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第43話 魔物っておいくら?

ご閲覧、評価、ブックマークありがとうございます。

 ギルドの扉を開けた瞬間、ざわついていた建物内がシーンと静まり返って何事かと身構えたけど、全員の視線が私達を向いていたから、ああ、と納得した。


「レンゲ殿達がついてきてにゃいか気にしておるようじゃの……」

「あんにゃ立ち去り方しましたからねぇ……。特にニャオさん」

「さーせん」


 足早にカウンターまで行くと受付嬢に奥へ通された。案内された部屋にはギルマスが座っていて、書類に落としていた目線をこっちに向けると、フアト村のギルマスみたいに長椅子を進めてきた。

 バウジオが床に寝そべった後、ニャルクさんを真ん中にして長椅子に座ると、正面に腰を下ろしたギルマスが3枚の書類の内2枚を渡してきた。


『○○△、□△○◎』

「はい、大丈夫です。問題ありません」


 2枚の書類を確認したニャルクさんが頷いた。


「グーロ2体の代金は、大きかった方が70万エル、小さい方が62万エルと書いてある。まあ妥当にゃ値段じゃの」

「結構するんですね……」


 グーロ2体だけで今日の果実の売り上げ超えちゃったよ。

 グーロの素材は日常生活でかなり役立つらしく、毛は帽子を作るのに最適で、腸は楽器の弦に、蹄は薬になるらしい。

 だから昔からそれなりのお金になっていたって、福丸さんが言っていた。


『▽、□△◎▽……』


 渋い顔をしたギルマスが最後の1枚をニャルクさんに手渡した。腕を組みながら私をじぃっと見つめてくる。なんぞ?


「……イニャト、これ」

「にゃんとまぁ……」


 ギルマスと似たような顔をしながら兄弟猫が私を見上げてくる。だからなんぞ??


「ニャオよ、これはアンピプテラの報酬を書いた紙ぞ」

「ああ、あれですね」

「ここに報酬額が書かれてあるんですが……」


 ニャルクさんはイニャトさんと顔を見合わせた。


「670万エルです」


 ……え?


「670万エルじゃよ」


 えぇ~? あの蛇もどきそんなにすんの~?


「あれは本来もう少し低い値じゃが、新入りの騎竜兵を救ったことと、ポーションの材料としてその1頭以外捕まえられにゃかったということでこの値ににゃったらしいぞ」


 新入りか。戦い慣れてないように見えたのはその為か。


「ニャオよ、向こうはこの額を払うと言うておるが、どうする?」

「どうするって?」

「ごねれば額が上がるかもしれん」

「これでいいです」


 ごねたりしないよ。充分過ぎる額だわ。


「ではニャオさん、グーロの分と合わせて代筆させてもらってもいいですか?」

「はい、お願いします」


 納得しました、受け取りますって証明する為にサインを書かないといけないのはレッドドラゴンとかの情報料の時に聞いていたけど、この世界の文字が書けないからニャルクさんにお願いしてるんだよね。でも、名前ぐらい書けた方がいいのかな?

 サインを受け取ったギルマスがベルを鳴らすと、木のトレーにお金を載せた女性職員が入ってきた。わーお、札束が八つもある。日本じゃこれだけ稼ぐのにどれだけ働かなきゃいけないんだろう?


「うーむ、これだけの金を入れておく財布がにゃいのう……」

「本屋の前に買いに行きましょうか」

「そうですね」

「ばっふ!」


 一先ず全部私のマジックバッグにしまわせてもらって、ギルマスの部屋を出る。受付嬢に雑貨を売ってるお店を教えてもらってギルドを出たところで、イニャトさんに聞いた。


「イニャトさん、冒険者ギルドのギルマスを斧のギルマスって呼んでましたよね。あれってなんなんですか?」

「ああ、あれは昔の名残じゃよ。アシュラン王国建国の際、初代アシュラン王はさまざまにゃ役職を作ったのじゃが、最初の冒険者ギルドのギルドマスターににゃったのが斧使いで、それ以来どの町や村でも冒険者のギルマスににゃる者は斧のギルマスと呼ばれるようににゃったのじゃ」

「同じ理由で、商人ギルドのギルドマスターは杖のギルマスと呼ばれていますよ。火魔法を得意とする女性だったそうです」


 バウジオの背中に乗ったニャルクさんが教えてくれた。

 斧のギルマスと杖のギルマスか、その方が呼びやすいな。

 10分ほど歩いたところに教えてもらったエルシア雑貨店はあった。お洒落なバッグやマントが売っているお店で、その一角に財布が並べられてある。


「これにゃんかどうじゃ? マチ幅が長めじゃからそれにゃりに入るじゃろう」

「僕達の体のサイズに合わにゃいじゃにゃいですか。その形がいいにゃらこっちはどうです? 肩かけバッグと一体化してますから、小物も入れられますよ」

「ふむ、肩紐は長さを調節してもらえばいいしのう。では色はどうする?」


 ニャルクさん達が話すのを聞きながら財布を眺める。私が読んでた異世界小説物だと袋に紐がついたタイプとかをよく見るけど、ここに並んでいるのは長財布、ミドルウォレット、小銭入れだ。これも異世界人の知恵かね?

 その中から深緑色のミドルウォレットを手に取る。マチ幅もそこそこ。カード入れがない代わりに、小銭入れが2つついている。


「ニャルクさん、これって1万2000エルで合ってます?」

「ええ、合ってますよ」


 ふむ。それなりに収入があったし、これ買おうかな。

 ニャルクさん達が選んだのは肩かけタイプの長財布で、ニャルクさんがグレー、イニャトさんが山吹色の色違いだ。ついでに新商品らしい犬用のバッグも店主のエルシアさんに勧められた。

 ネットで見たドッグパックみたいな見た目で、左右についているバッグはなんとマジックバッグ。時間経過は普通にあるものの、1つのバッグに1週間分の食料が入るぐらいの内容量があるそうで、犬や狼系の魔物をテイムしているテイマーの冒険者や商人達に人気の売れ筋なんだとか。

 色はオレンジとブルーがあって、バウジオに見せてみたらブルーのにおいを嗅いでいたからこっちを購入。値段は6万5000エル。安くはないけど、早速装着してやったらドヤ顔するぐらいに気に入ってくれたからよしとする。

 エルシア雑貨店を後にして、向かうのは本屋。ニャルクさんのお気に召す本があればいいな。

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