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あれが噂のサラ王女ですね?


隣国、サンデルチ王国の第一王女サラさまをお迎えする日が近づいてまいりました。


ここアレーラ王国とサンデルチ王国は大の仲良し国で、国民同士の交流も盛ん。


アレーラ特産のアッピルパイーとサンデルチ特産のアールグレラティーを国民が個人的に交換することが友好の証しなどと流行りがあるほどでございます。


「王女降臨ということで、さすがにやり過ぎなくらいに豪華にしてみましたが……」


宴の会場はアリサルビア城の中央、大広間にて。


私はそこを、アリサルビア城ご自慢の庭園から持ち出した季節のお花で飾ります。もちろん花粉症の有無も確認済み。落ち度はございません。


そして、アラハムさまとお座りになる椅子。は、撤去し高級でゴージャスな絨毯の上にさらなる座布団を敷き、さらに座布団を重ね、人気落語番組の仕様にしたのでございます。


「座布団一枚持ってきて!」

「はい〜座布団が一枚ふっとんだ〜」

「一枚没収して!」


そんなやり取りをスタッフと小一時間ほど続けたあと。


「ふむ。もう少しお席を離しましょうか」


座布団を横へ。おふたりの席、そのあいだ二メートルほど。これだけ距離が離れていれば、顔を寄せ合い、きゃっきゃうふふなぞ、できないことでしょう。


「これでよし」


けれど、レオポルドさんに見つかってしまい、「これではおふたり、親密に話ができないではないか」と怒り心頭です。


そして、よいしょと座布団を近づけ、旅館の仲居さんばりにくっつけてしまうのです。


「私情は捨てなさい」


冷徹に言い放つレオポルドさん。どうやら私の心はお見通しのようです。


「……はい」


楽しいお仕事のはずなのに、こうも気が重いとは。悶々として眠れない日が続きます。


そして結局。

当日を迎えてしまいました。


婚約者サラさまは、馬に引かれた馬車でいらっしゃいました。

私もおもてなし係として、お出迎えに上がります。


「サンデルチ王国の第一王女サラさまのおなーりー」


シャランシャランと音楽が奏でられます。これは私が用意いたしました合奏隊で、王女さまの登場に相応しくハープやフルートなど上品な音色の楽器奏者を、あちこちから探してまいりました。


「こうしてアルのお城へやってくるのも、久しぶりですね」

そして、「レオポルド殿、このようにステキなお出迎え、感謝します」


小鳥のさえずりのような可愛らしい声、そしてお美しいお顔。金色の美しい髪。とても美人です。


王冠などの装飾品はあまり身につけてはいらっしゃらないのですが、サラ王女自身が宝石のように輝いておいでです。


(私なんかこの方の足元にも及ばない……)


私はレオポルドさんの後方で、こうべを垂れておりました。


その間にもサラ王女はすっと階段を上っていき、玄関ホールへと入っていきます。侍女たちが荷物を持ち、運び入れていきます。滞在のご予定は一週間。


その間、私はきっと地獄を見ることでしょう。


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