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どどどどうゆうこと!?


「あ、いや、それがだな。今、その連絡通路が工事中であって、通行止めなのだ。リフレッシュ工事ってやつだな。あと数ヶ月、いや、あと数年かかるやもしれん」

「リフレッシュ工事ですか。それはいつからやっているのでしょうか?」

「い、1ヶ月前からだ」


目が泳いでおりますね。私はコナンくんばりに脳をフル回転させました。


「ちょっとお待ちください! それはおかしいですねえ。アラハムさま、先日私が運転免許証の話をしたときには、まだお持ちではなかったはずです。あれから、連絡通路を通り、車の教習所に通い、そして免許を取得するに至った。ということは、リフレッシュ工事などやっていなかったということになりませんか?」

「待ってくれ、エレ! そ、それはだな……」


視線がまるで金魚のようにあちらこちらと泳いでいます。これは決まりですね!


「アラハムさま。正直にお答えください。リフレッシュ工事の事実などないのでは?」


わああっと頭を抱えてしまわれました。


アリサルビア城内、中庭にあるガゼボに、アラハムさまの声が響き渡ります。


ここは私が滞在中、足繁く通った場所でございます。辛い時、悲しい時、苦しい時、アラハムさまとサラさまの仲睦まじいお二人の姿を見ていられず一人きりになりたい時、よくここへ足を運んだ次第です。


アラハムさまが改造したキッチンカーを見学し、運転免許証事件や私のその後の仕事についてお話ししたいこともあり、ここへ移動してまいりました。


「ああぁ!!」


そのガゼボに、アラハムさまの焦りの雄叫びが響いています。


「すまないすまないエレ! 俺は嘘をついていた。連絡通路があると知ったら、おまえは元の国、日本へと帰ってしまうのではないかと思って……」


酷いお顔です。褐色イケメン顔が、紙を丸めたように、くしゃくしゃっとなってしまっております。


「頼む! ここに居てくれ! ずっと俺の側に……」


両手をぎゅむっと握られました。いきなりでしたので、私も余裕がなく。握られるままにされております。


「あ、アラハムさま。それは叶いません」

「カンジ殿だな。そうか、わかった。カンジ殿をこのアリサルビア城の庭師として迎えよう。そうすれば、この城に留まって、おもてなし係を引き受けてくれるだろう?」

「……それは」

「どうだ! 良い案だ! これほどの妙案はない! おまえとカンジ殿の……こ、恋路を邪魔するつもりはない。そんなことをしたら馬に蹴られて……いや、キッチンカーにドカンとやられてしまうからな! あははは!」

「アラハムさま……」


すっと手を離されました。


「いいのだ。俺はおまえに愛されなくとも……側に居てさえくれれば」

「え?」

「エレ、ずっとおまえのことを想っていたが、お、おまえが幸せになってくれるのなら、」

「そ、それはどういう、」


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