第35話 開店!
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『○○△○!』
『□◎△! ◯△◯!』
『□□△○△!』
「押さにゃいでくださーい! 林檎は1人3玉、シュテムは2掬い、モラは3個入りを2セットまでとにゃっておりまーす!」
『✕△!』
『◯◎!』
「ステアちゃん、モラの袋詰めをお願いします! メルク君は空いたカゴにシュテムを入れてください! 頑張って!」
ニャルクさんが先頭に立ってお客さんの対応をしてくれてる。だけど全然追いつかないや。もう忙し過ぎて笑えてきた。
果実を買い取るお金がないラミラさん達に提案したのは後払いだった。店舗を借りて一緒に果実を売って、その売り上げから代金を支払ってもらえないか相談したら、是非そうさせてくださいと一家に頭を下げられた。
それから1時間かけて急いで準備した後、イニャトさんとバウジオ、マイス君と弟のロイ君、妹のナーヤちゃんの4人と1頭にある程度の果実を持って町に出てもらい、試食を配ってもらった。
それなりの値段で売るからまずは味を知ってもらおうと思ってお願いしたんだけど、あれよあれよという間にお客さんが増えて今では30人ぐらいの行列ができてる。その上道の向こうからは、親子連れとか主婦といった人達が数組小走りで向かってくるのが見えた。
「ニャルクさん! 並んでるお客さんが何を何個ほしいか聞いてきてもらえるかダッドさんに頼めますか?! 林檎がもう少ないんで、在庫を予告しておいた方がいいと思います! 残り60玉しかないです!?」
「わかりました! ダッドさん、ちょっといいですか?!」
袋詰めした商品をお客さんに手渡ししていたお父さん、ダッドさんにニャルクさんが声をかければ、頷いてメモを片手にお店を出ていった。私もモラの袋詰めをステアちゃんに任せて、会計をしているラミラさんの隣に立って持ち帰り商品の袋詰めに移る。
目の回るような忙しさも20分ぐらいで終わった。たくさん持ってきた商品は売り切れた。
▷▷▷▷▷▷
「戻ったぞ~……」
「ばっふぅ……」
『◎○〜……』
『◎○〜……』
『◎○〜……』
疲れ切って店の中で休ませてもらっていたら、疲れ果てた様子のイニャトさん達が帰ってきた。
「お疲れ様です、そっちはどうでした?」
「どうしたも何も、てんやわんやじゃわい。試食はとっくにゃくにゃっておるのに、もうにゃいのか、早く出せ、にゃどと抜かす馬鹿共が多くてのう。ハノア農園に行けと言ったら遠いからここまで持ってこいと言った間抜けもおったわ」
「にゃんと……。どうにゃったんですそれ?」
「バウジオが〈七聲〉で黙らせたわ」
どてん、と音を立てて床に寝そべったバウジオに、お疲れ様、と声をかけた。
バウジオが持つレアスキル〈七聲〉は、犬科の魔物や妖精が持つ〈咆哮〉というスキルの上位互換だとニャルクさんが教えてくれた。〈咆哮〉は自身の能力向上の効果があるけど、他の効果をもたらすスキルを〈聲〉と呼んで、使い分ける数によって〈三聲〉とか〈四聲〉とか呼びわけるらしい。
で、バウジオは7つの効果を使い分けるから〈七聲〉なんだとか。その中に音の反響を感じ取って周囲の環境を探るものとか、対象にとって不快な音を響かせて動きを封じるものもあって、いろいろな面で役立つんだと。
イニャトさんの話を聞く限り、今回バウジオが使ったのは相手の恐怖心を煽るスキルかな。うるさい相手を黙らせるのに丁度いいって、前にイニャトさん言ってたっけ。
『○◎◎△〜♪』
お店の奥からいい笑顔のラミラさんが売り上げを持って出てきた。ステアちゃんとナーヤちゃんがおぼんに乗せた人数分のジュースを配ってくれる。ハノア農園で採れた桃のジュースだ。
「さ、最後の仕上げじゃぞ」
ぽん、と前足を打ったイニャトさんが立ち上がる。お互いの取り分を確認しないとね。




