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第258話 何事?

ご閲覧、評価、ブックマーク、いいね、ありがとうございます。

「ほう、これがコーヒーフロートという飲み物なんですね」

「妾はコーヒーだけの方が好ましいのう」

「あたしもレンゲと同じだね」

「グルミャーウ」


 リートエンテの店長から、売れそうなメニューを教えてくれたお礼ってことでコーヒー豆と手動のコーヒーミルをもらった。家に帰ってから早速みんなにコーヒーとコーヒーフロートを出してみると、やっぱり好みがはっきりわかれた。


「カフェオレってのもありますよ。コーヒーに牛乳を入れるんです。そのままなら甘くないし、砂糖を入れれば甘くなります」

「おいら両方飲んでみたい!」

「俺はカフェオレってやつがいいな。あんまり甘くない方がいい」

「僕はこのままでいいや」


 ほう、赤嶺達男の仔組は3人とも好みが違うのか。女の仔組は甘い方がいいみたいだったし、きょうだいでも結構違うのね。


「美影さんはどうですか?」

「甘いのがいい。うんと甘いの」


 あら、ママは苦いの駄目なのね。よしよし、お砂糖たっぷり入れましょうね。


「百子ー、お乳搾らせてな?」

「モ~」


 普段から百子のお乳が張らないように搾って、時間経過が遅めのマジックバッグにしまってはいるけど、搾りたては格別に美味しいからね。こういう時に飲まないでどうする。つか最近牛乳も余り気味だからどうしたもんか。暑いからシチューってわけにもいかないし、使い道探さないと。

 木の器に百子のお乳を搾って、ピッチャー代わりのじょうろに注ぐ。買ったはいいものの使ってないじょうろだったからね。大人数で飲むんだからこのサイズじゃないと追いつかないよ


「はーい、カフェオレ飲みたい人なーらべ」


 ピッチャーを持ち上げて言えば、紫輝以外の仔ドラゴン達がみんな並んだ。それぞれが咥えてきた器にカフェオレを淹れてたら、しれっと紫輝も並んでた。興味はあるのね。


「あ、これ美味い」

「もっと甘いのがいいな」

「これにアイス入れたらどうなるの?」


 カフェオレにアイスか。飲んだことないけどそれも美味しいだろうね。


「美影さんはこっちをどうぞ。お砂糖入りのカフェオレです」

「ありがとう」

「ニャオよ、お前さんのいた世界ではコーヒーを飲む時どんにゃお菓子を食べるんじゃ?」

「そうですねぇ……。ブラックコーヒー、牛乳も砂糖も入れないコーヒーを飲む時は、チョコレートとかケーキとか、甘いお菓子を食べてましたね。逆にカフェオレを飲む時は甘さ控えめのクッキーとか、塩気のあるクラッカーを選んでました」

「塩気とにゃ?」

「はい、カフェオレの甘さが引き立つんですよ」


 クラッカー、とお洒落に言ってはみたけど、実際は煎餅かおかきだったね。日本人だもの。合う合わないは気にしない気にしない。


「イニャト、この前買ったクッキーがあるから開けましょう」

「おお、そうじゃったそうじゃった」

〖あなた達、それよりも前に買ったお菓子もあるの忘れてない?〗

「うにゃ? そういえばそんにゃのもあったようにゃ……?」

〖しっかりしなさいよ〗


 本日4杯目のコーヒーフロートを飲んでたククシナさんが呆れ顔をした。さすがに飲み過ぎです。




 ▷▷▷▷▷▷




「まーあ見事にみんなドはまりしましたねぇ」

「そうだねぇ」


 晩ご飯の後にまたコーヒーをねだられた。1人や2人なんてもんじゃない。全員にだ。寝る前になっても飲みたいって騒いでたけど、さすがに止めた。眠れなくなるからね。


「苦い方が好きだけど、牛乳をちょっとだけ入れたのも美味しいねぇ。他に飲み方はないのかい?」


 飲み方とな?


「あんまり詳しくはないですけど、生クリームを入れたウインナーコーヒーとか、豆を焙煎する段階で砂糖を加えるあんまいやつなら知ってますけど、それぐらいですかね」


 そこまでこだわりはなかったもんな。コンビニで買うことも多かったし。象のなんちゃらでどうこうしたコーヒーってのも聞いたことあるけど、まあ黙っておこう。


「そうかい、あたしゃあの味で甘いのは遠慮するよ。レンゲと同じってのがアレだけど」

「わらわがなんじゃと?」


 おっと、漣華さん。今日は赤嶺達と寝るって、向こうの寝床に行かなかったっけ?


「漣華さん、何か忘れ物ですか?」

「うむ、わすれた」

「何を忘れたってんだい?」


 そのさんが嫌そうな顔をした。仲よくしなさいって。


「わすれものじゃよ。わすれもの」

「だから、それがなんだって聞いてるんだよ。さっさと持って行きなって」


 漣華さんが美影さん達の寝床に持ってく物ってなんだろね? てか喋り方変でない? 舌足らずなんだけど。


「漣華さん、どうしたんですか? 体調が悪いとか?」

「体調が? こいつはユルクルクスだよ? 風邪なんか引くものか」


 いやいや、体調不良じゃなけりゃこの舌足らずはなんなのさ。


「もらっていくぞ」

「もらってく? 何をおおおお??」


 何を思ったのか、漣華さんは私の襟を猫の仔みたいに咥えてきた。で、そのまま持ち上げられて運ばれる。目を真ん丸にしたそのさんを置き去りに、漣華さんは森の中に入っていった。

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