第9話 出発!
短めですが、今回で一区切りです。
次は閑話を挟む予定です。
マジックバッグの時間経過は木の実を使って調べた。広めの葉に木の実を10粒包んだ物を2つ作って、1つはマジックバッグにしまって、もう1つは木陰に置いておく。
時間を遅くする機能があるのか、あるならどのくらい遅くなるのかを、木の実の傷み具合で確認できるはずだ。
同時進行で食料集めに精を出す。一番多く集まったのはやっぱり鶏。次がトカゲで、時々兎。トカゲは逃がした。
捌いて焼いてを繰り返して、歩きながらでも食べられるよう小さめに切り分ける。
数日間それを続けた結果、マジックバッグには時間の流れを半分にする機能があることがわかった。いいね。
その間に種になった木の実がいくつかあったから回収しておく。いつかどこかに腰を据えた時、思い出として植えてみるのもまた一興。
旅支度が整う頃には1週間が経っていた。
食料と木の実、種を葉に包んでマジックバッグに入れていく。包みを並べた時集め過ぎたと思ったけど、全て収まったから大満足だ。
マジックバッグを肩にかけて、上着を整える。地図は頭に入れておいたから問題ない。
よし、と意気込んで頬をパンッと叩いて、巨木を振り返った。
「お世話になりました」
はっきり声に出して、最敬礼。これでよし、と。
ここまで来た道を戻り始める。教会には近づきたくないから、裏側を通るようにしよう。
目指すは村。言葉が通じる人がいればいいけど、いなかったらいなかったでどうにかするしかない。
期待を抱き過ぎないようにしないとね。
息が詰まらないよう、ペースを変えないことも大事。
大丈夫、私はきっと大丈夫。




