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第42話 再びハノア農園へ

ご閲覧、評価、ブックマークありがとうございます。

ハノア果樹園をハノア農園に変更しました。

なかなか引き籠らないのでタイトルの変更も考え始めています……。

 ハノア農園に卸す果実に、前回と同じ林檎、シュテム、モラに加えて、桃と蜜柑を増やした。それに合わせて充分な量を収穫できるよう果樹も増やして、ついでに葡萄の蔦を這わす棚も製作済み。まだ植えてないけど、結構な範囲で作ったからそれなりの収穫が見込めると思う。

 卸すのを翌日に控えて用意できたのは、林檎500玉、シュテム400掬い、モラ400セット、桃300玉、蜜柑300袋だ。

 契約したから卸値を割引するってことで、イニャトさんはそれぞれを50エル引きにするらしく、桃と蜜柑は350エルになった。

 それぞれの売価は、桃が1玉480エルで、蜜柑が1袋450エルだろうとのこと。蜜柑はこの地域でかなり昔から育てられてきた果物みたいで、ちょっと高めぐらいの値段がいいとか。

 それを全部まとめて福丸さんのマジックバッグに詰め終える頃には日が暮れていた。

 その日の夕食は残っていた燻製とニャルクさんが買っておいてくれた野菜を挟んだサンドイッチ、昼の内に仕掛けた罠で捕まえた兎のトマト煮込みだ。福丸さん達の分も用意しようとしたけど、漣華さんにそんなんじゃ足らんって言われて辞退された。

 じゃあこれを、と、昨日の内に作っておいた桃のコンポートを木の器に盛って差し出せば、一口で平らげておかわりを要求された。ニャルクさん達の分を取り置いてから椀子蕎麦みたいに器に入れ続けていたら、残り全部を食べ尽くされてしまった。


「うむ、これはいい。また作っておくれ」

「はい、もちろんです」

「これは林檎でも作れますか?」


 桃のコンポートを食べ終えて、ハチミツを入れた林檎ジュースを飲んでいた福丸さんが聞いてきた。


「作れますよ。今度桃と一緒に作りますね」

「是非お願いします。楽しみですねぇ」

「桃はたくさん作れよ」

「はいはい」


 食器を片づけてから、明日に備えて早めに寝る準備をする。福丸さんは寝床に帰って、漣華さんは私達が家に入ったのを確認してから木に巻きつくような格好で寝転んだ。


「ニャルクさん、あれって苦しくないんですかね?」

「苦しくはにゃいと思いますよ。体が長い魔物は丸くにゃって眠るのがほとんどですからね。それに、あの格好の方が急所を守れるから安心するんです」

「この森で漣華さんを襲える魔物とは??」

「さぁ……」

「うるさいぞ。早く寝ろ。」


 片目を開けた漣華さんに睨まれる。はーい、と返事をして頭を引っ込めて、簾を下げた。




 ▷▷▷▷▷▷




 日の出と同時に出発して、ハノア農園に着いたのは7時過ぎ。早起きしてたマイス君達五つ子に出迎えられて、早速販売の準備に取りかかる。

 前日の内にダッドさんが町の掲示板に販売予定の紙を貼っておいたらしく、開店は10時だというのに9時辺りから並びに来る人達がいた。

 開店してからは大忙し。来店する人の中には3日前の騒動を知ってる人達もいて、ニャルクさんとイニャトさんがいろいろ聞かれていた。

 それなりの量を持ってきてはいたけど、まとめて買って帰る人達ばかりで、午前中には売り切れてしまった。


「今回も大繁盛じゃの~♪」


 売り上げを計算しているダッドさんの隣で例のダンスを踊るイニャトさんの真似をする五つ子を微笑ましく眺めながら、ラミラさんが用意してくれた昼食をいただく。ザ・家庭料理って感じで凄く美味しい。ニャルクさんとバウジオも前足と口が止まらない。


『○○◎、△○□』


 計算を終えたダッドさんが用紙を見せてきた。ニャルクさんが食べる前足を止めて覗き込み、イニャトさんがやっと昼食を食べ始める。


「えーっと、今回も完売でしたので、総額107万9000エル。卸値を引くと、ダッドさん達の売り上げは28万9000エルで、僕達の分は79万エルににゃりますね」


 100万超したの?! 凄いな……。


「今回も場所代を払わせてもらうぞ。ニャオ、いくらにする?」

「えーっと……」


 前回は勉強代も含めて3万6000エル支払ったんだよね。これって高かったのかな? 相場がわからないけど、まあこれより低く見積もるとして……。


「じゃあもう、今回も切りよく30万でどうでしょう?」

「ふむ。ダッドらよ、30万エルでどうじゃ?」


 イニャトさんが提案すると、ダッドさんとラミラさんは深々と頭を下げてきた。ステアちゃんとナーヤちゃんがバウジオに抱きついて喜んでいる。マイス君達なんて3人でハイタッチしてら。

 皿洗いを手伝おうとしたけど、子ども達が当番制でしていることらしく断られた。今日はマイス君とロイ君の番で、手早く重ねて台所に持っていった。


「うーむ、明後日から雨とにゃっておるにゃ。次の納品は4日後にするかの」

「天気予報があるんですか? どうやって調べるんです?」

「〈星詠〉というレアスキルを持つ方が王都に複数いて、1週間の天気を調べて“伝書箱”というマジックアイテムを使って各町村に知らせているんです。住民はその情報を頼りに農作物を植えたり、旅の準備をしたりするんです」


 なるほど、それは助かるね。


「ではそろそろギルドに行きましょうか。グーロの買い取り代金とアンピプテラの報酬を受け取ったら買い出ししましょう」

「本屋にも行こう。前回は時間がにゃかった故、ニャルクのほしがっておった本も探せずじまいじゃったしにゃ」

「読めないけど、私も本屋に興味あります」


 そんなこんなで、ダッドさん一家に見送られて町に向かった。

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