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第295話 地上を目指して

ご閲覧、評価、ブックマーク、いいね、ありがとうございます。


書き忘れてましたが、明日は3回目のワクチン接種となっております。体調によっては更新できないかもしれませんので、ご了承ください。

「ちょっと、お寝坊さん達? そろそろ起きてくださる?」


 頬をつつかれて目覚めると、ふわふわな顔で笑ってるミレーニャさんがいた。アースレイさん達はもう起きてて片づけを始めてる。寝てるのは私と、お腹にいるイニャトさんだけ。寝坊した。


「ニャオ、まだ疲れてる? もう少し休む?」

「くぅ~ん?」


 もたれかかってた緑織が首を伸ばしてきた。バウジオも顔色を窺ってくる。起こさないようにじっとしててくれたの?


「もう起きるわ。ありがとな緑織、バウジオ」

「いーよー。イニャトはどうする?」

「あー……。背中に乗せちゃってくれる?」


 許可をもらってからイニャトさんを緑織の背中に乗せる。黄樹がぁ、黄樹がぁぁぁ……、って魘されちゃってるよ。まだ諦め切れないのか。楽しみにしてたもんね。


「全く、にゃいもんはにゃいんだからさっさと忘れちゃえばいいのに。仔どもにゃんだから」

「帰ったら珍しい植物の苗木をプレゼントしますよ。それで納得してもらいましょう。橙地達がいないですけど、もしかしてもう見回りに行ってるんですか?」

「そうよ? 下の階層への階段までの道程を確認してくるって、ダイチとキイニャとキヨちゃんで飛んでいったわ」


 あら、緑織置いてけぼり食らっちゃったんだ。私達のせいで。


「ごめんな緑織、一緒に行きたかったやろ?」

「うーん、狩り甲斐のある魔物がいれば行きたかったけど、ここって住んでる森の外よりも平和だから楽しくないんだぁ。帰ったらもっと強い魔物狩りにいくから、キイナ達と行かなくてもよかったよ」


 ……緑織ちゃん、あんまり大きな声で言わないでおこうか。《レントル・ラージュ》の皆さんが無言になってらっしゃるよ。


『お目覚めかな?』


 苦笑してたら政臣さんが来た。手には木のコップを持ってる。


「おはようございます。すみません、長々寝てしまって」

『まだ早朝と言える時間だから、気にしなくていい。君とキヨちゃんは昨日とても動いてくれたからね』


 そう言いながら、政臣さんはコップを手渡してきた。中身はホットの蜂蜜ミルクだ。セーフエリアは少し冷えてるから、みんなも飲んだのかな。


「いただきます」


 少し冷ましてある蜂蜜ミルクを飲むと、ほんのりシスレンの香りがした。やっぱりコーカルゥセイボウの蜂蜜だ。政臣さん持ってきてたんだ。


「朝っぱらからコーカルゥセイボウの蜂蜜ミルクにゃんて、あにゃた達豪勢ね? 羨ましいわ」

「気に入ってくれたなら、王都に帰る時に持ってってください。お世話になったお礼に差し上げますので」

「あらありがとう。でもあにゃた、お礼って言いにゃがら今までにたくさんくれてるじゃにゃい。これ以上はもらい過ぎだからちゃんと購入するわ。果実もドライフルーツもいっぱい買って帰るからね?」


 お金出して買うってか? 別にいいのに。


「おはようニャオさん。話し中悪いけど、ダイチ達が帰ってきたよ」


 アースレイさんに言われてセーフエリアの外を見に行けば、空にカラフルな影が3つあった。小さかった影はすぐに大きくなって、わずかな音を立てて目の前に降りてくる。おはようみんな。


「ニャオおはよう。ぐっすり寝てたね」

「おいら達待てなくて見回りに行ってきたぞ? ちゃんとアースレイ達には言って出たからな? ほんとだぞ?」

「おかえり。起きれんでごめんな? 橙地よ、別に疑っちょらんて」

(おはよう。危険な魔物とか、迷い込んでる野良精霊はいなかったよ。でも階下からボスの魔力を感じる。ミレーニャが用意してくれた階層地図にはラスボスはサイクロプスって書いてあったけど、たぶん違うよ)


 こんなにダンジョン内が変化しちょるんやけえ、ラスボスも変わっとって当然かもな。どんな魔物かわかる?


(はっきりとは言えないけど、飛竜系だと思う。11階だった頃のラスボスではありえないレベルだろうね。《レントル・ラージュ》のみんなじゃ太刀打ちできない相手なのは確かだよ)


 そっか。ボス部屋に突入する前でよかった。ダンジョンのボス部屋って、一組が入ったら次の一組は入れないのが定石だもんね。漣華さんのユニークスキルって人がいる状態のボス部屋には入れるのかな?


(入れんこともないが、ああいう結界に無理に入ればダンジョンそのものに亀裂が入りかねん。そうなればボス部屋の外にいる魔物も侵入してくる可能性がある。しっちゃかめっちゃか、という状況になるじゃろうが、どうする?)


 そんな話聞かされてGOサイン出す馬鹿います? てか漣華さん、まだこっちが見えてるんですか?


(うむ。見えておるぞ)

(ねえ漣華、外はどんな感じ?)


 確かに気になるね。漣華さん1人で待ってくれてるもんね。


(タナテア村の要請を受けたエルドレッド隊が到着した。そなたらが入っておることを聞いて続こうとしたのを止めたところよ)


 え? エルゲさん達来てくれたの?


(止めたって、エルゲ達無理矢理入ろうとしたの? 漣華がいるのに?)

(入ろうとしたのはライド達じゃ。騎士団所属としての責任感もあるんじゃろう、妾に通すよう言って向かって来おったから返り討ちにしてやった)


 返り討ちって、乱暴なことしてないですよね? ね?


(当然じゃ。翼で風を起こし吹き飛ばしてやっただけよ)


 うん、それぐらいなら大丈夫でしょう。


(それで、あとどれぐらいで出てこれそうじゃ?)

(昼ぐらいには出られると思うよ。ぼく達だけならそんなにかからないけど、冒険者達がいるからね。駆け足じゃ進めないからさ)

(全く、厄介な奴らじゃ)


 漣華さん、そんなこと言わないでくださいな。彼らだってダンジョンの中がこんなことになってるとは思わなかっただろうし、責めたら可哀想ですよ。


(知ったことか。例え階層が増えていたとしても、この程度を容易く踏破できぬのなら挑むべきではない)


 それ、本人達には言わないでくださいね?


(知らんな)


 全くもう。

 漣華さん達と念話しながら片づけを終えて、予め作っておいた玉子サンドを食べてからセーフエリアを出た。最下層まであと少しだ。《レントル・ラージュ》のみんなを庇いながらだから今まで通りにはいかない。気を引き締めないと。

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