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彼らは少し離れた所にいるようだ。
私を囲いこんでいるためほぼ両手は使えないはずなのに
トットッと木の根を乗り越え、飛び移り移動していく。
ふわっと浮く感じが怖くて、
自分の胸元で握りしめてた両手をほどき
思わず彼の胸元に添えてしまった。
訂正する。
そんな可愛らしく添えるとかでなく、
怖くて彼のベスト?から出てる服の端を
握りこんでしまった。
いや、体験してもらったらわかるかと思うんですが
地面にどこも着いてない状態で
さらに浮き沈みするのすごい怖いんです...。
しかも私を持ってくれているのは誰とも知らない先程会った方...
とその時、ダァンッッと着地した。
えっ、すごい音した。
あまり揺れなかったのがまたすごい。
どうしたんだろう、と彼を見上げた瞬間
めちゃくちゃガン見されていた。
ちょっと顔が、チカイデス
えっ怒ってる?まだ着いてないよね??
思わず一度下を向き、もう一度そろっと見上げる。と、
彼は私の掴んだ服を見ていた。
それかぁぁっ
誇り高き服的な?こだわりが?!
「すっすみません!浮くのが少し怖くて、思わず掴んでしまって、
し、皺くちゃになってしまって、本当にごめんなさい...」
...サ、パサ、バサバサバサバサ
ああ、何かの音も聞こえてきたし。
どうしよう、怖いし手が固まって上手く離せない
「あ〜はっはっは! あ、アルベルト、お前、遅いと思ったら...!」