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ザザザザッと音がしてるけど、
ずっと地面を走ってる感じじゃない。
それもそうだ。
木々の根っこは本当に大きく立派で
飛び越えないと無理だろう。
じゃあゴリラ?猿?マントヒヒ?!
どうしようっどうしようっっ
私はもう息がうまく吸えず
半泣き状態である。
それでもなんとかっ!と
大きく縦に空いていた木の窪みに
体を入れこんだ。
上手く歩けず、木に半分倒れこむようになったせいで
溜まっていた泥と苔がだいぶ着いてしまったけど
気にしてられない。
頑張って小さくなるが、
それでも窪みなので外からは見えてしまう。
怖くて怖くて、必死に音を出さないように
自分で口を塞ぎ、どうしても溢れる涙をこぼしながら
じっとしていた。
「あれ〜?」
男の人の声が聞こえた