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第39話 免許不携帯です?!

ご閲覧、評価、ブックマークありがとうございます。

雷が凄いです。

 漣華さんがギルドから脱出した後、福丸さんを見た冒険者が騒いだから冒険者ギルマスが飛び出してきた。で、硬直。まあ仕方ないかな、自分が勤めてる職場の真ん前にでっかいドラゴンとでっかい熊がいるんだから。しかもSSランク。


「おや、斧のギルドマスターでしょうか? これらの買い取りはどこでしていただけるのでしょう?」


 福丸さんも斧って言ってる。なんなんだろう?


『✕、✕□△……。○□▽』


 引き出しながら、冒険者ギルマスがギルド横の建物を指差した。


「ああ、あそこですね。ありがとうございます」

「おいフクマル。それをどうするんじゃ?」


 2体のグーロを運ぼうとした福丸さんを漣華さんが呼び止めた。


「グーロは昔からそれなりのお金になりますからね。売ってニャオさん達の生活の足しにしてもらおうと思いまして」

「それでわざわざ狩りに出たのか?」

「森の近くに来たんですよ。たまたま。それよりレンゲ。ずいぶん面白い格好をしていましたね」

「黙れ」


 そう返した漣華さんが、ユニークスキルを使ってギルドから出てきた。2人の背中が遠ざかっていく。ダッドさん、今の内に帰ってもらった方がいいかな?


「イニャトさん、ダッドさん達そろそろ帰った方がいいんじゃないでしょうか? 日も暮れそうですし、何より漣華さん達戻ってきちゃいますよ?」

「おお、それもそうじゃにゃ。ダッドよ、ちといいか?」


 イニャトさんに声をかけてもらえば、ハッとしたダッドさんがマイス君達を連れて帰っていった。私達に頭を下げはしたけど、逃げ足は脱兎の如く、だ。鼠だけど。


「契約登録をしておる間に、次の納品を3日後と話させてもろうたが、よかったかの?」

「大丈夫ですよ。今日はもう遅いですから、明日からまた収穫しましょう」

「忙しくにゃるのう」


 頑張りの結果が目に見えて出るのは嬉しいなぁ。今度はもっと収穫して、お店に来てくれる人達に行き渡るようにしないと。林檎の人気が高くて、最後の方は足りなくなったし。物置用の木だけじゃなくて、福丸さんのマジックバッグも貸してもらって、それに保管させてもらおうかな。それなら桃とかの柔らかい実も持ってこれるよね。


「あの、イニャト。ニャオさん……」


 抱っこしたままだったニャルクさんがやっと声を出した。


「ニャルクさん、大丈夫ですか?」

「情けにゃいのうニャルクよ。しゃんとせんか」


 ニャルクさんの意識がはっきりしてることを確認して、バウジオの背中に乗せる。黒い毛をしっかり掴んだニャルクさんは、ぼんやりとした顔で見上げてきた。


「悲鳴が聞こえるんですけど……」

「……は?」

「にゃんと……?」


 ……確かに聞こえる。野太い声が多数と、甲高い声が数人分。

 悲鳴の元に目を向ければ、ギルド横の解体屋? の入り口から上半身を突っ込んでる福丸さんの尻と、開けられていた窓から頭を突っ込む漣華さんの背中が見えた。

 あれは怖いわ。中の人達。




 ▷▷▷▷▷▷




 イニャトさん達に手伝ってもらって、でっかい2人をどうにかこうにか引っ張り出してから解体屋に入る。中はしっちゃかめっちゃかで、椅子は倒れるわ書類は散らばるわ刃物は床に突き刺さるわ、大変なことになっていた。


「とりあえず、受付に行ってくるわい」

「すみません、お願いします」


 イニャトさんを見送ってから、床に刺さった刃物を抜いていく。ニャルクさんには書類拾いを、バウジオには腰を抜かしている人達の介抱をお願いした。

 恐る恐るといった様子で近づいてきた受付嬢の1人が手伝ってくれて、綺麗に片づけ終えた頃、イニャトさんが戻ってきた。


「グーロの解体を引き受けてくれるそうじゃ。代金は3日後に受け取るようににゃったぞ」

「ダッドさん達のとこに行く日ですね」

「そうじゃ。合わさせてもらったんじゃよ」


 刃物は受付嬢が持ってきた布に包んで、ニャルクさんから受け取った書類はある程度まとめてテーブルに置くと、露出した腕にいくつもの傷痕をつけた、長身でムッキムキの女の人が近づいてきた。


『○✕◎、□○△?』

「うむ。お察しの通り、ユルクルクスとベアディハングじゃよ」

『✕✕○▽?』

「大丈夫です、暴れませんから」


 もしかして、この解体屋の主人かな?


『……』


 めっちゃ見てくる。めっちゃ見てくるよこの人。早々退散した方がよさそうだな。


「じゃあ、そろそろ行きますか?」

「そうじゃな。受け取りの木札ももろうたし、早う帰ろう」


 イニャトさんから記号が書かれた木札を受け取ってマジックバッグに入れる。出口に向かおうとしたら、女の人が真横に立った。

 隣に立たれると背の高さがよりわかる。私より頭1個半は高い。


『……』

「……」


 ……何? なんなの? せめて何か言ってよ。わからんけど。

 そんなことを考えていたら、右手がフードに伸びてきて思わず身構えたところを、ぐぃっと後ろに引っ張られてよろけてしまった。

 引っ張ったのは、窓からまた頭を突っ込んできた漣華さんで、私の服の背中部分を噛んでいた。そのままずるずると引っ張られて窓からさようなら。なんという行儀の悪さ。そして然も当然のように背中に乗せられる。

 なんぞこれ??


「フクマルよ。妾達は先に戻るぞ」

「わかりました。わたくしはニャルクさん達と行きますので」


 え? 私先に帰るの? みんなで帰ろうよ。


「あの、漣華さん? もしかしてだけど空なんか飛ぶつもりじゃ……?」

「口を閉じておれ。そなたからすれば飛び始めはかなり揺れるぞ」

「いやいやいや、飛ばなくていいから。木登り好きだから高いのは平気だけど飛ぶっていうのは得意じゃないっていうかむしろ苦手な方でぇぇぇぇぇっ!!」


 小さき者の意見なんか聞いちゃあくれませんよねーそうですよねーあー福丸さんが手ぇ振ってるーニャルクさん達ちっちゃーいあははははぁ。

 ……気ぃ失ったら真っ逆さまだわ。






「そなた、ナオという名ではなかったか?」

「ニャオでいいから降ろしてぇぇぇぇ?!」

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