その3 門松 美羽
「ただいま。」
「おかえり、お兄ちゃん。」
「おお。我が愛しの妹よ。兄の迎えに来てくれたのか。兄は嬉しいぞ。」
「黙れバカ兄。さっさとご飯作れ!」
「・・はい。」
俺の家は妹の美羽と二人暮らしだ。
親は小さい時に交通事故で死んでいてずっと二人で住んでいる。
中学2年でしっかりしていてもてるらしいが、美羽は楓の影響を受けて俺に対して厳しい。まあ、俺の責任の部分もあるけど。
「美羽!!ごはん出来たから楓呼んできて!!」
なぜ楓も呼ぶかというと、楓の両親はお偉いさんのため家にいることはめったにない。だから、門松家でご飯を食べている。
あいつ金持ちだから料理人雇うか出前頼むかにおすればいいのに、と言ったら黙れと言われた。
「クロ今日何?」
「ピーマンの肉詰めだ。」
「お兄ちゃん、私がピーマン苦手なの知ってて作ったでしょう!!」
「私もあまり好きじゃない。」
「いいから食べろ。もしかしたら胸が大きくなるかも知れないだろ?」
ドス!!ミシミシ!!!
俺の顔面と鳩尾に勢いよくパンチが入った。
「あんた、まだ懲りてないみたいね。今日、注意したばかりじゃない。」
「お兄ちゃん、人には触れてはいけないものがあるの。」
「待って、今のパンチで骨が軋む音がした。今はやばいって!本当にやばいって!!」
おかしい顔面と鳩尾だけ殴られたのに、体のあちこちが痛い。なんでだよ、どんな技使ったらこうなるんだよ!
「何だ折れてなかったの?じゃあもう少し強く殴らないといけないね。ねえ、美羽ちゃん。」
「ええ、楓おねえちゃん。どうせお兄ちゃんの体だし私たちが遊ぶために存在する分際で歯向かうのがいけないのよお兄ちゃん。」
「美羽楓と同じこと言ってるよ。つうか俺の人権は生きる権利は!?」
「そんなのは当の昔に私がもらったわ。」
「私はお兄ちゃんの自由の権利をもらったの。これは、楓おねえちゃんと決めたことだから。」
「そんなの人間じゃないじゃん!!もう奴隷じゃん!!!」
「今頃気付いたの?今日はもう唯がいないから朝までたっぷり遊べるね。」
「お、お許しを!!!!」
「「問答無用!!!」」
朝起きたら楓の家の牢屋らしい部屋(昔よく楓に閉じ込められた部屋)にいてなぜか俺は両手足共に鎖で結ばれていてなぜか楓と美羽がとなりで寝ていてなぜか体のあちこちが痛い。
体には無数のあざや爪でひっかいたような跡がある。
昨日の事を思い出そうとすると昨日の晩御飯あたりから思い出せれない。
「ん、んん。おはようお兄ちゃん。・・・・・・!!」
あれ?なんで美羽、頬が赤くなったの?
「はあ~。おはようクロ・・・・・・!!!」
あれ?なんで楓も頬が赤くなってんの?
「ああ、おはよう二人とも。なあ昨日の事覚えてないんだけどなんかあったの?」
「「なんにもなかったよ!!」」
「いやなんかあったんだろ。じゃないと俺がこんな状態で起きないよ。」
「何にもなかったてば!早く朝ご飯にしようよ。」
「そうそう何にもなかった。」
「いや何があったんだよ!!!!!!」
ナンニモナカッタヨ。