表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

61/182

閑話 ボーナストラック:アンコールコンサートの裏側、メイキング動画・バーチャルアイドルインタビュー

※本日は体調不良が激しいため、このボーナストラック一本のみとなりそうです。

※明日からまた頑張ります。

■アンコールコンサートの裏側、メイキング動画・バーチャルアイドルインタビュー


 光景:音と光が溢れかえるステージ裏。その熱気が収まらない薄暗がりに、黒髪狼耳狼尻尾の少女が緊張した面持ちで立っている。



壬生黒百合(みぶ・くろゆり)(以下、黒狼):……声は入ってる? 私は壬生黒百合、今回は三人にインタビューするよう、頼まれた。


 光景:三人の四曲目のアンコール曲が終わり、舞台裏へと転送されてくる。壬生白百合(みぶ・しろゆり)(以下、白狼)、驚いたように黒百合を見る。


白狼:あれ? さっき観客席にいなかった?

黒狼:さっき、フラットラインミュージックの営業部長って人に三人へのインタビューを頼まれたから。

エレイン・ロレッティ(以下、金兎):えー、クロも混ざろうよ、楽しいよ?


 光景:エレイン、黒百合の左手を取ってブンブンと振り回す。すん……と瞳から色が消える黒百合。


黒狼:……歌うの、苦手。

金兎:大丈夫だよぉ、教えてあげるからっ。

ディアナ・フォーチュン(以下、銀魔):駄目ですよ、エレちゃん。歌は歌いたいって思った時に歌うものですから。


 光景:ディアナ、エレインの背後から優しく肩に手を置き言い聞かせる。素直に聞き届けるエレイン。


金兎:はーい。でも、今度一緒に練習しようねっ。

黒狼:……考えとく。


 光景:黒百合と白百合、秘匿回線でなにやら会話を行なったのかぐるん、と黒百合が白百合を見る。視線を逸らす白百合。気を取り直す黒百合。


黒狼:――インタビュー。今回はディアナを中心に今後、正式サービス後におけるVR総合エンターテインメント化について聞こうと思う。


■エクシード・サーガ・オンラインが目指すもの


黒狼:ディアナは今回は特に、このVR総合エンターテインメント化という面で活躍してもらうために公式バーチャルアイドルになった、とのことだけど。

銀魔:そうですね。エクシード・サーガ・オンラインは正式サービス後に、有料コンテンツとして配信枠と配信を簡単に行えるようになるよう、さまざまなプログラムが用意される予定です。


 光景:背後に映るライブ映像。舞台演出効果の紹介や立体音響の解説、エクシード・サーガ・オンラインに接続してのライブ客からの視点も流れる。


黒狼:ん、ライブとかあんまり知らないけどすごかった。たまに白百合から観せられてたけど。

銀魔:エクシード・サーガ・オンラインはゲームである、という点は間違いないです。でもそれだけで終わらないコンテンツとして皆さんにもこの世界を楽しんでもらいたいですね。

白狼:歌だけじゃなくて映像作品とか撮れるからね。思い出としての記録だけじゃなくて、多くの人に見てもらいたいって人には最適も。


 光景:ディアナに両肩を抱きかかえられたままのエレイン、したり顔で語る。


金兎:正式サービスが始まったら、フラットラインミュージックがひとつひとつのコンテンツを管理してくれるんだって。すごいよねー。

黒狼:……私的に海外でゲーム販売委託をやってるところって認識。


 光景:黒百合の言葉に、固まる三人。


金兎:あ、あー……あのね、クロ。フラットラインミュージックってレコード委託販売が本職なんだよ。ワタシもロンドンで現実のレコード屋にフラットラインミュージックのコーナーがあるの知ってるぐらいだもん。

黒狼:そ、そうなんだ……。

白狼:クロ、ゲームとそれ以外しか世界にない訳じゃないんだよ?

銀魔:に、日本だとそういう方も少なくないですから。外国だとメジャー・レーベル並に勢いのあるインディーズ・レーベルなんですよ。


 光景:画面背景、『ゲーム部門を知られるのはいっそ光栄です』と営業部長談。


黒狼:なるほど、フラットラインミュージックの目に留まるというのはミュージシャンにとっても価値のあること、と?

銀魔:はい。少なくとも次のステップアップとして、最高な環境が整っていると言って過言ではありません。


■視聴者からの一問一答


 光景:ステージに移動。四人が並び、黒百合、大量に流れるコメント欄に視線を送る。


黒狼:これからみんなのコメントから私が選んで、一問一答していこうと思う。

金兎:はーい、拍手~!


 光景:エレインの音頭に、喝采が上がる。気圧され、瞳から光が消える黒百合。


黒狼:……言っておくけど、独断と偏見で選ぶ。選ばれたらラッキー、ぐらいの心持ちで。


Q.ディアナんは音源販売するの?

A.はい。エクシード・サーガ・オンライン正式サービス後はひとりでと、シロちゃんエレちゃんと歌う曲を何曲か。今日歌った曲も収録されるので楽しみにしていてください(ディアナ)


Q.エレちゃん、英語の発音いいね。ネイティブ?

A.ママ、母方がそうだった。あ、でもパパは日本人だったから日本語もいけるよ!(エレイン)


Q.シロちゃんとクロちゃんって中の人も血縁らしいけど、シロちゃんって昔から歌も得意だったの?

A.「……のーこめんと」「なんで選んだのかな!?」(黒百合・白百合)


Q.さっきのライブで感じたけど、シロちゃん音域広いよね。ちょっとイケメン声もやってみて!

A.「今日は随分と気合い入れた服だな。あ? 変じゃねぇよ。ちょっと見慣れなかっただけでさ……拗ねるなよ、似合ってるって。……ん~? なんでクロが身悶えるかなぁ~?」(白百合)


Q.クロちゃん、ゲームが上手くなるコツを教えて!

A.楽しみながら本気になれること(黒百合)


Q.ディアナん的に三人の中から妹にするなら誰?

A.「う~ん、難しけど……エレちゃんですかね」「おね―ちゃーんっ!」(ディアナ・エレイン)


Q.エレちゃん歌もだけどゲームも上手いよね。どっちの方が好き?

A.どっちも! 歌えてeスポーツのプロもできるからバーチャルアイドルやってるんだもん!(エレイン)


Q.シロちゃんエイム力すごいけど、FPSとかもいける?

A.「FPSなら八〇〇メートルヘッドショットも九割行けるよ!」「……シロに砂られると勝てる気がしない……」(白百合・黒百合)


Q.クロちゃんは歌わないの?

A.……リズム感はあるつもりだけど、音程が苦手(黒百合)


Q.ちょっと、クロちゃんたちで「愛してるゲーム」してくんない?

A.「……(無言のガッツポ)」「ずーるーいー! クロ無表情なのずーるーいー!」「だから、なんで、これを選ぶの!?」「……ううう」(黒百合・エレイン・白百合・ディアナ)


Q.今度はライブをやっていく予定はありますか?

A.「ありますよ。直近だとβテスト終了直前あたりに予定されているそうです」「楽しみにしててねー!」(ディアナ・エレイン)


   †  †  †


 光景:コンサート会場のビアガーデン。多くの人たちが楽しむ中。酒場や食事処のNPCノンプレイヤーキャラクターたちが、忙しなく給仕している。一瞬だけ走るノイズ、それが消えると心配そうに覗き込む黒百合が映る。


黒狼:調子悪い?


 光景:以後、ノイズはなく。再びステージに立つ三人。黒百合は周囲の人たちの教わりながら、金と銀、白のサイリウムを振るう。


 光景:カメラがバンする。再び一瞬だけノイズが走るも、ステージと観客席すべてを映像は収めて消えていく……。

【フラットラインミュージックよもやま話】

今でこそ飛ぶ鳥を落とす勢いですが、以前一度倒産しかけています。

その時、現会長がフラットライン――死んだ、と改名しました。


「〇からやり直すぞ。どうせ死んだんだ、何をやっても這い上がってやろう」


その時の精神を忘れることなく、邁進しているレコード委託会社です。ロックというかパンクというか。


気に入っていただけましたら、ブックマーク、下欄にある☆☆☆☆☆をタップして評価をお聞かせください! よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ