが欲しい。ずっと、側にいたい、ずっと、触っていたい……」
どんどん変態チックになってゆく、誰か助けてー!
「縛!」
「あ、」
王太子様が、固まる。その隙に、そそくさと這い出る。
……咄嗟に魔法使っちゃった。「サリアナ様!無事ですか?」
アリシア、アナタって優しいのね!
「来てくれたの?」
満面の笑みではい!と答えるアリシアってば、可愛い!
「ふふふ、サリアナ様こんな魔法も使えるようになりました!」
「…?どんな?」
「爆!」
この子、部屋を爆発させよった!
「これで、一時大丈夫ですよ!」
本当に大丈夫か?
「レイン様に聞きました。レイン様助けるとき、サリアナ様この魔法を使ってたって!」
「うん、まぁ」
「その時、レイン様に保護結界魔法をかけてたってことも!なので、私もちゃんと保護結界魔法は使ってます!……できてるか、わかんないけど」
それじゃ、ダメじゃん!!
って、どこから現れた?!
「やっぱり、また君か」
全然ボロボロになってないあたりを見ると、転移魔法を使ってる。
「バカにしないでくれる?僕、一番魔力高いんだけど?」
確かにー!王太子様に、魔法は効かない!効いても数分くらいか?
「でも、サリアナのは結構手間かかっちゃったよ。さすが、僕の妻になるに相応しいよね?」
やば、ますます気にいられた?!
「さてと、行こっか?サリアナ」
緊縛魔法を使って、アリシアを動けなくした王太子様は私を引きずっていく。
あぁ、誰か…回避、させてください。
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