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第6話 どっちかって言うと肉が好き

読んでくださる皆様、ブックマークしていただいている皆様、ありがとうございます。


 目覚めたのは夜明け前だった。空の暗さが目を閉じた時と同じだったから戸惑ったけど、太陽が沈んだ方角の反対側がほんのり明るかったからすぐに気づいた。

 枝なんて不安定な場所で寝たから体中が痛い。んーっと伸びをしてから竹筒を取り出して一口飲む。相変わらず冷えていて美味しい。

 太陽が昇り切るのを待ってから木を降りた。危ない生き物がいるかもしれないけど、ずっと枝に跨がり続けてはいられないからねぇ。


「川があるのはありがたいけど、ワニがいるのはちょっとなぁ……」


 うーむ、と唸ってしまった。飲めないにしても水は何かと重宝するから確保しておきたい。

 けど、今一番解決しないといけないことは……。

 ぐぅぅぅ~

 この腹の空き具合だな。

 地図を見ながら木から離れ過ぎないように森の中を歩いてみる。

 小鳥が木々の間を飛んでいくのが見えて、故郷の山を思い出した。山好きの政叔父さんについていっては、食べられる木の実や毒のある植物を教わったもんだ。


「……木の実か」


 森なんだから木の実ぐらいはあるだろうな。まずはそれを探してみるか。

 蛇やら虫やらに気をつけながら足元と頭上に目を凝らせば、そう遠くない場所に生える低木に黄色い実を見つけた。

 1粒摘まんで嗅ぐと、かなり薄めの甘い匂いがした。2つに割ると匂いが濃くなったから、期待してちょっとだけ舐めてみる。

 ……酸っぱい。しかも痺れてきた。

 木の実を捨てて急いで木に戻り、一晩過ごした枝まで登って竹筒で口をゆすいでペッと吐く。


「ひっはいひは……」


 失敗した、と言ったのに、舌全体に広がった痺れのせいで呂律が回らない。顎の方まで痺れ始めた。

 木に登れたのは幸いだな。下にいたままだったら何かに襲われていたかもしれない。

 ゆっくり呼吸しながら、痺れが引くことを祈り続けること1時間。舌の感覚が戻ってきた。


「喋れる……」


 はっきり発音できたことに安心して、はぁ、と息を吐く。さらに30分ほど休憩してから地面に下りた。

 痺れるだけの木の実でよかった。毒だったら命に関わる。今後同じ目に遇わない為に、あの木の実の形や特徴をちゃんと覚えておかないと。

 もう一度木の実が生えている場所まで行くと、なんと鳥が2羽倒れていた。そっと近づけば、嘴の近くに木の実が落ちているのが見える。


「食べたのか」


 半分に割った木の実がさらに欠けてる。お前達食べちゃったのか。それにしても……。


「鶏みたい」


 姿といいトサカといい、実家で飼っていた鶏そのもの。ということは、だ。


「食料ゲット!」


 まさに怪我の功名。絞めるのはお手の物だもんね。

 鶏肉大好き!

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