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第24話 ダンジョン初アイテム

ご閲覧、評価、ブックマークありがとうございます。

本日からタイトルを変更いたしますので、御迷惑をおかけしますがよろしくお願いいたします。

 降りた先で真っ先に見えたのは果樹だった。林檎や桃、葡萄、蜜柑、見たことのない実。いろんな果物が統一性なく実って、甘い匂いが充満しているせいでニャルクさん達がくしゃみをした。


「これはきついのう……」

「ええ、さすがに。長くいたら頭が痛くにゃりそうです」

「くぅ~ん……」


 バウジオが悲しげに鳴いてこっちを見た。人間の私でもむわっと来るんだから、動物の嗅覚じゃあ辛いだろうな。


「何か魔物はいそうですか?」


 バウジオの背中を撫でてやりながら聞けば、イニャトさんが鼻をくしくし擦りながら答えてくれた。


「向こうの方に魔物がおるよ。何かまではわからんが」

「いや、これを見てください」


 ニャルクさんは足元に落ちている萎んだ果物を指し示した。


「つついた痕があります。この食べ方は確か……」


 ふむ、と口を押さえたニャルクさんが歩き出す。音を立てないようついていくと開けた場所に出た。


「にゃんと、ユファネルではにゃいか」


 私達が出た場所から反対側の果樹の傍にサイズ感のおかしい派手な鳥が1羽いる。何あの鳥? 地面に立った状態で木に成ってる果実つついてるんだけど。どんだけでかい鳥なの?


「あれは果汁が主食の魔物にゃんですが、好戦的で厄介にゃんです。見つからにゃいように行きましょう」

「見つかったら捕まえられてたちまち空の上じゃよ。バウジオですら持ち上げられるわ」

「ぅぉふ」

「果汁が好きなのにどうして襲ってくるんです?」

「縄張りを守る為じゃよ。あやつは好きにゃ果実の近くに巣を作り、より美味い果汁を飲む為に環境を整える習性を持つんじゃ。しかもこれがすこぶる美味い! じゃからユファネルの縄張りから採れた果実は町や都市で高値で売れるんじゃよ」

「滅多に出回らにゃいから貴族がこぞって買い占めるせいで、町ではほとんど見かけませんけどね」


 ユファネルの視界に入らないよう気をつけつつ、ニャルクさん、バウジオ、私、イニャトさんの順番で進む。横目で見てたら、ユファネルは果実を嘴で突き刺して果汁を吸って、萎んだカスをぽいと捨てている。

 足元に大量に落ちてるのは奴の吸いカスだったのか。踏みつけないように果樹を支えに歩こう。

 もふっ

 ……もふ?

 果樹に手をついたつもりだけど、明らかに樹皮の感触じゃない。後ろから、あちゃー、とイニャトさんの声がした。

 そーっと右手を見れば、果樹に手をついてるように見えるけど果樹じゃない。茶色い羽が生えた、がっしりとした体だ。見上げると、今にもぶちギレそうなつり上がった目に睨みつけられる。

 ユファネルなんて初めて見るけどどう見ても雌だわこれ。


「ケェェェェェェェェェッ!!」


「うわぁぁぁごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」


 翼を広げて威嚇してくる雌ユファネルから逃げると、間違えて開けた方に飛び出てしまった。


「クケェェェェェェェェッ!!」

「ぅわっ! こっちも?!」


 騒ぎに気づいた雄ユファネルが吸いかけの果樹を捨てて飛んでくる。


「ニャオさん?!」

「離れるにゃ!!」


 ニャルクさん達も飛び出してきて、前後をユファネルに挟まれる。バウジオは雌に向かって唸り声を上げた。


「バウジオ、〈七聲〉を!!」 

「ばっふ! ァオオオオオオオオーーーーンッ!!」


 イニャトさんに応えるようにバウジオが吠えると、ユファネル達が甲高い声を上げながら身悶え始める。わけがわからずおろおろしていると、ニャルクさんに手を引っ張られた。


「走りますよ! 急いで!」

「ああああの、今の何ですか?! バウジオ何したんですか?!」

「バウジオのレアスキルです! 詳しい説明は後!」

「お前さんら、乗れ!」


 振り返ったらイニャトさんがバウジオに跨がっていた。ニャルクさんも跨がるけど、これ私が乗っていいの?


「はよせんか!」

「は、はい!」


 急かされて飛び乗ると、バウジオは上の階でフーア達に突っ込んできた時と同じぐらいのスピードで走り出した。振り落とされそうになって思い切り毛を掴んでしまったけど、全く気にしてない。


「ァオオオオオオオオーーーーンッ!」


 走りながら吠えたバウジオはくるりと向きを変えて、全速力で果樹の間を駆け抜けていく。回復したユファネル達が追いかけてきたけど、ニャルクさんが土魔法で打ち落とした。


「あそこじゃ!」


 真正面に数種類の果実が成った巨木が見えて、根元近くに開いた樹洞をイニャトさんが前足で指すと、バウジオはなんの躊躇いもなく飛び込んだ。ジェットコースターに乗ってる時みたいな浮遊感。ここが階下に続く道らしい。


「すみません、足引っ張ってばっかりで……!」

「大丈夫ですよー! ダンジョンにハプニングはつき物ですから!」

「これぐらいのスリルがあった方が楽しいわい!」

「ばっふばっふ!」


 風の音に負けないように大声で謝れば、ニャルクさん達が笑いながら返してくれた。


「それに、儂にとってあのエリアは宝の山じゃったからのう! おかげでいい収穫ができたわい!」

「イニャト?! 実を採ったんですか?!」

「んにゃんにゃ、さすがにそれはできにゃんだから種を拾っておいたのじゃ! ダンジョンのユファネルが育てた果実の種、楽しみじゃの~!」


 あの最中種拾いしてたのか……。すごい猫だな。

 そんな話をしてる内に眼下が明るくなってきた。次の階だ。あれ、でも待って。なんかすごく青いんだけど……。


「うげ……」

「ふにゃ?!」

「にゃんと?!」

「キャイーンッ!」


 ぽーんと次の階に放り出された私達は、重力に逆らう術なんか持ってるはずもなく、ただっ広い水面に落ちてド派手な水飛沫を上げた。

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