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第261話 竹の花

ご閲覧、評価、ブックマーク、いいね、ありがとうございます。

 福丸さんと2人でバンブーエリアに向かってると、清ちゃんがまうまう啼きながら追いかけてきた。抱き上げてから、さあ出発って前を向いたら福丸さんの背中がどんと見えて、ハッとしてよじ登らせてもらう。定位置に跨がると、福丸さんは満足そうに鼻を鳴らして歩き出した。

 バンブーエリアにたどり着けば、なんと花が咲いてた。満開だ。と言っても元の世界の写真で見たような稲穂っぽい形じゃなくて、コデマリみたいな可愛い花。これは可愛い。


「夏なのに咲くんですね。私の世界じゃあ春が開花時期なんですよ」

「そうなんですねぇ。バンブーの花は10年に一度ぐらいしか咲かないので、なかなか見られないんですよ」

「10年周期ですか……」


 元の世界だと120年周期って言われてるのに、こっちは結構咲くんだな。見た目も筍の味も同じなのに、そんなところが違うとは思わなんだ。なんか、ここは異世界って改めて突きつけられたみたいでちょっと寂しい。


「目当ての実はもう少し奥です。早く採って帰りましょう」

「はい、案内お願いします。清ちゃん、離れんでな」

「まうー!」


 そこから福丸さんに跨がったまま移動すること数分、足元に見慣れない植物の蔓が這ってることに気づいて目を凝らせば、葉のつけ根に白い実がついてるのが見えた。


「あ、これですか?」

「ええ、そうです。レトの実、と人間達は呼んでいますよ。乾燥させて薬の材料にしたり、種を取り出して枕に入れたりしているようです。生で食べれば二日酔いに効くんですよ」


 いろいろ使えるんだな。つか枕って。蕎麦殻みたいなもんか。たくさん採れるようなら作ってみようかな。


「どれぐらいあれば足りますか?」

「とりあえず、熟している実を採れるだけ採っていきましょう。セキレイ達はともかく、レンゲだと少量では足りないかもしれませんから」

「でも、根こそぎ採っていったらなくなりません? 来年芽が出なくなるとか……」

「それはありません。昔生る実を食べ尽くしたことがあるんですが、ちゃんと次の年も生えてきましたから」


 食い尽くしたんかい。


「普通に食べてもいいんですね……」

「あまり美味しくはないんですがね」


 それでも食べるのが福丸さんなんだね。さすがと言うべきかやっぱりと言うべきか……。まあいいや。


「熟した実の見分け方はどこですか?」

「実の先端部分が黒くなっていれば熟している証拠です。赤みがかっていたらまだですね」

「よっしゃ清ちゃん、お尻が黒い実をいっぱい採ってくれる? 麻袋渡すけぇ、それに入れてってな?」

「まうー!」


 緑織達も漣華さんも待ってるし、さっさと終わらせましょうかね。




 ▷▷▷▷▷▷




 3人で手分けしてレトの実を集めたはいいものの、熟した実がなかなか見つからない。まだ完熟には時期が早いって福丸さん言ってたし、こりゃ難航しそうだな。

 蔓はバンブーにも絡まって遥か上まで伸びてるのもあって、そっちは清ちゃんにお任せだ。あの仔は最近小さい姿でも飛べるようになったからね。上の方が熟した実が多いのか、ご機嫌な声が聞こえてくる。福丸さんだって背伸びすればかなり高いところまで届くんだから、収穫量は私が最下位かな。別に競ってはないけども。


「そういえば福丸さん、最近ユニークスキルに異変ってありました?」


 ふとさっき首筋に感じた不快感を思い出して福丸さんに確認すると、不思議そうな顔をされた。


「いえ、いつも通りですよ。何かありましたか?」

「いやあ、このエリアに来る前なんですけど、首筋に寒気みたいなのを感じまして。あの感覚があった後って、グスターブみたいな魔物に襲われたりロスネル帝国の連中に絡まれたりすることがほとんどだったんです。ここは福丸さんの結界の中だから大丈夫でしょうけど、もしどこかにほつれみたいなのができてたらまずいなと思いまして」


 福丸さんの結界は強力だけど、絶対、必ず、100パーセント安全とはやっぱり言い切れないと思うんだ。賢い魔物なんてごまんといるんだし、わずかな隙間を狙う輩だってどこかにはいるよね。


「そうですか。確かにわたくしのユニークスキルによる結界は他のものに比べて強固ではありますが、完全無欠とは言い難いですね。まあやぶられたことはありませんが」

「おお、凄いですね」

「それほどでも。ですが……」


 福丸さんがセリフを区切った。どしたの?


「それも今日までだったようです」


 福丸さんの雰囲気ががらりと変わった。上の方にいた清ちゃんが甲高い声で啼く。

 振り返ると、バンブーの間からこっちに首を伸ばす、真っ白い大きなドラゴンがいた。

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