表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
過労死した社畜は公爵令嬢に転生しました 〜努力が報われる世界なので今度は幸せになります〜  作者: みじんこ醤油


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/34

プロローグ

物足りない長さだったので長くしました。

――「努力は報われない」


前世の私は、そう思っていた。


だってそうでしょう?


誰よりも働いて、

誰よりも頼まれごとを断らなくて、

誰よりも会社のために頑張って。


その結果が――


過労死。


……本当に、笑えない。


だけど。


もし神様がもう一度人生をくれたとしても、

私はきっと同じことをする。


努力することを、やめたりしない。


ただ一つだけ違うのは――


今度は、自分が幸せになるために努力する。


これは


社畜として人生を終えた私が

魔法のある世界で

公爵家の令嬢として生まれ変わり


「幸せになる努力」を始める物語。


そして物語は、私が過労死する少し前から始まる。



ザー……


窓の外では、冷たい雨がコンクリートの街を容赦なく叩いていた。


深夜二時。


オフィスビルの二十三階、静まり返ったフロアで唯一灯っているのは、私のデスクの上のデスクライトだけだ。


ブルーライトに照らされた私の顔は、きっと幽霊よりも青白いだろう。


「……終わらない、これ」


乾いた声が、高い天井に虚しく響く。


佐藤里穂、三十一歳。

職業、営業事務兼、何でも屋。


目の前には、明日の役員会議までに仕上げなければならない、山のような修正資料の束がある。


私がミスをしたわけではない。


夕方五時、退勤準備をしていた私に、上司が「あ、やっぱり方向性を180度変えるから。明日までにやっといて。君ならできるでしょ?」と、書き殴りのメモを投げ捨てていった残骸だ。


「佐藤さんは本当に『便利』だね。文句も言わずに何でもやってくれる。期待しているよ」


上司のあの薄ら笑いを思い出す。

それは賞賛ではなく、ただの搾取の宣言だった。


前世の私は、典型的な「いい子」だった。


誰かに必要とされたくて、期待に応えたくて、NOと言えずに微笑んで引き受けてきた。


けれど、差し出した真心はすべて土足で踏みにじられ、すり潰された。

手元に残ったのは、ボロボロになった心と、カフェイン剤で無理やり動かしている、鉛のように重い体だけ。


(……なんで、私、こんなことしてるんだろう)


不意に、視界がちかちかと明滅した。


心臓が警鐘を鳴らすように不規則なリズムを刻み、喉の奥が鉄の味でヒリついた。

指先に力が入らず、握っていたボールペンがコロンとデスクを転がっていく。


(ああ……疲れたな。もう、一秒も起きていたくない……)


抗えない眠気が、底なし沼のように私を飲み込んでいく。


積み上げた書類が雪崩のように崩れ落ち、視界がゆっくりと、しかし確実に暗転していく。


最後に脳裏をよぎったのは、幼い頃、現実逃避するように布団の中で夢中で読んでいた、魔法の本の表紙。

星が降り、杖を一振りすれば奇跡が起きる、あの輝かしい世界。


(私、こんな冷たいオフィスで死ぬのかな……もし……もし次があるなら。努力が、ちゃんと報われる世界がいいな……)



――気がつくと、私は「光」の中にいた。


そこは上下も左右もない、音も重力も存在しない純白の空間。


目の前には、形を持たないはずなのに、なぜか太陽のような「慈愛」を感じさせる巨大な光の塊が浮いている。


「……お疲れ様。よく、あんな地獄のような環境で耐えたね」


声が、頭の中に直接響く。


それは呆れているようでもあり、深く同情しているようでもあった。


「君の魂は、あまりにも磨り減りすぎて、透き通ってしまっているよ。佐藤里穂。君が他人のために積み上げた『徳』は、もう天界の貯蔵庫を溢れさせ、神々の帳簿をパンクさせるほど貯まっている。これは、君たちの世界で言う君に支払うべき『正当な退職金』だ」


光の手が、そっと私の頬に触れたような気がした。


凍りついていた心が、その温もりでゆっくりと溶けていく。


「君の憧れた『魔法』のある世界。そして、君がどれだけ努力を重ねても、二度と誰からもそれを奪われない……それどころか、君が望むだけで世界が動くような立場。……ラグランジュ王国の最強を冠する、アルヴェルト公爵家の長女として、新しい生を授けよう」


光の塊が、さらに眩しさを増していく。


「そこでは、君の言葉は重みを持ち、君の歩みは歴史を動かす道標となるかもしれない。……さあ、いってらっしゃい。次は、他人の期待のためではなく、ただ自分自身が幸せになるために、その魂の輝きを使いなさい」


その瞬間、私の意識は爆発的な光に飲み込まれた。


激しい重力と共に、どこか温かな場所へと引きずり込まれる。


暗闇を抜けて、眩しい光が差し込んだ。

冷たい空気、誰かの温かな手。


私は、新しい人生の始まりを告げるために、精一杯の力で叫んだ。


「おぎゃあぁぁぁぁぁ!!」




読んでいただき、本当にありがとうございます!

右も左もわからない中、初めての作品を投稿してみました!

まずはプロローグをお届けしましたが、いかがでしたか?

もし「続きが気になるな〜」と思っていただけたら、ぜひ応援(ブックマークや評価)をお願いします!めちゃくちゃ執筆の励みになります……!


まだまだ慣れないので、誤字脱字などあれば「ここ違うよー!」とコメントで教えていただけると助かります!

これからよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ