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第355話 小高い丘から

ご閲覧、評価、ブックマーク、いいね、ご指摘、ありがとうございます。


書いている途中で家から出たら、数匹の蜂に刺されてモチベーションが下がってしまい、今回は少し短めの投稿になります。

黒っぽい服を着ていたので、集中的に狙われたようです。皆様もお気をつけください。

 鮮やかな花が咲く、ペリアッド町から少しだけ離れた小高い丘に全員で集まった。


「はーい、全員一列に並んで~」


 漣華さんに預けてた麻袋を片手に呼べば、美影さんと勇啼さんのところにいた仔ドラゴン達が駆け寄ってきた。


「どうしたんだ?」


 真ん中にいる赤嶺が聞いてくる。麻袋の口を開けて、中に入れてた物を1つ引っ張り出した。


「はい、無事に巣立ちを迎えたお前達に、私と漣華さんから卒業証書を贈ります」

「そつぎょーしょーしょ?」


 首を傾げる仔ドラゴン達に見えるように、赤嶺の喉元に手を伸ばした。


「ほら、これは回収だ」

「えー」


 回収したのは、赤ちゃんの頃からつけさせてる神宝石つきのチョーカー。代わりに、幅広のベルトを赤嶺の首にかける。それには特大の神宝石が嵌められてある。漣華さんと採りにいった、純度の高い最高峰の物だ。


「新しい神宝石?」

「ずいぶん大きいね」


 緑織と黄菜が鼻でつつく。やめなさいって。


「遠目からでも見えるように、特に大きい粒の神宝石を選んできたんよ。目出たせる為に、お前達の鱗とも違う色のをな」


 赤い鱗の赤嶺に選んだのは若草色の神宝石。うん、目立つ目立つ。


「全員の分あるんだよね。僕達も手伝うから、貸してくれるかい?」

『手伝うよー』


 アースレイさんとシシュティさんが来てくれたから、お礼を言って1つずつ手渡す。笑顔のククシナさんも手を伸ばしてくるもんだから流れで渡せば、政臣さんとニャルクさん、イニャトさんが続いて、仔ドラゴン達全員につけ終えた。


「ミオリのはオレンジなんだね」

「ランリのは黄色だね」


 わちゃわちゃと、自分達につけられた神宝石つきのベルトを確認してる赤嶺達に、美影さん達が笑顔になった。隣にいる福丸さんも、今は林檎を食べてない。ただただにこにこ笑ってる。


「その神宝石にはニャオの気を込めてある。そなたら自身も、日々それに魔力を込めるように努力せよ。いざという時、〈血の絆〉に頼らずとも戦えるようにな」


 ふふん、と漣華さんが得意気に鼻を鳴らした。気を無機物に込めるだなんて重労働をさせられるとは思わなかったよ。慣れないことだったし、ほぼ1日をそれに使ってしまった。


「今まで持っておった神宝石はどうするんじゃ?」


 興味深げに神宝石を見てたイニャトさんが漣華さんに聞いた。ニャルクさんと芒月も気になるみたいで、漣華さんの方に耳を傾けてる。


「ほれ、カリュブディスを狩った褒美に買うたタニラの七輝石があるじゃろう? あれは普通の宝石にない強力な浄化作用を持っておるから、入れておけば澱みはしまいじゃろうて」


 あれってそんな効果があったの? 知らなかったよ。……まさかとは思うけど、後から付与したとかじゃないよね?


(妾がそのようなことをするわけなかろう。……じゃが、最初の内はこれほどの浄化作用はなかった。ミカゲ達の寝床に置いてしばらくしてから気づいたんじゃ)

(わたくしでもありませんよ。わたくしにはそのような能力はありませんから)

(あたしでもないねぇ)


 念話を聞いてたらしい福丸さんとそのさんが念話で返してきた。政臣さんも、違う違うって感じで手を横に振ってる。……その向こうにいる清ちゃんが、てへって笑ってるのに気づいてるのは私だけか?


「私達巣立つのに、ニャオの力に頼っていいの?」


 不思議そうな顔で青蕾が見下ろしてきた。喉元にはオレンジ色の神宝石が輝いてる。うん、似合うね。


「レンゲ姉さん、言ってた。ニャオさんの気は、いざという時の為の力。私達の虹、無駄遣いしない。私知ってる」

「巣立ちとは、親の元で得た全てを捨てて出ていくことではない。今までに手にした能力、知識を持って新たな場所へ飛び立つことだ。ニャオの力を借りられるようになったのも、お前達が得た能力の1つ。俺達が望んだのは、お前達が群れでの狩りに慣れないこと。それぞれが持つ力で戦うならば、不満など持つわけがない」


 青蕾に頬擦りしながら勇啼さんが言う。擽ったそうに笑う青蕾に緑織が近づいて、私もー、とねだった。

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