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月夜譚 【No.201~No.300】

綴られた想い 【月夜譚No.300】

作者: 夏月七葉

 手紙の文面に思わず噴き出した。

 早朝で誰もいなくて良かった。少女は口元を押さえて、下駄箱の前にしゃがみ込んだ。

 今日は日直の当番で、いつもより早く登校した。靴を履き替えようとして下駄箱の蓋を開けると、上履きの上に一通の封筒が置いてあった。多分、昨日の放課後に誰かが入れていったのだろう。

 この状況は、例のあれだろうか。まさか自分の身にそんなことが起きるとは思っていなかったので、ドキドキしながら封を開ける。

 その場で目を通したのだが、つい笑わずにはいられなかった。

 それを書いた本人には悪いが、文章があまりにも遠回し過ぎて、下手なポエムみたいになっている。小論文の読解よりも難解で、何年か後には黒歴史になるだろう。

(――まあ、でも)

 息を整えた少女は、改めて手紙に目を落とす。

 真剣に書いたのだろうということは伝わってきた。頭を抱えながら慣れない文章を綴ろうとしている姿が目に浮かぶ。

 最後に書かれた名前を指先でなぞると、自然と笑みが漏れた。

 こんな形になるとは想像もしていなかったが、返事は決まっている。

 少女は嬉しさに満ちた心を躍らせて、彼はどんな顔で登校してくるだろうと考えを巡らせた。

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