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第282話 いざダンジョンへ

ご閲覧、評価、ブックマーク、いいね、誤字報告ありがとうございます。

『あたしも行きたいー!』

「駄目に決まってるだろう? 今受けてる依頼と日付がかぶってるんだから、そっちを優先しないと」

『うわーん!!』


 未だに眠りこけてる清ちゃんを首から垂らして、ダンジョン《トラーシャの雫》にそろそろ出発しようかって時になって、漣華さんが描いてくれた魔法陣の前でシシュティさんが騒ぎ始めた。この前町に出て受けた魔物の討伐依頼が今日明日らしい。うん、完璧にかぶってるね。


『依頼は信用が大事だってわかってるわよ! わかってるけど、よりにもよってなんで丸かぶりするのよぉぉぉ! 一緒に行きたかったー!』

「シシュティさん、そんにゃに泣かにゃいでください。僕と一緒にみんにゃの帰りを待ちましょう?」

「ダンジョンに行くのを遅らせるわけにもいくまいて。フクマル殿の健康の為じゃよ。わかっておくれ」

『だからわかってるってばぁぁぁ……』


 ああ、がっくり項垂れちゃった。本当に来たかったんだな。


「姉さんは自分の依頼に集中してよ。ほら、ニャルクさんも残るんだからさ」

『ううぅぅぅ……。そうよね、あたし指名の依頼だったもんね……。依頼人の期待に応えなきゃ……』

「僕はついていくけど」

『なんで言うのよぉぉぉぉぉっ!!』


 アースレイさん、自分が指名されなかったからって拗ねてる? 燃料投下しないでよ。


「ニャオー、決まったよー」

「お、来たか」


 離れたところで円を組んで話してた仔ドラゴン達がぞろぞろとやって来た。


「誰がついてくるん?」

「おいらは行くぞ!」

「あたしも!」

「私も行く!」


 えっと、名乗りを上げたのが3人? 橙地と黄菜と緑織か。ずいぶん控えめな数だな。


「赤嶺達は? ()んの?」

「行きたいけど、全員で行ったらパパのご飯獲ってくるのが大変になるから行かない」


 そう言いながら赤嶺が振り返った先には、美影さんにぴったりと寄り添われた白いドラゴンがいる。この人の名付けも頼まれた時は2日は悩んだね。


「俺は大丈夫だ。お前達、行っていいぞ」

勇啼(いさな)さんもこう言いよるけど、どうする?」


 勇啼さんはまだ飛べない。漣華さんからポーションじゃなくて自然治癒がいいって言われたから時間に任せてるけど、その分仔ドラゴン達とのんびり過ごせてて、成長を喜んでるように見える。


「うーん、でも森の周りの警戒もしないといけないから、やっぱり残る。ダンジョンにはまた違う時に行くよ」

「パパ、美味しい魔物たっくさん狩ってくるから楽しみにしててね!」

「そうか。ありがとう」


 勇啼さんがふんわりと笑った。ユルクルクスに近いってだけあって頭もいいからすぐに喋り方を覚えてくれたんだよね。美影さんも喋るけど、まだ片言だもんな。


「くぅ~ん」

「お、どうしたバウジオ」

〖一緒に行きたいみたいよ? 連れていってあげたら?〗


 ドラゴン親仔のやり取りを微笑ましそうに眺めてたククシナさんが教えてくれた。そうだねバウジオ、お前とは隠れダンジョンを走りまくった仲だもんね。一緒にいこうね。


「ククシナさんはどうされます?」

〖私は残らせてもらうわ。みんな、頑張ってね〗


 そっか、じゃあ留守をお願いしよう。つっても明日の夜か、明後日には帰れる予定だから何も起こらないとは思うけど。


「ねえニャオさん、ダンジョンの魔物と戦うだろうけど、その素材はどうするの?」


 マジックバッグの中を確認してたミレーニャさんが聞いてきた。


「目的はバレンドの黄樹なんで、私は集めなくてもいいかな。ミレーニャさんもアースレイさん達も、ほしい素材があったら拾ってくださいね」

「あら嬉しい」

「うん、わかったよ」


 アースレイさんは頷いて、ミレーニャさんは嬉しそうに笑った。ほしい素材でもあるのかな?


「皆さん、ご迷惑をおかけしてしまってすみません」


 ありゃ、福丸さんが来ちゃった。寝床で休んでていいって言ったのに。頭には渋い顔をしたそのさんがとぐろを巻いてる。止めたけど来ちゃった感じか?


「福丸さん、無理しないでくださいね?」

「これくらいどうともないですよ。お見送りぐらいさせてください」


 目の前に来た福丸さんが、鼻先でおでこをこつんと突いてきた。


「いってらっしゃい。お気をつけて」

「はい、いってきます」


 福丸さんに頭を下げて、魔法陣に向き直った。魔法陣の横では漣華さんと政臣さんが話してる。予定やら計画の確認中かな。


「おお、済んだか?」

「はい、お待たせしました」

「ばっふばっふ!」

「では出発といこうかのう。バウジオや、儂を乗せておくれ」

「ばっほい!」


 イニャトさんを乗せたバウジオが魔法陣に跳び込んで、仔ドラゴン達がキャッキャと笑いながら追いかける。他の人達もそれに続いて、私がしんがりだ。


「いってきまーす」

「お気をつけて」

「無理するんじゃないよ?」

〖何かあったらレンゲを喚ぶのよ? 私でもいいからね?〗

『気をつけてねー!』


 シシュティさん、まだ泣いてるよ。そっちの依頼でへましないでね?

 見送ってくれる福丸さん達に手を振って、魔法陣に足を突っ込んだ。


「バレンドですか……。あの実やら花やら、苦手な味なんですよねぇ……」

「にゃんと……」

『✕▽……』

「……あの子らの前で言わなかったことは褒めてやるよ」


 聞こえてますが??

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