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パーティー

象に勝てても、アリに勝てない的な何か

再び後悔している。

カライガと一緒に、全力疾走している。


いやー、甘かった甘かった。

クマがみつかったんで、何とか倒したんだけど、蜂の巣をあさってたようでさ。

・・・・・・蜂の大群に追われてまーす。


「カライガ~、疲れたよね。」

おお、ぜえはあ言わずに喋れる、そういえばわき腹も痛くない、流石にVRといったところか。

「うむ、しかしこのままでは、いずれ死んでしまうな。」

カライガも普通に喋ってる。

いや、こいつは元々体力は相当ありそうなんだけどね。


「いっそクマをあきらめるのも手かもね。」

「いや、依頼リストにクマの肝がある、これを逃すわけにはいかんだろう。

 それに、熊の手のひらを一度食べてみたいと思っておったのだ。」

このカライガのおっさんのこだわりで、遠くに逃げることが出来ずクマの死体のまわりを逃げる羽目になっているのだが、確かにここで放置するには惜しいのだ。

クマの依頼の報酬金額だけが、狩り領域で狩れる獲物の中ではケタが違っていて、ウサギが一匹200G、鹿が一匹1,000G、クマだけは20,000Gと、目の色を変えるには十分な金額になっている。


しょうがないので、そろそろ魔法を使ってみることにする。

なるべくなら、ちゃんと練習してから使いたかったんだけど、仕方ないな。

左腕をめくり、スロウを選択する。


・・・・・・・・・・・・効果発揮したのはわかったけど、駄目だ、この魔法一対一しか使えない。

群体なのに、ヒット判定が一匹ってこれでもゲームかよ。

ってことで、次の魔法を選択。


水の固まりが蜂のに向かっていく。

しかし、それと同時に別方向から炎が飛んできて蜂の群れをなぎ払う。

いやー、助かった。

水の弾って攻撃になるのか不安だったし、カッターだとまた一体だけっぽいし、ホッとしたね。


「むむ、おぬし魔法もつかえるのか?

 何故すぐにつかわなんだ?」

「ああ、チュートリアルの説明で、仲間に当てる危険性を言ってたから不安でね。

 魔法のスキルは、魔法を使うスキルであって、魔法を確実に当てるスキルじゃない気がしたからね。」

実際、スキルのなかには"魔法誘導"というスキルもあり、不安を覚えたのだ。


「それより、あの人にお礼を言わないとね。」

炎の魔法で助けてくれた人は、なんだか魔女? ってかんじの女性だ。

なかなか、入り込んでいらっしゃるようで、紫を基調としたローブに、色を合わせた定番の魔女っぽい帽子。

片手には杖をもち、次の詠唱・・・ん? 詠唱??

「「あぶない!」」

カライガと俺の声がかさなって、カライガが前に出たと同時に、俺はウォーターバリアを発動させる。


『ライトニング』

雷のかたちをした魔法が、俺達にむかって放たれたとおもったら、ウォーターバリアの前で弾ける。

いや、ちょっと違うか、バリアにそって拡散していったように見える。


「ふふふ、いいわね、貴方達、私の攻撃をいとも簡単に無効かするなんて!

 あ、え、マナが、ちょ、ちょっと待ってね。

 いえ、違うわ、あなたたちを試してみたのよ、偶然とはいえクマを倒すなんて私のパーティに相応しい人間か試させてもらったわ!!」


前髪で顔を隠しているので素顔はわからないが、二つ程判ったことがある。

この人は、魔法特化型のキャラだ、そしてもう一つは残念なキャラだね。


「貴様、何を言っておるかわかっておるのか?

 ワシ等の獲物を横取りする為にワシ等を殺そうとしたとしか思えんぞ。

 PKは特に禁止されとらんが、やるからには覚悟しておるのだろうな!」

おお、カライガさんの顔が仁王のように!


「え、いや、だからあの、その、ね。

 なんというか、何回か殺されちゃったから、そろそろ仲間がほしいなーって。

 さっきのは、間違いなの、ごめん、謝る! 謝ります!!

 蜂の群れがあのファイアウェーブ一撃で全滅なんて思ってなくて、ごめんなさい、殺さないで、もう町に死に戻るのはイヤー!」

いやー、泣き出したみたいなんだけど、目が前髪で隠れてて本当に泣いてるのかわからないね。

ああ、そういえばウォーターブリットも当てたから、それで殲滅できたのかな?


「ふううむ・・・・・・」

カライガ怖いよ。

考え込みながら鉈を抜いて迫る。

カライガが鉈を振り上げて、魔女の人は大きな悲鳴をあげるが、これは自業自得だし、仲間のカライガのが大事だしね。

そんなことを考えていると、魔女の人の近くを大きく振りぬいて、鉈をしまう。


「まだ打ち漏らしがあったな、おぬしの言葉信じよう。」

よく見ると、一匹の蜂が地面で真っ二つになって落ちている。

・・・・・・ああ、スロウで速度の落ちた蜂が一匹いたから、それが漏れたんだね。


「ふー、判ればいいのよ、私の名前はリンバントレット。

 見ての通り魔女よ。

 もう10回も死んじゃったわよ、これでようやく死なないですみそう。」

えーっと、まだ6時間も経過してないんだけど、死にすぎじゃね?

ってか、仲間決定かな?


「ところで、トンよ、こいつを仲間にするのか?」

「ん? カライガさんが仲間にする気でいたんじゃないの?」

・・・・・・なんとなく、3人の間に、一陣の風が通り過ぎたような静寂が。


「べ、べつにクマなんてほしくないから。

 大体、有料アイテムでブーストしまくっているんだから、ゲーム内でのお金なんて目じゃないのよ。

 ただ、一緒に戦ってほしいなっておもってるだけよ。」

「うーん、まあいいんじゃない?

 魔法使い系の人がいるなら、討伐領域にも手を伸ばしておもしろうだしね。」

実際、狩り領域でクマ以上のツワモノとなると、中々居ない。

二人でもなんとかながら倒せるのだから、魔法使いが一人いるのなら楽勝でしょう。


「うむ、トンがそういうのなら、異論はないぞ。」

「え、魔物の居るところいくの!

 えぇ、の、望むところよ、10回でも11回でもおんなじよ!」

死ぬつもりも、死なせるつもりもないんだけどね。


「えーと、んじゃ改めて、俺はトン、レンジャーやってます。」

「カライガだ、重戦士をやっておる。」

「リンバントレット・・・・・・リンでいいわ、魔女よ、攻撃魔法ならまかせて!」

そんなわけで、俺達3人はパーティーを組むことになった。


そして、そんなに時間も経たないうちに、10回の死と11回の死では大きな違いがあることが判明する。

リンバントレットが仲間に入りました。

ちなみに、髪型はゲーム内でいじれます。

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