その痛みは、王になるための産声
色々と試行錯誤中のため
読みにくくなっていたら申し訳ないです。
続きは明日の予定です。
「…くそっ…なんなんだよ、あいつ……」
お茶会を台無しにして飛び出したエドワードが向かったのは、父である国王リチャードの執務室だった。
「父上! あの女……リリアーナ・フォン・アルヴェルトを二度と城へ入れないでください! あんな無礼な態度、王家への侮辱です!」
「エドワード、お前こそノックも無しに無礼だ。まずは落ち着きなさい。……そもそも報告によるとお前が悪いじゃないか。お前が今日投げ捨てたのは、単なるカップではない。王としての品位だ。怯える侍女を追い詰めて、何を得るつもりだった?」
「それは……王太子としての威厳を……っ」
「威厳とは恐怖で植え付けるものではない。……お前には今、耳に心地よい言葉を囁く者ではなく、リリアーナ嬢のように、お前の魂を真っ直ぐに見つめる者が必要だ。王太子としてあまりにも未熟すぎる。もっと精進するように」
「……っ、だって……!」
エドワードは拳をぎゅっと握りしめ、悔しそうに俯いた。
「……あいつが、僕をバカにしたんだ……!」
絞り出すような声だった。
先ほど茶会で怒鳴り散らしていた時とは違い、どこか幼い子供のように震えている。
「僕は……王太子なんだぞ……」
小さく吐き捨てたその瞬間、ふいに脳裏にあの銀髪の少女の顔が浮かんだ。
『殿下、本気で皆に慕われる王様になりたいのなら――だーめ、ですよ。そんなわがまま』
「……っ」
エドワードは奥歯を強く噛みしめた。
「……じゃあ、どうすればいいんだよ」
ぽつりと漏れたその言葉は、父王に向けたものなのか、それとも自分自身へのものなのか、エドワード自身にも分からなかった。
次の瞬間、彼は勢いよく踵を返した。
「……もういい!」
執務室の扉を乱暴に開け放ち、そのまま飛び出していく。
バタン、と重い扉が閉まる音が廊下に響いた。
廊下に出たエドワードは、壁を殴らんばかりの勢いで立ち尽くしていた。
肩が小さく震えている。
そこへ、ずっと後ろを付いてきていたカイルが、一歩前に出て静かに声をかけた。
「……殿下。悔しかったのですね」
「カイル!」
エドワードは勢いよく振り返る。
「お前まであいつの肩を持つのか!」
「いえ」
カイルは首を横に振った。
「ですが……」
一瞬だけ言葉を選ぶように視線を落とす。
「リリアーナ様に言われた時、殿下は少しだけ……悲しそうなお顔をなさいました」
「……っ」
エドワードの拳がさらに強く握られる。
カイルはその隣に静かに並び立った。
「きっと殿下は、ご自身の振る舞いに……誰よりも、ご自身が傷ついておられたのではありませんか」
廊下に、しばし静寂が落ちた。
やがてカイルは、そっと言葉を続ける。
「殿下がどのような道を選ばれても、僕は側近としてお供いたします。ですから……そんなにご自分を追い詰めないでください」
「……カイル」
エドワードはしばらく黙っていたが、やがて顔を背けた。
「……余計なお世話だぞ」
毒づくように言ったものの、その声には先ほどまでの刺々しさはなかった。
強張っていた肩の力が、ほんの少しだけ抜けていた。
そして小さく、誰にも聞こえないほどの声で呟く。
「……あの女……」
悔しそうに唇を噛みながら。
「……覚えてろよ」
カイルは何も言わず、ただその隣に静かに立っていた。
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