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回避、◯◯。  作者: 薄雀
3/10

回避、させなきゃね。



「ねぇ、どうしてこうなってるのか知ってるんでしょ」

そう、零せばあっさりと返事が帰ってきた。


「まあね、次期国王だしね」

綺麗な顔に笑顔をはりつけて、王太子様はこたえた。

「──なら、なぜ?」

「だって、僕の隣は君って決まってるからね」

その言葉が、よく分からない。


****



「……また、だ。どうしてなの?」

愛らしい少女は、ぽつりと零す。前も、こんなだった。

「私がいると、」


────魔物が、寄ってくる。


「………だれか、助けてよ……助けて、助けてよぉ…」



****


「どういうこと、あの転校生が呼んでるって……」

「ん?そのまんまだよ、ダダ漏れの魔力に魔物は寄ってくるんだ」

「ダダ漏れ?」

「そう、彼女はその多大すぎる魔力を力に変えれないんだ。その分、身体におさまりきれずに漏れてしまう」

「それを、喰らいに来てるってこと?第1級魔物が」

「頭のいい子は、好きだな」

にっこり笑って、頭を撫でてくる。やめて、恥ずかしい。それにしても、不快だ。ウェディングドレスを着せられて、ずっと見られている王太子様に。それに、耐えきれずに窓をみていたサリアナは、ありえないものを見てしまった。



第1級魔物がうようよと、居たからだ。

あの日、この王太子様に魔力量を知られたあの日も、あり得ない出来事なのだ。今、思えば。

ここは、あまり魔物が現れないと有名な場所。城は、国王によって結界がはられ街では学院長が結界をはっている。なのに、だ。いくら第1級魔物だとはいえそう近づくはずはないといえる。



だから、サリアナは質問したのだ。


「まぁ、ただ第1級だけが近づいてるんじゃないよ」

「え、どういうこと?」

「下級から続々と集まってる。でもね、弱肉強食なんだよどこも。だから残るのは、強者」

そういうことか、とサリアナは思う。



「さぁ、サリアナ。挙式は一週間後だよ。どのドレスにするのか決めようか」



サリアナは、後ずさる。

「いえ、あの、」

逆らえないけれど、逃げ出したい。

かと言って、逃げ出したりできないのだ。だって、この王太子様の得意とする魔法の一つに探索魔法がある。どこにいても、見つかるのは確実だ。


「───あっ!」


外に、見えたのはあの転校生。それと、たくさんの魔物。


****



「邪魔をするなぁぁぁぁあ!」

純白のドレス、愛らしい顔の少女が叫びながら飛んでくる

あの子は…。

どうして、どうして?


「王太子妃殿下ぁぁぁあ!」

「違う!まだ、王太子妃殿下じゃない!」

「へえ、まだ?そっかそっか、なる気はあるんだ?」

「あ、間違った」

と、王太子様と従者がその後ろにいた。


「もう、大丈夫。」

その言葉が、すごく温かくて、嬉しかった。


「……サリアナ、様…」



****


あの子の、残酷な未来は…


「力の使い方、練習しよう!でも、まずは…撃退しないと…」

「サリアナ、様…」

「…………どうして、様をつけるの?」

「王太子妃殿下様ですから、……」

「私がいなければ、あなたが座ってた席なんだけどなぁ」

「……、でも…私より、サリアナ様の方がお似合いですから」



思わずキョトンとしてしまう。え、いや遠慮したいかな。

「そ、れはおいておいて、「置いておくなんてひどいなぁ」………よし、行ってくる!」



無視を決めて、魔物と対峙する。さあ、回避、させなきゃね



.

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