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第36話 本日の売り上げは?

ご閲覧、評価、ブックマークありがとうございます。

 私達が今日売ったのは、林檎が200玉、シュテムが100掬い、モラが600個で200セットだ。

 収穫したら次の日には同じ量が実ってしまって、物置用の木を圧迫し始めたから、あるだけ持ってきた。

 持ち運びは私のマジックバッグとニャルクさんのマジックリュック、あと福丸さんが前に攻略したダンジョンで手に入れたマジックバッグを貸してもらった。

 福丸さんのマジックバッグは私の物より高性能で、限界がないんじゃないかってぐらい物が入るし、何より時間経過がないらしい。使わないからあげるって言われたけど、さすがに悪いから借りるだけにしてる。

 今回それぞれの販売価格は、林檎が320エル、シュテムが700エル、モラが900エルだった。結構高いと思ったけど完売したから驚いた。売上は31万4000エルだから、イニャトさんが絶対譲らなかった卸値から計算すると、ダッドさん一家の儲けは……。


「それじゃ、今回のそっちの取り分は6万4000エルじゃにゃ。あと、場所代と勉強代を払おうと思うんじゃが」


 ん? 場所代と勉強代?


「儂とニャルクは今まで店に売りに行ってばかりで客商売はしとらんかった。このニャオも同じ。今日のことは勉強ににゃった。で、ニャオよ。全部で幾ら払う?」


 え、そこで私に振るの?


「うーん、売る場所を借りられたのはありがたかったし、私達だけじゃあの数のお客さんは相手にできなかっただろうし……。今後もお世話になるかもだから、切りよく10万はどうでしょう?」

「では決まりじゃ。ダッドらよ、10万エル払おうと思うがどうかの?」


 イニャトさんが言うと、ダッドさんとラミラさんは顔を見合わせて、涙を浮かべながら頭を下げてきた。子ども達も大盛り上がりだ。

 横目でニャルクさんを盗み見れば、目が真ん丸になってひげがピクピク動いていた。気遣いができる弟が誇らしいんだろうな。ぷっくりした口をむにむにしてやりたい。

 ダッドさんに夕飯に誘われたけど、買い物がまだ残ってるから断った。その代わり、お礼にと手渡されたラミラさん特製のジャムはありがたくいただく。買い物リストにパンも追加だね。

 買い物という単語に反応したダッドさんがニャルクさんに何か言った。ニャルクさんが振り返る。


「ダッドさんはいろんなお店を知っているそうで、よければ案内しますと言ってくれてますが、どうしますか?」

「おお、それはありがたい! 是非頼もう」

「ばっほい!」


 ニャルクさん達にとっても初めての町らしいから、案内がいてくれるのは頼もしいね。

 その後なんやかんやあって、マイス君とステアちゃん、メルク君が一緒に来ることになった。ロイ君とナーヤちゃんはじゃんけんで負けて居残り。夕飯の準備をするラミラさんの手伝い係に任命された。

 ラミラさん達に見送られて町に出てから、まず向かったのは寝具の店だ。

 一番ほしかった敷布団を3枚購入。1枚は私の分で、もう1枚はニャルクさんとイニャトさんが一緒に寝る分。そしてバウジオが使う分だ。毛布はフアト村で既に買ってたけど、追加で数枚購入。寒くなった時に困るからね。

 次に向かったのが隣接する家具の店。家の出入り口にかけてるドア擬きの布に代わる物を探していると、簾があったから買った。これなら紐1本で上げ下げができて換気も楽になる。

 ここはダッドさんの友人夫婦のお店で、旦那さんが家具を、奥さんが寝具を売ってるらしい。ニャルクさんが聞いた話では、こちらのマーニア夫妻はダッドさん一家が収入に困り始めた時支援を申し出たらしいんだけど、断ったんだとか。

 まあ確かに、お金に困ったからって友達から生活費を出してもらうのは申し訳ないよね。

 だからマーニア夫妻は、お金を出さない代わりにマイス君達にお菓子をあげたり、ダッドさん一家を食事に誘ったりしたんだと。そしてダッドさん達はお礼に農園の果物とかジャムをお返しして、って感じで過ごしてたらしい。


「ふむ。のうニャオよ、お前さんさえよければダッド達と契約せぬか?」


 イニャトさんが小声で聞いてきた。


「契約?」

「卸す側と買い取る側の取引契約ですよ。こっちはある程度の品をまとめて卸すことを条件に、買い取る側が責任を持って販売するんです」

「儂らが町に長くとどまれん時は果実だけ預けてしまえば済むからのう。商人ギルドに契約を登録すれば、今回のように店に直接売りに行く許可をいちいち取らんで済むんじゃ」


 ふむ、確かにそれは楽だね。


「私は大丈夫です。むしろお願いしたいくらいですね」

「うむ、では確認してこよう」


 マーニア夫妻と話してるダッドさんにイニャトさんが声をかけに行く。ぽかんとしてたダッドさんの顔がみるみる赤くなって、しまいには涙を溢し始めた。


「まじかー……」

「あれまぁ……」


 イニャトさんとダッドさんの会話を聞いていたマーニア夫妻が我がことのように喜んで、奥さんがイニャトさんを抱き上げてくるくる回ってる。うにゃにゃにゃにゃあっ! って悲鳴がこっちまで聞こえてくる……。

 離れたところから眺めてたけど、契約の話を聞いたマイス君達に捕まって騒ぎに加えられてしまった。私達はまだわかるけど、バウジオまで抱き締められるとは思わなかったよ。

計算は間違ってない、はず(笑)

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