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過労死した社畜は公爵令嬢に転生しました 〜努力が報われる世界なので今度は幸せになります〜  作者: みじんこ醤油


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ベビーベッドは秘密の特訓場

短かったのでもう少し長くしてみました。



一歳になったある夜のこと。


重厚な公爵邸の図書室で、私は父ヴィンセントの膝の上に座っていた。


騎士団を束ねる屈強な父の腕は、まるで丸太のように太くて温かい。


「見ていろリリアーナ。これが魔法だ。お前も七歳になって、神殿で神様から『祝福』をいただけば、これを使えるようになるんだぞ」


父が大きな指先を突き出すと、そこからパチパチと火花が散り、小さな、けれど力強い「火」が灯った。


(……魔法。すごい、本物だわ。……私もやってみたい!)


好奇心が爆発した私は、父の真似をして小さな指を突き出した。


体の中にあるポカポカした塊――それが「魔力」と呼ばれるものだと直感し、それを無理やり指先に集めるイメージをしてみる。


けれど――。


「……あうっ!」


パチン、と指先が弾けたような衝撃。


火は出ず、ただただ指が熱くなって痛みが走った。


「リリアーナ!? 大丈夫か! すまない、パパが悪かった。まだお前には見せるべきではなかったな……」


父は青ざめ、慌てて私の指に氷魔法の冷気を当てる。

その瞳には「娘に怪我をさせた」という絶望が浮かんでいたが、当の本人である私の心境は全く別だった。


(……できないのが、こんなに悔しいなんて。よし、絶対にできるようになってやる!)


その夜から、私の「ひみつの特訓」が始まった。


なにせ、赤ちゃんの毎日は暇である。

天井を見つめるか、乳母に抱かれるか、寝るか。


そんな単調な日々の中で、私は寝る直前のひとときをすべて「魔法」という名の遊びに注ぎ込むことにした。


みんなが寝静まった夜、私はベッドの中でじっと目を閉じる。


この世界では「七歳にならないと魔法は使えない」と言われているらしい。

それは、子供の体はまだ弱くて、魔法の大きな力に耐えられないからだそうだ。


先日の痛みで、その理屈は痛いほど理解できた。


(……一気に流すと痛いから、ストローで水を飲むみたいに、少しずつ、ゆっくり……)


暗闇の中、全神経を指先に集中させる。


最初は魔力の塊を動かすことさえ難しく、すぐに制御を失って指がジンジンと熱くなる。しかし、私には時間だけは腐るほどあった。


一回やっては休み、感覚を確かめてはまた繰り返す。

大人なら投げ出してしまうような地味な作業も、他に娯楽のない一歳児にとっては、最高の知育玩具のようなものだった。


(……そう、ここ。この細い筋を通す感じ……)


何度も失敗して指を赤くしながらも、私は前世で培った「粘り」を武器に、独りぼっちの練習を繰り返した。


指先の神経を研ぎ澄まし、魔力の流れを一本一本整えていく。

それは、まるで細い針に糸を通すような、果てしない反復練習。


一ヶ月、二ヶ月と月日が流れる頃には、私の体の中の魔力は、以前のように暴れることはなくなっていた。


そしてある夜、ついにその時が訪れる。


(……ゆっくり、優しく……)


暗闇の中、私の指先に、白銀の小さな光がチカッ、と灯った。


それは本当に小さな、豆電球のような光。


けれど、自分の意志で、自分の力だけで引き出した、私だけの魔法だった。


「……ぁ、……ぅっ……!」


声にならない歓喜を漏らし、私は暗闇の中で光る指先を見つめ続けた。


まだ「火」を出すことはできないけれど、魔力の基礎の基礎――「体内で練り、一定量を指先から出す」という感覚は、完全に私のものになった。


(なんだ、七歳まで待たなくてもいいじゃない。)


こうして、公爵家のベビーベッドの中で、世界最年少の魔導師が着々とその頭角を現し始めたのである。




てぃんくるてぃんくる〜

魔法…いいですよね、いつか使ってみたいものです^^


読んでいただき、本当にありがとうございます!

もし「続きが気になるな〜」と思っていただけたら、ぜひ応援(ブックマークや評価)をお願いします!

めちゃくちゃ執筆の励みになります……!


まだまだ慣れないので、誤字脱字などあれば「ここ違うよー!」とコメントで教えていただけると助かります!

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